戦争の記憶の断片

今年最初に泣いたのは、祖父の葬儀ではなかった。
祖父が危篤状態にあった時、見舞いに行った日の夜、自宅でドキュメンタリー番組を見た。
戦時中にカメラマンとして従軍していた米国人ジョー・オダネル氏の、ある少年を探す旅。
終戦直後の日本へ派遣された彼は、着任した長崎で少年に出会う。
年齢は10才ほど、背中に2才ほどの子供を背負っている少年は、背筋を張り指先までピンと伸ばし直立していた。
…だめだ、もう書けない。
2007年、ジョー・オダネル氏は少年を探しに日本を旅した。そして、少年に再び出会うことなく同年、氏はこの世を去った。
私は戦争体験がない。映画や写真や本により戦争を知っているが、それだけだ。しかしどんな表現の本や映画より、少年の写真は残酷で心に直接衝撃を受けた。
番組終盤、私は声を出して泣いた、本当に号泣した。