すきだらけのビストロ
冬森灯【著】
芸術に触れよう
おいしいものを食べよう
自分の好きを大切にしよう
そう思わせてくれた小説
好きなものがいっぱいになったら、強くなれるし、毎日が輝く
印象に残った言葉(引用)
もしかすると、一生わからないのかもしれない。芸術には答えがないから。触れるたびに新しい発見に出逢う気がする。だから、飽きないのかも。ずっとわからないから、少しでもわかりたくて、ずっと面白く感じる
特別ななにかを持っているわけじゃなくても、流される日々ばかりでも、その時々にしっかりと根を下ろして過ごす一日が、ある時なにかのきっかけで特別な景色を見せてくれる。そんな生き方だって、きっとそう悪くない。
心が凍り付く日があっても、いつかそこにも、雪の花のようにうつくしいものを見出せる日も来ます。あなたなら、その目を磨くことができるはず。ただ・・・・・・いくらか、練習は、必要ですね
〜中略〜
ええ。くらしの中のささいなことにも、目を凝らし、心に照らして、手を伸ばすこと。それから、大きく息を吸って、ゆるむこと。体でも心でも、ゆるむと少しの隙間ができるでしょう。 そこに新しいものが生まれたり入り込む余地ができますよ
あなたはあなたの人生の開拓者ですよ。未来を切り拓いているから、迷うんです。迷ってもいいんです。たとえ迷っても、どこかへ向かえるって、すごいことです。凪いだ海ではどこへも行けない。変化は、怖いかもしれませんが、特権でもあります。
場がなくなっても、形がなくなっても、あたしの中に積もった想いやつながりは変わらない。
そして、好きなものは、増えれば増えるほど、あたしを強くする。
予定通りにはいかない、ぽっかりと空いた隙間のような時間は、いつもだったら無駄だと思ったかもしれない。ぎゅうぎゅう詰めの毎日を駆け抜けるだけでは、そこにひそむ大きな広がりとゆたかさの、特別な味わいには、気づかなかったかもしれない。
一度きりの生で、同じものに同じように心を震わせることの、特別さにも。
心が満ち、お腹も満ちたら、それは世界で一番おいしい料理だと思うんです。すばらしい芸術と、おいしい料理があれば、憂き世を乗り越えていくことができると思うんですよ。
場所も時間も超えるのは、ひとの想いです。文化や芸術に結晶した誰かの想いを、ひとは感じ取ることができます。時に共鳴して、なにかを得たり、自らの道を見つめ直したりする。そうしてそれぞれの人生の旅路を歩いていくのでしょうな。たとえ孤独に苛まれる時でも、文化や芸術に満ちるひとの想いは、寄り添ってくれる。ひとりではなくなる
世界は「好き」で広がっていく。
ひとは、誰でも心の中に、特別な箱を持っている。
からっぽのその箱に、いくつもの「好き」を溜め込んで、自分の世界をつくることができる。 自分という器に溜まった「好き」は、いつか力になり、自分を内側からかがやかせる光になる。
どうにもならないことに出くわしても、時間は途切れずに明日につながる。その容赦なさを受け容れることしかできない私たちは、夜を過ごし、朝を迎える。
だけど「好き」だらけの世界なら、明日を見つめるのは、きっとこわくない。
心の内の光に照らされて、この世界には、すてきなものだってあふれてると信じられるから。
その時憂き世は、うつくしき世にも見えるはず。