友人様にお借りしておりました。
上橋先生の新書。

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐/KADOKAWA/角川書店

¥1,728
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さすがこのタイプの本は読みごたえがありますね。
なんたって普通の文庫より時間がかかる。
お借りしている身としては申し訳ないのですが、時間をかけてみっちりしっかり読ませてもらいました。

この物語の世界は実に現実的な(ファンタジーですが)政治と統治と富と貧、生と死の世界がよくよく混じり合ってよくできた世界観だと思います。さすがは上橋先生でしょう。
私はこの作品が好きかもしれない。
ヴァンの心の中の怒りがわかる。虚無感というのが分かる。
何かに怒りをあからさまにぶつけ牙をむけれるばいっそそれなりに熱く生きていけるだろうと思う。
生きている者の葛藤や苦しみ、そして喜びも、作中のヴァンは静かながらにして見出していくその様は、小説の中のキャラクターというだけでは収まりきれない。
そういう魅力がこの作者さんはいつも登場人物に生命を与えているのだと思う。


鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐/KADOKAWA/角川書店

¥1,728
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下巻では鹿の王というタイトルに直接当たる部分がでてくる。
政治や国に翻弄されるのはいつだって平民や弱い立場人間。
人の身体もまた然り。免疫と病原体の関係。
ホッサルやミラルとヴァンとのやり取り。
すごく面白かった。
最後はユナの「しゅっぱーつ!あっちへ!」はすごく心強い。きっと彼らは再開出来ると妙な確信ができちゃう。
その後のストーリーも気になるなぁ。
精霊の守り人のように番外編でないかなー。

私が今まで云々と感じてモヤモヤしていた
「人という生き物」について鬱屈としていた事がこの本に書き記されていた。
読んでいる最中も、読み終わりも、ものすごい不思議な気持ちだ。
私もこの本を買おうと思う。