半夏生(ハンゲショウ) | 湯戯三昧、蕎麦三昧できるかな?

半夏生(ハンゲショウ)

『半夏生』というのは、太陽の黄経が100度になる日で、夏至から数えて11日目のことです。今年は7月2日になります。
その半夏生という名の付いた花が、今年も咲き始めました。
半夏生 ハンゲショウ
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葉が白くなっていきますが、これは表側だけで、葉の裏側は淡い緑色をしています。
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古和名の『半化粧』と『片白草』と言う名は、葉の一部と言うことではなく、表側だけ化粧して、あとの半分(つまり裏側)は化粧していないと言うことから半化粧の名が付いたのかもしれません。
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中国では三白草と呼び、上の一枚が白化した時には小麦を、二枚目が白化した時には梅や杏を、三枚目が白化した時には黍(きび)を食べるのだと言います。
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◇科名:毒痛み(ドクダミ)科 ◇属名:ハンゲショウ属(Saururus=ソーララス。ギリシャ語の「sauros=トカゲ+oura=尾」が語源。トカゲの尾のような穂状の花序から ◇学名:Saururus chinensis
葉っぱが白くなる植物は幾つかありますが、このハンゲショウが季節を感じられて好きなんですよね。
全てが同じように白くなる訳じゃなくて、結構パターンがあるンですよね。
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夏を感じる植物なのでオイラは結構好きで何度か記事アップしています。
半夏生(其の①)  半夏生(其の②)
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殆ど白くなる葉もあります。
これが花が開いたところ。
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因みに…
梅雨の末期で、半夏(烏柄杓<カラスビシャク>)という毒草が生える多湿で不順な頃とされています。農家の人達はこの日までに田植えを済ませ、どんなに気候不順な年でもこの後は田植えをしないという習慣がありました。
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地方によっては、ハンゲという妖怪が徘徊するという言い伝えがあり、この時期に農作業をしないようにという戒めになっているようです。
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半夏生までに田植えを済ませた農家では、この日の天候で稲作のできを占います。
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半夏生は、この植物にちなんで名付けられたとされています。
※ 烏柄杓(カラスビシャク)は毒草ですが、生薬としても用いられています。

これが以前記事アップした『カラスビシャク』カラスビシャクの記事
其の一品種の『紫半夏』
地域によっては、タコを食べる習慣があります。

さて、その科名の『ドクダミ』。ドクダミは、毒痛みと書きます。
コチラは、それこそどこにでも…薮でも埋め尽くすように繁殖して咲いていますが、ジックリ見ると結構綺麗な花ですよね。
北原白秋は、大正2年に刊行された彼の歌集『桐の花』の中で、ドクダミについて次のような歌を残しています。
色硝子暮れてなまめく町の湯の窓の下なるどくだみの花
白秋は『桐の花』の中に次のような歌も残しています。
どくだみの花のにほひを思ふとき青みて迫る君がまなざし
これはチョット珍しい八重のドクダミです。
園芸店で流通しているものには『白雪姫』という名が付いています。
ドクダミには園芸品種で『カメレオン』(爆)という、葉っぱがとてもカラフルな品種もあります。欧米では人気品種です。
コレが以前記事アップした『カメレオン』の葉っぱです。
白い通常のドクダミでは4枚の花弁、上の『白雪姫』では八重の花弁のように見える部分は、じつは本当の花弁ではありません。
これは『総苞片(そうほうへん)』と呼ばれる器官で、そして中心部の黄色い部分普通の花では蘂(しべ)のように見える部分が、たくさんの花の集合体です。
つまり、黄色のたくさんの小さな花が集まって、ひとつの大きな花のように見える形を作っています。
なお本当の花、小さなひとつひとつの花に花弁はありません。以前に記事アップしてます。→ドクダミ 5枚花弁の物もあります。
◇科名:毒痛み(どくだみ)科 ◇属名:ドクダミ属(Houttuynia=18世紀のオランダの医師で植物学者『ハウトイン(M.Houttuyne)』の名に因んだもの ◇学名:Houttuynia cordata(cordataコルダータ=心臓形の)||
学名にあるようにハート型の葉の先端に、十字型の白い花を咲かせます。
ドクダミの名は毒を矯め(収める)意味があり、即ち毒を止める効能があるところから。葉や地下茎は漢方薬になります。
ドクダミの別名は十薬(じゅうやく)と言って江戸時代の儒学者で本草学者である『貝原益軒』が著した『大和本草』には、馬に与えると「十種ノ薬ノ能アリトテ十薬ト号スト云」と書かれています。また、他の説に“名医別録(5~6世紀頃の中国の医師陶弘景)”には“輯(シュウ)”と集録されていて“シュウ”の音が転訛して“ジュウ”なり、多くの薬効が有る事から、“十薬(ジュウヤク)”と云うようになったと書かれています。
ドクダミは『大言海(大槻文彦著)』(※冨山房)では、次のように記されています。
『どくだみ』●=シブキ草 毒痛(ドクイタミ)ノ意カト云フ 古名、シブキ 草の名 →【しぶき】●=シブキ ハしふナリ、きハ木ノ義カ 草ノ名 今、どくだみト云ふ(※●=シブキという漢字がPCの書体にはないのです。古語辞典には載っていると思いますが…)
『倭名類聚鈔』には【之布木】『本草和名』では【之布岐】『岩波 古語辞典』には【しふき=● ドクダミの異名】
この古名は“滞る(とどこおる)”という意味の古語で“渋く(しぶく)”に因み、ドクダミが林下の湿った窪地に群生して毒気(悪臭)が立ち込めることから“毒渋き(どくしぶき)”が短縮転訛して単に“しぶき”となった説があります。