リナちゃんのところに行ってきました。


リナちゃんとは、その猟師さんの彼女。


彼女のお家の使ってない浴室で過ごした2時間あまりの時間は


たまらなく透明感があって、美しい時間でした。


うそだと思うでしょ。


ネコの解体現場だよ。


でも、本当なのです。


あれは祈り、そのものな時間でした。



リナちゃんは、こんなところに住んでいます。

聞いてはいたけど、渋すぎる。


室内は

窓ぶちぬいて、煙突を出してある薪ストーブとか



配管がむき出しのキッチンとか


ソファの上に、いきなりバールがあったり



絵があったり(絵描きさんなんでね^^





おおよその26歳の女の子とは、かけ離れたセンスで暮らしている。


私から見たら、うなるほど格好よかった。

かっこよすぎる。


アーティスト☆



リナちゃんは子猫を飼っていました。



(よもぎちゃん)


だから、私からの依頼を受けたとき、少し不安だったとか。

実際目の前にして、どんな気持ちになるかが心配だったみたいです。


それなのに受けてくれて、ありがとう。


すごく人なっつこい子で、ゴマが大好きだった「赤ちゃん抱っこ」をさせてくれるから

ひそかにここで一泣きしていたわたし。


使っていないという浴室で準備をしてくれているリナちゃん。



そして、「始めましょう」という段階になって

棚からおもむろにお線香を出して、火をつけてくれたのです。



その配慮&気持ちにものすごく感激しました。


始める前にナイフも綺麗に研いでくれました。


それにもまして感動的だったのが

ゴマを扱う手の、丁寧なこと丁寧なこと。


見ていて、これは「おくり人」だと思いました。(映画見ていないけど)


リナちゃんは、ものすごく神聖な気持ちで

ゴマに向き合ってくれているのがわかった。


死後硬直で硬くなってしまっている足を

お湯を含ませたタオルであたためながら

解体しやすいように広げていった。


そこからは、お腹を中心に後ろ足のほうから

お尻、背中、前足、

最後に顔という順番で皮をはいでいきました。


ゆっくり、ゆっくり。


皮ってこんな風についているんだな。


薄皮一枚で、筋肉にすっと張り付いている。


それを少しずつゆっくりはいでいく。




最後に顔をはがす段階になって

リナちゃんがゴマのカラダをやりやすいようにくるっと廻しました。


ずっと向こう側にあった顔が

こちらを向きました。


カラダは筋肉むき出し


顔だけ、もとのまま

可愛い寝顔と同じ

そのまんまのゴマ。


たまらなくなって、泣きました。


そのとき、信じられないようなことが私に起こりました。


ゴマが喜んでいるのが、わかったのです。


そのことが、うまく言えないですが

ものすごい感じでわかったので

もうたまらなくて


もう次から次から涙が出てきました。


悲しいのではないのです。


たぶん、感動してしまったのだと思う。


なんの感情も持たない涙がどんどん溢れてくるの。



リナちゃんと話しているとき、彼女が言いました。


「猫を解体するなんて、ひどいっていう人もいるだろうけど

 ここまで本気で向き合ってることがわかってから

 言ってほしいと思います。」


「最後、ここまで向き合ってもらえて、ゴマちゃんは幸せだと思います。」


「知らないって弱いことだと思います」


彼女のそんな台詞がとても印象に残りました。



最後、目の部分をはいでいくとき


まぶたの下になっていたゴマの大きな瞳が出てきました。


その目が深くて、大きくて、美しくて


リナちゃんと二人でじ~んと感動してしましました。



あの目の美しさ。


もう、満足です。



言葉が見つからないけど、本当にいっぱい。

満足だと思いました。



あとは、お湯で何度も洗いながら乾かしていくそうです。



筋肉だけになったゴマの亡骸をいただいて


リナちゃんとお昼食べて帰りました。



(かわいいこの子がスペシャルアーティスト☆リナちゃん)


リナちゃんと入った定食屋さんで

日替わり定食がおでんで


そのおでんに手羽元が入っていて

それが、さっきまで見ていたものとそっくりすぎて笑いました。


「試されている気がする(笑」って。


見たあとでも

全然美味しくいただける

私が好きです。



死んだとたん、カラダはモノのようになってしまう。


皮をはいだら、ただのお肉なのですよね。


いえ、何かが言いたいわけではありません。


ただ、そうなのだということ。



生きているときの、このエネルギーに満ちた感じ


これは奇跡みたいにすごいことなんだと感じました。



「今から帰る」と家に電話したら

四男が出て、また泣きました。


この子はずっと泣いています。


ゴマがどういう状態になっているのか


そして、ゴマが喜んでいたと感じたことや


目が美しいことや


びっくりしないように全て伝えて帰りました。



夫と次男~四男まで穴を掘って待っていてくれました。




埋めるときは、もう私は胸いっぱいだったので皆にまかせて

工房でパンの袋づめをしていたら

子供たちが呼びにきました。


「お母ちゃん、目を閉じて」っていって

連れていかれて


「いいよ」と言われたから目を開けると

お墓がこんなことになっていました!



前方後円墳やん♪


立派なお墓ができていました。


そして、もう、笑っていました。


四男くんも♪