ちゃまが、和田賢秀(わだけんしゅう)という人のことを知ったのは、たまたま見た新聞の記事がきっかけで、お墓を訪ねた時、実は名前も読めないくらい、彼に興味を持っていませんでした。
四條畷に、南朝の和田ナントカさんのお墓があるらしい。正行(まさつら)さんの神社の近くみたいだし、ついでに寄ってこー。名前は、行けば看板にフリガナでも打ってあるだろう。
そんないい加減なノリだったんです。
けれども、行ってみると、
ああ……フリガナが……ない
名前が読めないので、墓前に手を合わせても、呼びかけることが出来ません。思いの外気まずくなり、ちゃまは、冷や汗かいて、そそくさとお墓を退散したのでした。
ところが、お墓を出、四條畷神社へ向かおうと歩き出すと、フト、後ろが気になった。
振り向くと、お墓の回り込んだところに、さっきは気づかなかった看板が見えます。
何だろう?と戻ってみたところ。
思わず吹き出しました。
だって、まるで誰かが教えてくれたみたいじゃないですか。おう、おまえ困っているな。この墓の主の名は、わだけんしゅうって言うんだぞって。
それでもちゃまは、このイキサツを、ちょっとしたおもしろい偶然ぐらいにしか思っていませんでしたよ。
でも、おうちに帰って、やっぱりフト、気になって調べてみると、この人が、楠木の将士の一人として、四條畷神社に祀られていることがわかった。
そして、さらに調べていくうちに、彼はただ、楠木の武将であるという以上に、正行(まさつら)公の片腕であり、かつ幼い頃からの仲のよい友人だったことを知ったんです。
「和田賢秀は、楠木正行を語る時、決して外せない人物です」
正行に惹かれて何十年と彼を追っている人の言葉です。
あのお墓の主は、大好きな正行(まさつら)さんの、大切な相棒だったのか……
気持ちが急に、キュッと引き締まりました。
~続きます~

