夜空に咲いた星の下で君と歩く 86 | ~花天月地~ Bonds 君の隣…

~花天月地~ Bonds 君の隣…

花天月地(かてんげっち)
花が咲いて月の明るい風景。花時の月夜の景色。
花が空一杯に咲き,月光がくまなく地上を照らす意味
東方から舞い降りた2神の完全なる妄想・夢物語…
腐目線注意(CPは虎×鹿Only♡)

CHANGMIN



それは数日前からあった…


ユノと一緒にベットで抱き合って眠る事が多くなり、

それが僕にとって本当に幸せな時間で。


そんなに大きくない僕のベット…


それにふたりで身体を寄せ合って寝ているから、

自然とユノの足が僕に触れる…


それでも、

大腿部まではその温かさが分かるのに…

やはりそこから下は…何も感じなかった。


『ユノ…?あったかいね…』

『あぁ…チャンミン…とってもあったかい…

ほら…布団、ちゃんとかけな…』


そう言って自分の分など気にせず、
僕にばかり掛けてくれるユノの優しさが嬉しい。


ユノの腕に抱かれながら、

『ユノ…僕…リハビリ…頑張ってるよね…?』



そう呟く。

まだ…何も感じない足に焦る…


ゆっくりゆっくり行こうな…


そう言ってくれるユノだけど、


正直…リハビリは…辛い事もある……


頑張っているつもりでも、

なにも変わっていたい気がするし、

動かそうとしても、

…怖い…本当に怖さしかない…

ほんの小さな力ですら…出せない…


自分では動かしているつもり…

自分の中では最大限に力を込めているつもりなのに……


見つめる先は…


一向に動く事はない…



そんな毎日だった……




僕だって目に見えて成果があれば…もっと頑張れるかもしれない。

苦しい努力の末に、

何かしらの成果がなければ、
正直…頑張れない。

もしかしたら…何もしなくても急に立てるかもしれない…

そんな安易な考えすら浮かんできたり。



僕は…

こんなに頑張っているのに…


こんなにも…願っているのに………


こんなにも……望んでいるのに……



それでも…


僕の足は…リハビリを始めてしばらく経つというのに、
まだ…何も感じないままだったんだ……




それなのに…


それなのに…数日前からそこに何かがあたっている感覚が出始めていた。


それは突然の事だった。



ユノが僕を迎えにくる前、

部屋の中で転んだ。


転んだ…と言うより、


いつもの様に車イスに移乗しようとしたとき、


なぜか足が床に付いている感触があり、

僕は無意識にその感覚だけを頼りに移乗したんだ。



その結果…


ガクンと折れた膝では支えきれず、
僕はバランスを崩し、

車イスにもたれかかるようにして倒れた。



自分でも…何をしているか…分からなかった…


ただ…一瞬の出来事に…自分でも戸惑い、

なかなか起き上がる事が出来ないまま、

なんとか腕を伸ばし、
肘掛に掴まろうとしていたんだ。



そこに迎えに来たユノ。


『チャンミン!!どうした?!』


ひどく慌てて……僕の身体を抱き上げてくれた。



『ユノ…僕……』

『チャンミン!大丈夫か?怪我…してないか?』


そう言って僕の身体を触り、確認している。


『大丈夫だよ。バランス…崩しちゃっただけ。痛くないよ。』

『良かった…珍しいな…チャンミンがこんな…』




僕だってびっくりしている…


なぜあの時、


僕の足があんな感じになったのか、

その時の僕には何も分かっていなかった…



けれど…



その感覚が…本当だと気が付く……


僕の為にマッサージをしてくれたユノの手が……とても温かかった……


僕の足に添えられたユノの手…


それを目で追って、ユノの手を必死に感じようとしたが…それでもまだ…分からなかった…


『痛くないか?』


そう言われても……



分からない……



それが本当の気持ちだった…



けれど、


僕の傷を包むユノの手……


それを見た瞬間………



僕の足に何かが伝わる……



温かい……


まさかと思いながら、

傷を包み込んでいる掌をじっと見つめる……



ユノの手の動きと一緒に…僕に伝わる熱………


その長い指が僕の足を撫でる動きと一緒に……僕に届いてくる…



『頑張ってくれよな…

チャンミンを立たせて…くれよな……』



そう言ったユノの振動が……僕に届く………



そう思った瞬間……


胸が熱くなり、

明らかに今までの僕には無かった感情が湧きあがってきた…



……分かる……ユノの…熱が…分かるよ……


嘘……じゃ…ないよね……


今…僕……ユノを…感じてるよ……





『ユノ……』


今…触ってるよね…


『ユノ…?』


分かるよ…僕……


『ユノ…僕…分かるよ……ユノ…僕っ……分かるよ……』



僕の足で初めて……ユノの温もりを感じた日………


リハビリを初めてから……


最初の成果だったんだ………



その日の夜…


ユノはいつもよりも近くで…僕を抱きしめて寝てくれた………



今まで感じなかったユノの足……


その足が…僕の足に触れる度……


まだ鈍いながらもそこから伝わるユノの温かさに…また涙が溢れそうになる…


まだ…動かす事は出来ないけれど、


ユノの足が僕に触れる度にいちいち泣けて来て、


『ユノ…って……温かいんだね…』

『今更…か…チャンミン…』



そう言って笑うユノ……


『ユノ……僕……今日…あらためて思ったよ……』

『なにを?』

『ん?ユノに出会えてよかったなって…』

『ふっ…俺も…良かった……』

『ユノはさ…僕に叶えて欲しい事ない?』

『なんだよ…急に…』

『だって…僕…ユノの為になにもしてあげてないし……』

