05-水蒸気圧縮の壁-2 ターボ式 | 【自然冷媒 「水」 のエアコンを創る】

【自然冷媒 「水」 のエアコンを創る】

ヤフーブログからの引っ越しです。当面は過去投稿記事保存が目的です。

2008/3/24初版、2009/8/6修正04

         従来型ターボインペラ                         新開発ターボインペラ
イメージ 10イメージ 11

     上の図は、従来型ターボインペラ(左)と新開発ターボインペラ(右)との気体の流れの比較です。
     新開発ターボインペラでは従来のインペラと違い「回転流」になるので「極端な流れの偏向」が無く、
     「乱流」の発生が無いので無理なく気体を滑らかに「加速」することができます。



 現代のターボ圧縮機を使っても水蒸気の効率の良い圧縮は出来ない。
  このことをCGを使った分子の動きから説明してゆきたいと思います。
 図1
イメージ 1「ターボ」とか「遠心式」と呼ばれるものに使用されるインペラ
の基本的原理はみな同じなので、理解が容易な左図の様
な単純なインペラ形状で説明したいと思います。
(注:赤い玉は流れを認識するために入れているだけで意味
はありません。)

 図2
イメージ 2一般に「ターボ」「遠心式」と呼ばれる「送風」
や「圧縮」に使われるインペラは、
技術的にも成熟し多分野で活用されていますが、使用条件は大気圧以上の圧力に限られています。
簡単に原理を説明すると
インペラの回転する羽根によって、気体が抵抗
無く外部に押し出されれば、図3で羽根の通り
過ぎた後の黄色の部分に負圧が発生して、
 図3                                     そこに吸い込まれる流れと、羽根によって気体
イメージ 3が押し出される作用によって、矢印のように
気体が流れます。
    
遠心力で流れが出来ている訳ではない事は
【気体分子運動14 遠心力】
【冷却サイクル ターボ式】
を、お読み下さい。
また、気体の「流れの原理」は
【気体分子運動8 粘性流】をご覧下さい。

このターボインペラを下の図の冷却サイクルの「水蒸気圧縮機」の所に組み込み水蒸気を圧縮することが出来れば「水エアコン」は実用化できるわけです。

                  図4
イメージ 4

             組み込んだ所の部分を拡大してみると
          図5
イメージ 5

ターボ圧縮機を組み込み、分子がこのような流れになれば理想的なのですが、実際は水蒸気分子を押し込むことが出来ずに下の図のようになります。
          図6
イメージ 6

 図7
イメージ 7この時の分子の動きの様子をコマ送りで見てみると、送り出した分子
は跳ね返されてインペラ内に戻っていることが判ります。
これは専門用語で「翼車内誘起速度」と言われるもので、図3の黄色
の負圧部分に発生し、サージング、旋回失速の原因となる「乱流」
なのです。[注:ジェットエンジンや自動車のターボインペラは、吸込
み側に大気速度の空気の流れがあり条件がまったく違います。]
まして図6のように凝縮器をつけて「行き止り」になったような状態で
は、インペラ内で乱流の乱舞状態になりまったく流れることも圧縮
することも出来ません。
これは分子を短い距離で加速しても、分子を羽根で「叩いている」のと同じ状態で、元々吸入側から直角に偏向しているのと、羽根の形状
が3次元的でないので分子の偏向方向がバラバラだからです。

それでは「ターボは流れが無いとダメだ」と言うことで、間に容積式の圧縮機を入れて「過給器」代わりに使う方法が下の図です。
          図8
イメージ 8

どこかで見たことあるような配置ですね。そうです!                 このピストンがエンジンであれば自動車のターボシステムと同じです。
この方法は元々ターボが無くても圧縮できる容積式の圧縮機が入っているため
【05-水蒸気圧縮の壁-1 容積式】で説明したとおり一応冷却効果は確認できますが、
能力はフロン冷凍機の1/5にもならず
ターボを過給器代わりに使っても自動車と同じでピストン圧縮が「主体」であり能力が二倍三倍になる訳ではないのです。
          図9
イメージ 9

図9も原理的には同じで、他冷媒の冷凍機を入れたり、このターボ圧縮機を「過給器」代わりに使う従来技術をいくら組み合わせてみても飛躍的な効率は見込めないにもかかわらず
       多くの研究者がターボ圧縮機にこだわる理由・・・・それは
     水蒸気の理論圧縮体積がターボインペラで十分可能な量!
      なのです。しかしこれまでに説明してきたように、水蒸気を圧縮するには
   現代のターボのインペラ形状では原理的に不可能です!
このインペラは元来「水用のポンプ」から発達してきたものですが、遠心力が強力に働く「液体」の水には有効でも「気体」に使用するには無理があります。実は100年前に出来てから形状の変化がほとんど無いのです。
かといって、気体の流れは3次元的な動きなのでそれに合わせた曲面の設計や造形の技術は、最近の驚異的なコンピューターの進歩が無ければ出来ないことでもあります。そのインペラ設計の手法を確立した上で、新しい「インペラの流体理論」を発見しないと従来のターボインペラの問題点を解決することは出来無いのです。
       つまり、水蒸気を効率よく圧縮するには
     「新しい方法の発見」しか無いと言うことなのです。





この自然冷媒である「水冷媒」を使った「水エアコン」、または新開発の「ターボインペラ」に   関しての、お問い合せ、ご意見、共同開発、技術提携などがありましたら           info@pid.co.jp またはchallengeyu@yahoo.co.jp までお願いします。
イメージ 12

この記事は以前に投稿した【水エアコン解説 】書庫の中の記事を、順次内容を修正、加筆して「仕上げ」ながら再投稿しています。前回分のこの記事には暖かい励ましやご意見のコメントを頂きありがとうございました。 今後とも宜しくお願いします。m<(_ _)>m


にほんブログ村へ(この文字をクリック)
↑毎回クリックしてもらえると、ブログ運営の励みになるので宜しくお願いします。m<(_ _)>m