かわいいミルク
私の大好きなミルクが天国に行ってしまってから2週間が過ぎた。
お前との日々は、突然終わってしまった。
私たちはとてもさみしい。我が家で一番おしゃべりでうるさいお前が、一番末っ子のお前が、いなくなってしまった。
お前がいなくなってから家の中がとても静かだ。
毎朝ドアを開けるたびに元気玉のように飛び込んでくるはずのものがない。お前の形にへこんでるはずの椅子もそのまま。ご飯ー!ご飯ー!と鳴く可愛い声も聞こえない。響くはずの足音と鈴音も。
そのすべてがお前の不在を知らせるもので、そのたびにお前がもう帰ってこない寒々しい現実を突きつけられて、まるで心臓に弾丸が撃ち込まれたように痛んだ。
お前は晴れた日の朝、気持ちのいい朝、たくさんお外で遊んで、家に帰ってこようとしたんだね。
帰ってこないミルクを探して、探して、3日目についに探し当てることができた。まさかミルクに限って、事故なんて合わない。あいつはとても足が速くて、運動神経がいいやつなんだ。気も強いし、運もめっぽう強いやつ。だから、大丈夫だと、思ってたんだけど。
たどり着いた場所で、お前はまるで眠っているようだった。その後ろ姿。大好きな濃い茶色の虎柄。
傷ひとつなくて、血も出てない。なんて綺麗な姿だろう。なんて可愛い姿だろう。
ミルクを、再び返してくれて、この手に抱かせてくれてミルクにも、関わった皆様にも、神様や見えないものたちにも、感謝の気持ちでいっぱいだった。
えらいなミルク。すごいなミルク。
ちゃんと私を呼び寄せて、迎えに来てくれるのを待ってたんだな。
お前はなんて素晴らしい。
お前のようなやつは ほかにない。
お前は私の運命の猫。
お前はちゃんと帰ってきたんだ。お前のお家に。私のもとに。
私は、火葬するまでの数日の間、お前にありったけの想いを語りかけた。ちゃんと聞いてくれて、ありがとうな。肉体のあるうちに、伝えておきたかったことがいっぱい溢れてな。
お前の肉体をお空に返した日は、ふたご座流星群の夜だったからな。お姉ちゃん流れ星たくさん見たぞ。その中の1つにきっとお前が乗っていて、天国までひとっ飛びに送ってもらえただろう。
肉体は滅びても魂は消えない。
一度触れ合った魂の記憶は、きっと消えないんだ。
ミルク、お前はやんちゃで元気で、少しもじっとしていない、好奇心の塊のような猫。
まだ遊びの途中だな。朝ご飯もまだだったな。
ミルク。お前はまだ2歳だ。まだ若く、足も速いから、きっともう天国にとっくに着いただろう。
猫は天国で毛皮を着替えてまた戻ってくるらしい。その話が本当なら、どうか早く帰っておいで、私の元へ早く。
今度は寄り道するんじゃないよ。まっすぐ家にくるんだ。
今度は長生きしような。
また一緒に遊ぼう。一緒にご飯も食べような。
大好きだよミルク。
ああ ミルク
ミルクへの愛がほとばしる。
お前のこと大好きだったんだ。お前を膝に抱くとあったかい気持ちになった。お前の事はずっと見てても飽きなかった。お前との日々は本当に幸せだった。幸せなたくさんの思い出をくれて、本当にありがとう。
お姉ちゃん、これからもがんばるからさ。
見ててね、ミルク。
可愛い可愛い、私のミルク。