2008/2/16初版
2005年7月頃の話 |
あ”~~~~~~~~~~!!! どうすれば水蒸気を圧縮できるんだ~~~!!(笑) |
前回
【22 水蒸気には遠心力が働かない】で、
私は水蒸気を「遠心力」では圧縮できないことを知りました。 |
まさか気体には遠心力が働かないなんて・・・・・・(この内容は
【気体分子運動 遠心力】で解説しています)
呆然と立ち尽くす私に、お前には無理だ!諦めろ!と分別の あるささやきが・・・・ |
あれ?その当時ぜんぜん聞こえんかったな?・・・・・はははははは |
そうや!!解ったぞ!!大きい羽根で |
ウチワみたいにあおげばいいんや~~♪!! |
よォ~~~~し!。やったるわい!! |
すぐに立ち直った私は、すごい勢いでパソコンのマウスをクリックして、2枚羽根の設計考察を開始しました
・・・・・・・・・・・・・ぜんぜん懲りとらん(汗)
図1
羽根を多翼にした場合は「負圧部分」が小さくなるため分子の加速力が小さくなるのが分かっていたので、
(極端な場合は
【冷却サイクル ターボ式】で書いた平行翼のように、遠心力は働かないので負圧部分を無くするとまったく流れない!!)
2翼の羽根を、双曲線の曲率を変換した曲線を使って制作しました。これは、
空間部分が大きいためその部分の水蒸気を一気に加速できると 目論んだからでした。(笑) |
図2
流れは左図の赤いラインのように流れます。
材質はSUS304です。
これも、どうやって形を作ればいいのか分からず、平板に切込みを入れて折り曲げでそれに近い形を作ったり、金切りバサミで切って溶接器でつないでいったり
どうしてもうまく行かず、頭にきて(笑)、最終的には下の図のように3DCADの曲面の形状を2次元展開図に変換して切り板形状を作り、アセチレン溶接機であぶりながらハンマーで叩きだして行くという原始的な方法で(笑)、制作することが出来ました。
その数、全部で30枚以上・・・・・・二ヶ月以上、来る日も来る日もハンマー片手に「ガンガン。。。ガンガン。。。」・・・・
おまけに、気が狂ったように毎日マウスをクリックし続けです(笑) |
図3-1 図3-2 図3-3
双曲線の曲率を変換しながら立体形状を策定してゆきます。
図3-1、全体図です。
図3-2、形状の考察作図で、この段階で流れに対して羽根の傾きと力のかかる方向を考察
して羽根の形状を決定します。
図3-3、現場でステンレスの板を板金加工する時の、形状確認用です。
図4-1 図4-2 図4-3 図4-4 図4-5
図3の2DCADで策定したデータを基に3DCADで形状を作り、2次元の展開図に変換してゆきます。
図4-1、3Dに変換して形状を確認します。
図4-2、真上から見た図。(スクリューの形に似ていますね!売り込みにいこかな。笑)
図4-3、羽根の表面に矛盾が無いように、平面を貼り付けてゆく作業。
図4-4、3次元形状から2次元展開図を広げて行く作業。
図4-5、2次元展開図の完成。板金して厚みが均等になるように考慮してあります。
図5-1 図5-2 図5-3
図5-1、図5-2、出来上がった展開図を原寸大でプリントアウトします。
2つセットになっているのはステンレス板の裏表に張るためで、曲げの基準線を記入してあります。
そして板に貼り付けた後カッターでなぞって罫書きを入れます。
図5-3、ハウジングの形状も原寸大でプリントアウトしておいてダンボールに貼り付け切り抜いて
ゲージ代わりにして、板金加工しながら羽根を回転させた時に接触しないかどうか確認しながら、
少しづつハンマーで伸ばしてゆきます。
組立てが終わり、例の如く(笑)万感の思いで実験を行います。 |
図6
結果はもちろん!! 温度なんか下がりません!(笑) |
装置全体の様子は
【03-水エアコンの仕組み-2】を参考にしてください。
左の図は、アクリルの透明な筒の中での運転中の様子ですが、インペラの回転につれてアクリルパイプの内側に
そういう風に見えるかな?(^_^;)
理論上では「圧縮する」と言うことは分子の密度を増やすことであり、それを実現するには蒸発側の水蒸気分子を加速して凝縮器側に送り込み凝縮器側分子の「平均速度」が上昇すれば、液化(凝縮)出来る訳ですが、どれくらい加速すればよいのか?(理論値では計算してあります)、本当に加速した水蒸気が液化するのか? という不安感があったものが、この現象で、
この形状のインペラは加速距離が長く取れるので「翼面のソリ」に沿っての加速力と分子の収束率?が大きく、 強力な動圧の発生で吐出してアクリルのパイプ内壁にぶつかり、その場所で静圧に変換され
一瞬凝縮して「曇り」ますが、次の瞬間には再び蒸発して消えてしまいます。 |
これは、ターボの羽根などと同じように、インペラ内部に大きな負圧部分が発生しているためで凝縮側の分子が羽根の通り過ぎた後に吸い込まれ、吹き出した量と同じだけ逆流するからです。これが蒸発側から吸い込めば 問題は無いのですが、凝縮側の分子の方が密度が高く(平均速度が速い)「誘起速度」の流れが出来てしまうからだと考えています。
その「白い曇り」は単なるあだ花だ~~~~(笑) |
温度を下げることには失敗したものの「水蒸気を加速して送り込めば簡単に凝縮する!!」という事実を確認できた意義は大きいと思っています。 |
この記事は以前に投稿した【水エアコン開発】書庫の中の記事を、順次内容を修正、加筆して「仕上げ」ながら再投稿しています。前回分のこの記事には暖かい励ましやご意見のコメントを頂きありがとうございました。 今後とも宜しくお願いします。m<(_ _)>m |