最高のアフタヌーンティーの作り方

近藤史恵【著】



 

 




「椿山荘が舞台なんだぁ音譜」くらいの軽い気持ちで手に取ったけど、女性の働き方、生き方、、、色々と考えさせられる小説だった!!


椿山荘のアフタヌーンティー行きたいなラブ





気になったところの引用



二重丸お菓子はな、ご褒美なんだ。だからだらしない気持ちで食べてたら、もったいない


二重丸男次第の人生なんて、きっと退屈だよ


二重丸平成のスイーツ革命を牽引してきたのは、間違いなく、社会で経済力を持つようになった女性たちだ。しかしその裏側で、女性は女性にだけ課せられる、産む、産まないという選択のプレッシャーにさらされ続けている。

 そして出産した後も、自分の人生と子育てを、どこかで天秤にかけられる。

 そんな重さ比べられるわけがないのに。

 どれだけ法が整いうと、周囲が理解の体を装おうと、“母親”の重責は、昔も今もたいして変わらない。


二重丸社会である程度経験を積んだ三十代は、ようやく自分の力を実感しながら働くことができる。

 恐らく時間なんて、あっという間に過ぎてしまうに違いない。

 それなのに女性には、三十五歳以上からは高齢出産になるという動かしがたい壁がある。

 社会人キャリアが真に花開こうとする時期に、高齢出産の壁が迫ってくるジレンマ。


二重丸報酬を得られない努力はしては駄目。それは、リャンインにとっても、他の人たちにとっても、結局、良い結果にはならない


二重丸現実なんてのは、いつだって、厳しいもんだ。それが分かったうえで、美しい面を見るのも一 つの覚悟だ


二重丸別に巨大隕石が落っ こちてこなくても、凶悪な宇宙人が大挙して攻めてこなくても、明日どうなるかなんて、誰にも分かんないじゃないですか。

だから、盛るんですよ。顔も、日常も、盛り盛りに

くんです

でないと、楽しくないじゃないですかぁ。余裕と選択肢がない代わりに、我々は常に最短をいくんです


二重丸お菓子はご褒美で、だからアフタヌーンティーは最高のご褒美じゃないか


二重丸私はおひとよしじゃなくて、欲張りなの。香織さんから、もっといろいろなことを教わりたい し、それに、育児で大変な香織さんを助けるのは、将来の自分の可能性を狭めたくないからだよ

 




知らなかったこと引用


二重丸確かに「太陽の沈まない帝国」とまで言われたオーストリア、ハプスブルク王朝の華麗な文化を背景に生まれたウィーン菓子には、独特の奥深さがある。ウィーン菓子の代表でもあるザッハ トルテの作り方を初めて知ったときは衝撃だった。それまではチョコレートでコーティングされ ているというくらいの知識しかなかったが、実際には砂糖のシロップとチョコレートを一〇八度 になるまで煮詰め、砂糖を再結晶化させることで表面を固めて艶を出すのだ。表面のチョコレートはしっかり固まっているが、口に入れた瞬間、シロップの結晶がシャリシャリと崩れ落ち、すうっと溶ける。こんな高度な技術が、一八〇〇年代のウィーンに既にあったというのが驚きだ。 カフェ発祥の地として知られ、そのカフェ文化がユネスコの文化遺産にも登録されている ウィーンでは、二百年以上前の菓子のレシピを忠実に守り続け、伝統を受け継ぎ、変わらないこ とを身上としている。それ自体、立派なことだと達也も思う。



二重丸砂糖がヨーロッパに広がったのは、十一世紀から十三世紀にかけての十字軍の遠征がきっかけ だった。それから長い時を経て、甘いものが一般的に人々の口に入るようになったのは、たった二百年ほど前からだ。

 その短い期間に、洋の東西を問わず、お菓子はこんなにも多種多様に発展した。 人が生きていく上で、お菓子は決して必要不可欠なものではない。しかし、だからこそ、楽しこれからも、香り高いお茶と、宝石のようなお菓子を楽しむアフタヌーンティーの時間は、悩 ましい現代を生きる人々の生活に彩りを添えていくに違いない。