さくら桜サクラ 其の2
桜の花其の2はコチラの花から。
白色大輪の花を付ける桜です。
白妙シロタエ
開花初期はピンク色が残りますが白色に変わっていきます。
花弁枚数は10~20枚で見応えがあります。
萼筒は鐘形で、萼片は披針形または舟底形。
東京の荒川堤で栽培されていたものが、現在の栽培種のもととなっています。
大輪で白色の種は少ないので貴重な品種です。
江戸時代に白妙の名で栽培されていた桜があったのですが、現在のものと同一のものかわからないとのことです。
◇Cerasus serrulata ‘Sirotae’
糸桜と言われる「エドヒガン」の枝垂れ桜をバックにした白妙。
さて「白妙」というと百人一首に、この歌がありますよね。
📕春すぎて 夏来きにけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山🖌持統天皇
モチロンお判りだと思いますが、ココに出てくる「白妙」はこの桜のことではないです。
この歌は、白を印象的に扱うことで、暑い夏を涼しげな感じを表現していいる歌です。
現代語訳:いつの間にか、春が過ぎて夏がやってきたようですね。夏になると真っ白な衣を干すと言いますから、あの天の香具山に(あのように衣がひるがえっているのですから)
*【夏来にけらし】「けらし」=「けるらし」がつづまった形で「らし」は推測を表します。「らしい」と言う意味でこの場合は「夏が来たらしい」という意味。
*【白妙の】「白妙」というのは、「コウゾ(楮)」などの木の皮の繊維で織った真っ白な布のことで、「衣」にかかる枕詞です。
*【衣ほすてふ】「衣を干すという」の意味。「てふ」=「といふ」がつづまった形。
*【天の香具山】大和三山の一つ。奈良県橿原市にある低い山。この山が天から降りてきたという伝説があるため「天の」が頭につきます。
*持統天皇(じとうてんのう。645~702年)
今度はコチラ。
スミゾメ 墨染
伝説の桜として名前は有名ですが、但し…墨染として文献に現れるサクラは数多いのですが、すべてが同じ品種を指しているわけではないンですね。
墨染で一番有名なのは…
深草の 野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは 墨染めに咲け
上野岑雄(かみつけのみねお)のという「古今集」哀傷の和歌にちなんだもの、と言われています。
この桜がその桜の子孫かというと…??まぁ多分違うでしょう(笑)。
皺が多い大きな白色の花弁。
咲いた当初は花が白い色で、薄墨のように見える品種です。
◇Cerasus serrulata Lindi. f. subfusca Miyoshi
小花柄には苞があります。萼片は卵状の三角形。
花は白色で単弁。開花時に若芽が開かず、花柄、小花柄の短い、オオシマザクラ系統の品種だと思われます。花期は4月中旬頃まで。
スザク朱雀
荒川堤から広まった品種とされますが、元は京都の朱雀にあったので名が付けられたとされています。
朱雀は南方を守護する神獣とされていますね。翼を広げた鳳凰様の鳥形で表されます。
朱は、ご存じの通り赤ですね。五行説では南方の色とされています。
『鳳凰』や『不死鳥・フェニックス』インド神話に登場する『ガルーダ』等と、同一起源とする説もあります。
小花柄が長く、花は下垂します。
萼筒は筒状に近く、ややくびれます。
萼片には鋸歯は無く、小花柄がとても長いのが特徴です。
◇Cerasus serrulata ‘Shujaku’(serrulatus=細かい鋸歯ある)
花色は淡紅紫色。花弁枚数は8~15枚あります。
花期は4月中旬になります。