ちゃまが、自分が癌だという事を知っており

私から説明しなければならないという悩みから開放されたとはいえ

まだまだ悩ましい事は盛り沢山・・・・・・・・。


間もなく抗がん剤治療の開始です。


この”抗がん剤治療”、

私も数十年前から副作用についての噂は聞いていました。


でも、これまで私の身内に癌患者はいませんでした。

こんなものは自分には全く縁遠い話だとばかり思っていたのに、

まさか自分の妻が受けることになるなんて・・・・・・。


『きっと辛いんだろうな、苦しいんだろうな・・・・・

副作用で苦しむちゃまを、自分は直視出来るのか?』


不安でいっぱいでした・・・・・・・。



とりあえず、抗がん剤の副作用について調べてみることにしました。

これは副作用で苦しむ妻を直視するショックを

少しでも緩らげたかったというのが正直な所です。


脱毛、吐き気、嘔吐etc・・・・・・・

調べれば調べる程、残酷なものばかり・・・・・・。


それでも私は自分に言い聞かせました。

「今出来る治療は抗がん剤しかない!

これをやらなきゃ、ちゃまの命が危ない!」って・・・・・・・。



そして、ついにやってきました、抗がん剤治療の日が!


抗がん剤投与前に担当医師から

副作用についての説明がありました。


ハッキリ言って、事前に調べておいて良かったです。

何も知らないまま医師の説明を聞いていたら

またショックを受けて取り乱していたかもしれません。



抗がん剤投与時は面会時間外だったので

私は傍にいる事が出来ませんでしたが、

面会OKの時間になると、すぐにちゃまの所へすっとんで行きました!



ちゃま夫「・・・・・終わった?」


ちゃま 「うん、終わったよ。」


ちゃま夫「大丈夫?気持ち悪くない?」


ちゃま 「うん。今は何ともないよ。」


『まあ、今は投与したばかりだから何ともないんだろう。

でもその内・・・・・・・・・。』



その日から一週間が経ちました。

しかし不思議な事に、

副作用について書かれてあった症状は一向に出てこない・・・・・・・。

更に数日経っても、ちゃまは食欲旺盛、ピンピンしてます。



ちゃま夫「ホント大丈夫?気持ち悪くないの?」


ちゃま 「それが大丈夫なんだよね。私って強いのかなぁ・・・・。」



私は思いました。

『ひょっとしたら、ちゃまは本当に強いんじゃないか?

副作用は投与された100%の人が出るとは書かれてなかったし・・・・・。』


そう思っていた矢先です。

抗がん剤投与の日から約2週間後、

ちゃまの所へ行くと、ちゃまの枕が毛だらけに・・・・・・!



ちゃま夫「・・・・・・ちゃま・・・・・髪・・・・・・・」


ちゃま 「うん・・・・。昨日の夜あたりから抜け始めたんだ・・・・・・・。」



激しい脱毛が始まりました。

また、その日からちゃまの食欲が細り始め、

とうとう何も食べられなくなってしまったのです。


何も食べないのは良くないので、

アイスクリームやゼリーを用意して、それを食べてもらいましたが、

すぐに嘔吐・・・・・・。


こんな辛い日が10日程続きました。ちょっと長かったです。

おそらくちゃまは抗がん剤の副作用は出にくいけど、

一度出るとなかなか抜けないタイプだったようです。


次第にちゃまは元気が無くなり、

みるみる内に痩せていきました。


そんなちゃまを見るのは、予め予測していたとはいえ

本当に辛かった・・・・・・・・。

まるで胸の奥をえぐられるような気分でした。

いっそ自分が癌になって抗がん剤治療した方が

どんなに楽だったかとさえ思いました。



『これで抗がん剤が効いてなかったら、

オレは正常でいられるだろうか?・・・・・・・・』



そんな心中を他所に、

医師による一回目の治療の評価の日がやって来ました。



看護師「ちゃま夫さん、先生からお話がありますので・・・・・・・・」



私は唾をゴクリと飲み込み、医師の待つ部屋へ足を運びました。




        ・・・・・・・続く