『バカだな…こうして一緒に居てくれるだけでいい……

こうして……俺の前で…笑って居てくれたら…いい……』

『それだけ…なんて…いやだ……』

『いいんだよ…チャンミン……チャンミンが…こうして…生きていてくれたら…

俺の傍から離れないでいてくれたら…それだけでいいんだ……』




そう言って僕を抱き込むユノ……



…ユノ……


僕は…本当に何も…してあげられてないね……



でも……僕は…あなたの為に……頑張っていくよ……


どんなに辛いリハビリも…

どんなに自分に負けそうになっても……


あなたが笑ってくれるなら…

あなたがこうして僕を抱きしめてくれるなら……


それだけで…頑張れる気がするんだ……


ユノ……


僕…必ず…立ってみせるよ………






少しずつ感覚が戻って、

リハビリのメニューも変わって来た。



『シム君、今日は一人?』

『はい。ユノ…遅番なので…』

『そうか…じゃぁ…今日はいつものリハビリして、

次にチョン君が来れる時に次の段階に進めようか?』

『えっ…?』

『シム君、次はあれだよ…』



そう言って指差した先には……




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平行棒……



『僕…』

『シム君……次は君があれに掴まる番だよ。

君なら出来るよ…

次のリハビリ、あれをやる。

その時に、チョン君の力も借りような!』

『ユノの力…?』

『そうだ。実は…前から言われてたんだ。

君がいつかあれに掴まる時が来たら、

自分も必ず付き添いたいと。

初めて君が立つ瞬間には…自分も居たいって。』

『そんな…』

『君には…とても強い味方がいるな。

彼ならきっと…君を立たせてくれる。

俺、そんな気がするんだよね。なぜかさ。

だから頑張ろう。

俺も…君が立つ瞬間を…楽しみにしてるよ!』


今度は僕が……あれに……?



僕に…出来る…?

僕……また…立てる……?



不安が大きくなると同時に…


僕だって…出来る……


絶対にユノの前で立ってみせるんだ………








そしてリハビリのあと、


リナちゃんの病室に向かう。


今日はソミニヒョンも居たけれど、

何だかふたりとも様子がおかしくて。


『リナちゃん、こんにちは。』

『……おにいちゃん……今日は…会いたくない…ごめんね』

『どう…したの?』

『チャンミン、ちょっと外で話そう。』



ふたりで談話室に来たが、

ソミニヒョンの様子も何だか変で…。


『ヒョン、何か…あったんですか?』

『リナの手術が決まったんだ…来週の木曜日…にな…』

『良かったじゃないですか?その為に頑張って来たんだから。』

『それが…今になってあいつ、嫌だって…』

『そんな…』

『怖いって言うんだ。手術の日が決まるまでは頑張ってたのに、

決まった途端…急にな…』

『……ヒョン…僕も…今度…平行棒…やるんです…』

『えっ?お前もついに…か…?』

『はい…でも…怖いです…正直……僕に出来るかなって…

だからリナちゃんの気持ち…分かるかも知れません…』

『チャンミン…』

『僕に話をさせて下さい。リナちゃんと話してみます。』




僕はリナちゃんと病院前の公園に来た。


少しだけ強く吹いている風……

ふたりの膝に掛けられているブランケットがひらひらと揺れた………



『リナちゃん…手術…決まったんだってな』

『…うん…でも…リナ…怖い』

『分かるよ…僕ね、事故にあってから3回、手術したんだ』

『うん…リナも何回か…やったよ…でもね…今度はちょっと違う…』

『違う…?』

『うん…今度は…きれいにする手術でしょ…?

もし…失敗して綺麗にならなかったら?

今よりもっと…酷くなったら…そう思うと…怖い……』

『…そっか…怖いよな…』


しばらくの沈黙のあと、


『リナちゃん、僕…今度ね…立つ練習…始めるよ…』

『えっ?』

『この身体になって…初めて…立つ練習…始めるんだ…

両足をちゃんと床に付けて、

ちゃんと…ちゃんと立つんだ…

でもね…怖い…事故にあってから、

ずっとこのままで生きて来たから…

本当に立てるか…分からないし、

もしかしたら、やっぱり立てないって言われるかもしれないし…

それを思うと…やっぱ…怖い…』

『………』

『でもね、やってみないと分からない…

もし、自分が望んでいない結果になっても、

やらないで後悔するより、

やって後悔した方が…カッコいいんじゃないかって…

逃げるんじゃなくて、

やれるだけやって、

その先がまた変わるなら…俺は頑張ろう…そう思ってるよ。』

『逃げない…?』

『そう…どんなにかっこ悪くても、

誰も期待してなくても…やってみなきゃ…わかんないじゃん。

苦しい事から逃げたら…負け。自分に負けた事になる。

僕は立ちたいんだ…

立って一緒に歩きたい人が居るんです。

その人の隣で…自分の足で一緒に……』

『ユノ…さんって人?』

『…そう…ですね。僕を…救ってくれた人…

その人が僕が立つことを望んでくれています。

だから…僕は頑張るよ。』

『リナは……』

『リナちゃんは…誰の為に頑張る?』

『リナは…お父さんとお母さん、そしてオッパの為に頑張る…』

『そう…家族みんながあなたを応援してますよ。

僕も…そしてユノも……リナちゃんが頑張れたら…僕も立てるかもしれない。

僕が立てたら、リナちゃんの足も綺麗になるかも知れない。

だから一緒に挑戦してみませんか?』




リナちゃんはフェンスの奥の川を眺めながら、


『うん…』


そう小さく呟いた……






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