*5*
『ヌナは食いしん坊です。
食べるの、僕以上に
大好きですよね。』
『違うよー、
美味しいものが好きなの♪ 』
…何てことない、
だけど、恋人たちの会話。
私たちはどこにでもいる恋人同士。
楽しくて。
とても、楽しくて。
『さぁ、ヌナ。
着きましたよ。
散歩しながら
そのカフェに向かいましょう。
いいですか?』
次々に届く、彼の言葉。
そして美しい新緑の写真。
『うん、チャンミンと
散歩したい♪』
『ヌナ。
この道の途中で、
ヌナに見せたい場所があります。』
『見せたい場所?』
『そう、ここです。』
その一言と共に送られてきた写真。
そこには さっきまでのはっきりとした新緑とは違う、優しい緑の世界。
その中にひっそりと、まるで忘れられたようにベンチが佇んでいる。
私は写真を見つめたまま。
その風景の中に吸い込まれる。
「…あ、!」
ぼんやりしていたら 彼から続いてメールが届く。
『僕しか知らない
秘密の場所です。
ヌナを、
ここへ連れて来たかった。
ベンチ、座りますか?』
秘密の場所…、
自分の中にある、誰も侵すことはできない大切な場所。
それは、場所だけじゃなくて。
大切にしている想い。
その、心。
秘密を誰かに見せる時。
それは自分のすべてを受け入れて欲しいと願う時。
この小さな秘密が。
ネットに落ちている写真で、バーチャルな空間であっても。
私はそう思うから。
『…嬉しい。
チャンミンの秘密の場所に
来れたこと、すごく嬉しい。
ありがとう。』
あなたは こうやって私にたくさんの秘密を明かしてくれて。
私と、その秘密を共有することを願ってくれる。
それが私にとって、どれほど幸せなことか。
きっと。
誰にもわからない。
*6*
『ヌナ、
そろそろカフェに向かいましょうか。』
彼のエスコートで私たちのデートは進んでいく。
次はどんな場所へ連れて行ってくれるんだろう。
もう、想像もつかなくて。
『うんっ。
お腹ペコペコだよー。』
『山の上のカフェだから
結構、ハードですよ。
ヌナ、頑張ってくださいね。』
そう言って彼の言葉と共に送られてきたのは山のカフェに続くであろう新緑の木々に囲まれた木作りの階段の写真。
『ほんとだ。
かなり、上らなきゃダメな感じだねw』
『そうですね、
かなり上にありますから。
ヌナ、
ここの階段は少し急です。
手を繋ぎましょう。』
"手を、繋ぎましょう"
…ここに、彼はいない。
だけど。
カフェに向かう階段を上りかけた彼が振り返り、私に手を差し伸べてくれている。
そんな姿が目に浮かぶ。
"ヌナ、ほら、"
そう言って。
優しく微笑んでいる彼が私の目の前にいる。
…ねぇ?
もう、卑怯だよ…、
嬉しくて、
幸せで、
泣きそうだよ。
側にいないのに。
どうして、こんなにもあなたを側に感じるんだろう。
差し伸べられた手に。
どうして、こんなにも泣きそうになるんだろう。
私はどうして、こんなにもあなたが好きなんだろう。
Do you remember it? ~夢の中でも会いたい~
to next…
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