この軍人の名前は日本ではほとんど知られていないという。

ヨーロッパでは有名な軍人であったらしい。

私も全く知らなかった。

読んだ本は、「日本が感謝された日英同盟」というもので、著者は井上和彦氏、以前にもブログで紹介させて頂いたのだが、「日本が戦ってくれて患者しています2」の著者でもある。

佐藤皐蔵中将、その方は、第一次世界大戦において、船舶護衛のために地中海を駆け巡り、連合軍の勝利に大きな役割を果たした、日本帝国海軍、第二特務艦隊の司令官を務めた偉大な軍人の一人である。

イギリスの軍隊輸送船「トランシルバニア号」の救出によって、日露戦争における勝利以来、改めて日本帝国海軍の素晴らしさを世界に知らしめる事となった。

乗員3266人の内、約3000人を救助、Uボートの攻撃にさらされて沈みゆく艦船から、その乗員のほとんどを救助したという海難救助は他に例がなく、この日本海軍による偉業は、世界海事史上に燦然と輝くこととなった。

佐藤中将は、船舶護衛の中でも一番危険とされる「トループシップ」《軍隊輸送船》の護衛する任務を希望した。

理由として、

①我々は、日本民族の未だかって試したことのない、ヨーロッパ方面の檜舞台に出場する以上、つまらない任務はしたくない。いかなる苦労をなし、いかなる犠牲を払っても、ほんとうに働き甲斐のある仕事をしなければならぬ。
②今日の軍隊は、専門の軍人ばかりではない。軍人の中には、政治家あり、学者あり、新聞記者あり、著述家あり、実業家あり、というふうに、社会の各種各階級の人々を網羅しているのであるから、日本の軍艦旗の下に、これらの人々の危険なる海面を通じて護送してやったならば、感謝の念は永久に残って、その影響は永く帝国を裨益(ひえき=助けとなり役立つ)するであろうと考えた。

日本海軍はこのグレートウォーに参戦して2年5ヶ月で、輸送船767、75万人もの兵員を護送、7000人の救助という偉業を成し遂げたにも関わらず、実質的な損害は、駆逐艦「榊」のみ大破というほぼ、パーフェクトな戦いに終わったという…。

そして、ヨーロッパの国々(特に同盟国のイギリスだが…)に称賛されかつ信頼され、世界における列強の仲間入りを実力でもぎ取ったのであった。

世界各国に、これほどまでに信頼かつ称賛された第二特務艦隊という組織の司令官であった佐藤中将であったが、

大東亜戦争終戦後に子どもたちに宛てた手紙の内容に印象的な箇所があったのでごしょうかいしておきたいと思う。

①何よりも大切なことは、自分等は非常に大切なる任務を授けられたる尊き日本人であるから、如何なることがあっても決して屈せざる勇気を涵養することであります。
②宇宙は悠久であり、神州は、万世不易であります。如何に健康なる身体でも時には病気になります。蚕は、其の生涯のうち、数回病に悩まされ其の都度更生発達します。其れと同じ様に神州も今酷い目に悩まされておりますが、それがやがて、大きく発達する道程に於ける一難関であると思えば落胆するに及びません。況んや萎縮したり卑屈になったりしてはいけません。あくまで自尊心を維持し、前途に光明を認めて一目散に突貫すべきであります。
③もっと平和な手段で向上発展し万邦と幸福を享有することは、所謂八紘一宇の精神であり、皇国古来の尊き使命として、日本民族に課せられたる大事業であります。事頗る宏大なりといえども、我が民族は此位の雄大な抱負を持たなければなりません。

佐藤中将は、大東亜戦争に敗れ、落胆したこどもらへ、戦争に負けても日本人としての矜持を失わず、自身をもって前に突き進んで行きなさいと叱咤激励した言葉であるが、同時に現代を生きる我々に対しても、心に響く言葉であると思う。

「参加するからには、つまらない任務には服したくない、いかなる苦労をなし、いかなる犠牲を払っても、ほんとうに働き甲斐のある仕事をしなければならぬ」、として一番危険な「トループシップ」の護送に手を挙げた精神に、日本帝国海軍の「大和魂」を視た思いがした。

それほどまでに仲間の国々のために、自己犠牲を厭わず全力を傾注する日本軍人の姿勢に誇り高き武士道の精神をも視たのであった。

己も含めてであるが、平和ボケした国民、アメリカユダヤの一手下として唯々諾々と指示通りに動く岸田政権、政治家、官僚、財界人…。

仲間のために、この自己犠牲も厭わぬ日本帝国軍人の誇り高き精神性を、今一度考えてみろ、と言いたい次第でございます。