寒いのだが、少しづつ春の匂いを感じる。

オレは春が好きである。

厳しい寒さがじんわりと和らいで、どこからか微かに花の香がしてくるような、そんな空気感が好きなのだ。

そして、この時期は、別れと出会いの時期でもある。

個人的には、娘の独り立ち、今月末には関東地方へと旅立つ予定。

思うことは色々あるのだが、オヤジとしては、黙って娘の未来の幸せを願うばかり。

オレも4月から正式に部署異動が決定し、新しい環境に身を置き、もうひと頑張りする状況となった。

場所も組織も実に新しい環境のもと、奮闘努力するのみである。

これまでに培ったであろう力を全てを出し切る思い。
(そんなのあるのかよ…笑)

新たなる挑戦、えーカッコすればそういう気持ちである。

結果は自ずと出てくる。

良い結果を出すべく、奮闘するのみである。

本社での会議を終え、営業所へと。

用事を済まし4時前に仕事を終える。

向かうは、オレのオアシス、チョッチね〜♪



尼崎のオアシス。

この店とも、また、少しの間、お別れすることになりそうである。



サッポロ生。

口開けの時間に飲む生も美味い。

しがないサラリーマンの喜びの一つ。

ツマミは、麻婆豆腐。



チビリ摘みながら、グビリとやる。

店内は、7、8名のお客さんがそれぞれ楽しんでいる。

熱燗も一杯だけ。



口を持っていき、すする。

温かい酒の香りがスルリと鼻の奥へと微かに抜け、喉の奥から胃へと液体が落ちていくのを実感する。

ウム…。

この空間が心地よいんだよなあ…。

静かに心が和んでいくのを感じる。

ふと、大ジョッキでハイボールが飲みたくなり、久しぶりにあの店へ。



実に久しぶりに来たのだが、非常に空いている。

早い時間だからか…。

メニューで目についた赤ナマコをツマミに。



ゴクゴクとジョッキからハイボールを飲む。

ビールじゃネーんだから、と独りごちる。

コリコリとした食感が心地よいナマコ。

タマには、良い。

しかし、以前に比べたらお客さんが減っているような気がする。

物価高の影響だろうか。

はたまた、近くにできたライバル店、晩杯屋の影響だろうか。

色んな影響があるんだろうな…。

歴史ある旧い酒場がなくなっていくのが非常に哀しい。

つい、先日も以前、支援業務を終えたあといっときマイブームになり通ってた、食堂『おかめ食堂』が閉店していた。

哀しかった。

これも時代の流れといえば、そうなのかもしれないが、哀しさを感じた。

旧い食堂や酒場が、無くなっていっている。

哀しむだけで、どうすることもできない。

せいぜい、通ってなけなしの金を落とすくらいである。

でも、そこに心のオアシスがある限り、フラリ、と寄っていきたい。

そんなことをふと、感じながら店を後にしたのだった。

ハイボールの爽快な酔いを感じながら賑やかな商店街を駅へと向かうオレだった。



頭の中には、クラプトンの優しいブルースが流れていた。