ノモンハン1939
  “第二次世界大戦の知られざる始点” 
 
という本を読み終えた。

スチューアート・D・ゴールドマンという方の著作である。

いつものように図書館で目にして、『ノモンハン...』聞いたことはあるけど、どんな内容が知らなかったので気になり、借りたのだ。

1939年5月−9月、ソ連と日本それぞれの傀儡国家であるモンゴルと満州国の国境をめぐって起きた局地的な紛争だ。

宣戦布告したいわゆる戦争というレベルのものではないにせよ、10万人近くの人員と1000もの戦車・航空機を動員、死傷者は3-4万にも及んだ。

もうこれは『事件』ではなく、紛れもない戦争レベルだ。

そして、日本はソ連に敗北したのだ。

第二次世界大戦の少し前の事である。

日本陸軍にとって初の本格的近代戦における敗北は、当時つとめて伏せられ、欧米の注視も極東の一隅として捉えられており知名度はいまいち。

著書は、実はこの事件が後の第二次世界大戦への始まりだったのではないか、という独自の視点から論じられた内容である。

結構分厚い単行本で、なんつーか、当時の世界情勢の複雑さに飲んだくれの脳みそがついていけず、

思考が何度か停止し、プチ失神状態となったのだが、まあ、なんとか読み終えたのだ。

あくまでも、この本を読んだ感想ということで少し書かせて頂く。

この本を読んで当時日本の置かれた状況、思いついた点などを箇条書きにしてみる。

・日中戦争の苦戦
  (ソ連による中国への支援)
・東京の参謀本部と現地軍(関東軍)の意思疎通の不足と、独走。
・大東亜共栄圏構想
・対ソ開戦と対米開戦の比較
・『精神力』を重要視する軍事綱領
  (他国に比べ、天然資源に恵まれず、工業力も高くなかったため、“精神力”において他国を凌駕することを重要視せざるを得なかった)

などなどだ。

しかし、ここでは敗戦理由云々はおいておく。

ただ、思った事は、大国ソ連との戦争とも言えるべく体験をし、戦力に圧倒的な差があって負けてしまった事をその後の大戦に生かしてないような気がしてならない。(軍部が同じ轍を踏む)

戦争は情報戦、そしてスターリンの恐ろしく冷徹な戦略に国の首領の資質を感じた次第。
(残忍な人間だが、強かさという意味で)