ああ明日はなき此の命

 胸に秘めたるその覚悟

 祖国の平和念じつつ

 南の空に翔び立ちし

 その名特別攻撃隊


知覧特攻隊の歌の2番の歌詞である。

何気に目に入った平和会館に入るまでの、数々のモニュメントの一つ。

この歌詞に、色んな思いが頭の中をグルグルと回ってきた。

死ぬことを覚悟し、様々な思いを背負いながら、祖国日本の平和を願いつつ、南の空に翔びたった若者たち。

帰ることの無い片道切符。

父母、祖父母、兄弟、姉妹、友人、恋人…。

色んな人の思いを胸に、ただただ彼らの安全、彼らの幸せ、命を守るために、或いは祖国日本、日本人を守るために、翔び立ち、散っていった若者たち。

明日は、死ぬかもしれない覚悟を胸に、最後の盃を仲間と交わしている時の、彼らのなんと清々しいことよ。

まるで、死を決意した人間とは思えないほどの眩しい笑顔さえ感じさせる。

あどけなささえ感じられる面影の残る若者たちの、誇らしい姿…。

自然に、胸のうちに熱いものがこみ上げてくるのを覚えずにはいられない。

館の中に入り、若い軍人たちの思い思いがつづられた手紙を読む。

これが、20歳そこらの若者が書く言葉だろうか…。

ある程度の経験を積まなければ、およそ書けないような言葉の数々…。

戦が無ければ、もっと自分のやりたいこと、経験したいこと、勉強したいこと、恋もしたかっただろう…。

それを全て飲み込んで、散っていった多くの若者たち。

戦争を賛美するでもない、軍人を賛美するでもない、
のだが、

この時代には、自分の命を賭して、日本の未来の平和を願い、散っていった多くの若者がいた、という事実を忘れてはならない。

先の大戦を賛美するわけでは全くないが、オレ個人は、日本を日本人を守るために、やむにやまれず起こされてしまった戦争だったと思っている。

その尊き命の代償として、現在の我々がいるのだ、ということを忘れてはならないと思った次第。

オレは、鹿児島に行く機会があれば、必ずや、知覧基地の平和祈念館に行き、特攻隊隊員たちを祀っている護国神社で、手を合わせたいと願っていた。

それが、今回の鹿児島行きの目的の一つでもあったのだ。

記念館前に飾られた陸軍の戦闘機「隼」の操縦席には、笑顔で敬礼をする若き特攻隊員が見えたような気がした。

心の中で、心から哀悼の意を表し、敬礼するオレなのであった。






「安らかにお眠りください」