2008/2/25初版、2009/4/21修正04
静圧と動圧・・・・これも説明の難しい概念の一つで、水エアコン開発上避けては通れない 気体分子の動きですが、 |
その分子運動の基本原理は「方向と速度」だけなのです。 |
図1
人間は、便宜的に「圧力」「体積」「温度」「密度」「エネルギー」「エントロピー」
「理想気体」などいろいろな尺度を考え出しましたが、各粒子の持っている相対的
な速度によって説明することが出来ます。
ただ角砂糖一個の体積に10の19乗個もある分子の動きを一個一個考えるわけ
にはゆかないだけの話です。
その単純さが組み合わさってゆくだけで、とんでもない複雑な動きをするようになります。ちょうど、
0と1の組み合わせで、パソコンがあらゆることを可能にしてゆくのと似ています。 |
(そのコンピューターの進化は、法則や概念に頼らずに全てを解析できるかも知れません)
この「静圧と動圧」の関係もまさに |
気体分子の「方向と速度」の単純な組み合わせだけなのです!! |
静圧と動圧の関係を表すのに、下の図のように2つの箱を管でつなぎ、中に一種類の気体を入れて仮に一瞬、二つの箱に圧力差ができたとします。この場合、この図では圧力の高いほうから低い方へ気体分子が移動します。
図2
この時の二つの箱の中の「各分子」の持つ「平均速度」を、 |
静圧 |
中央の管内を通過してゆく「分子の塊」の「速度」を |
動圧 |
と考えます。多くの人が「静圧と動圧」の関係が理解しにくいと言いますが、
「圧力」という「言葉」に捕われてしまうので勘違いしてしまうと思います。
この分子の進む方向の違いを言い比べてみると
静圧は 「各分子」がバラバラな方向 |
動圧は 「静圧を持った分子の塊」が同一方向 |
に進む状態であると言えます。
この基本原理さえ理解できればあとは「圧力」とは分子の質量と速度による「衝突回数」ですから、圧力の作用する面に対して計算すれば「圧力値」を求めることができます。
上の図の二つの箱をつないでいるパイプを3DCGで拡大してみると、
図3
に、なりますが、これは流れの概念的な表現としては十分でも、「分子の動き」と見ると全部の分子が「一方向」に進んでいるのは矛盾があり、静圧と動圧の概念を考慮すると下の図のような表現になります。 |
図4
動圧を持って流れている状態は図の赤い円の中のように塊の中ではやはり図2の二つの箱の中と同じように分子がランダムに飛び回る「静圧」を持っています。 |
この「圧力」の関係を知るには 【気体分子運動 圧力 その2 】 も参考にしてください。 |
図5
流れの無い場合は、左図のように単体分子の配管内壁に衝突する力「静圧」のみになります。 |
ここで注意しておかなければならないのは「静圧」とは「配管内壁」や「圧力ゲージ取り出し面」に衝突する単位面積あたりの分子の力だけではなく、この仮想の赤球の「内外面」でも同じ作用をしていることの認識が必要です。 |
注:「全圧」とは、この進行方向の速度「動圧」と、赤い円内の分子の持つ平均速度「静圧」を足したものです。 このことは
【特定エリア】の図5、6も参考にして下さい。
この図4のように動圧を与えられた気体分子は、
「赤い玉のエリア」内の分子のように、各分子は
ランダムに飛び続けながら「全体の分子」は同一方向に進んで行く |
という状態になり、各分子は
「動圧」の速度分だけ、流れの無い「静圧」だけの時に比べて |
「エネルギー」を多く持つ |
ことになります。
このことは、気体が質量による慣性力で移動している訳ではない |
と言うことの証明でもあります。 |
この記事は以前に投稿した【 気体分子運動 】書庫の中の記事を、順次内容を修正、 加筆して「仕上げ」ながら再投稿しています。前回分のこの記事には暖かい励ましやご意見のコメントを頂きありがとうございました。 |