続きです。

就職して3年目に入った5月の連休のことでした。

その頃はもう仕事にも慣れ、人間関係にも慣れ
成績でいうと、結構上げていたときでした。

連休に友人と京都旅行をし、家に帰ったんですが
体は疲れているのに、頭が冴えてぜんぜん眠れないってことがあったんです。

で、リビングで起きていたんですけど、そのことを母に伝えたら

「睡眠薬飲むか~?」って、母が常備していた睡眠薬をくれたんです。

「1錠飲んだらキツイかもしれないから、半錠にしときな」って
半分飲みました。


薬が効いてくるまで、雑誌でも見てようと、ペラペラとめくっていたんですね。


しばらくした時

覚えているのは、カナダだったかな?そんな外国にきれいな風景のページを見ていたときに

今なら表現できるのですけど

そのときはこんな表現すらできなかった頃なのですけど

言葉が降りてきたんですよね~。。。



「パンをやれ」

だか

「パンをやろう」

だか

正確にはわかりませんが、そんな思いというか、声というか、思想が突然頭に浮かんだんです。


なんの前後脈略もありません。


それもね、後から説明がつくんですけどね

生まれて初めての睡眠薬が入った体。

ある意味、ラリっていたっていうか(笑)

脳波がアルファ波からシータ波ってわかりますか?

瞑想のときに入る波になっていたんじゃないかなーって思いました。


繋がったというか

初めての「自覚ある」インスピレーション体験だったんだと思います。



でね、その晩はそれで寝るんですよ。

べつに。

だけど、次の日、また次の日

そのいきなり湧いた「パンをやる」って考えが、頭から離れないわけなんです。



そしてその当時のわたしは、パン焼きが趣味だったわけでもないんです。

子どもの頃からパン好きではありましたけど。

焼いたことがあるのは、その半年くらい前にね、大失恋したんですけど

その彼とデート出来なくなった休みの日に、なんか始めてみようかな~と

フラフラと入った本屋で目について、パン焼きの本は一冊家にありました。

そしてその失恋当時は二回くらい焼いたかな?

べつにハマったとかいうほどでもなく。。。



でもこう思うと、いろいろ繋がるわけなんです。



でね、その「パンをやろう」の想いに取り憑かれたわたしがまた奇妙なんですけど

すぐに親に話し、一週間以内に会社にも辞めたい意思を話しているんです。


頭おかしいよね?

でも、本当にそのとき、ものすごいエネルギーで動かされていたんですよね。



会社にはなんと慰留されました(笑)

成績よかったから!

でも、半年経っても気持ちが変わらなければ、辞めますって感じでおさめていました。


でも、わたしはすぐに

関西の有名なパン屋さんの本を買って

営業に出た振りをして、パン屋巡りを始めたんです。

気に入ったパン屋があると、飛び入りで「雇ってもらえませんか?」とか言っちゃってんの!





そうしながら、あるパン屋さんを知りました。

それは大阪の茨木市にある、70歳近いおばさんが一人で自宅でやっているパン屋さんで

その方がパン教室をされていたんですね。


その先生に魅せられて、わたしはパン教室に通い始めます。


それも仕事中(笑)


会社を行ってきます♪と出かけて

先生のところに通って

焼きあがったパンはコインロッカーに入れてね、何食わぬ顔で会社に戻るの。



だから、見事!

成績もガタ落ち。


12月いっぱいで会社を辞めることになりました。





就職したときに思った「石の上にも3年」には

3ヶ月足りませんでしたけど

わたしは満足でした。



25歳の誕生日を迎える頃でした。



(つづく)