2008/3/7初版、2009/2/04修正02
水蒸気を圧縮するとはどういうことか? |
温度と密度の関係を分子レベルで、概念的に説明したいと思います。 |
下の図は密閉された容器の中に上段は「フロン系冷媒」下の段は「水」を入れた時の、各温度の
分子の「個数」の割合を模擬的に表したものです。
容器の中の圧力は、その蒸発した分子の質量と個数と平均飛行速度によって決まります。 |
冷媒の種類によって各温度で空間に蒸発できる分子の個数は決まっていますが、各温度の状態を
図の上下で見比べると、水はフロンと比べると分子の蒸発できる「個数」が、はるかに少ないこと
が判ります。
このことは分子量の違いも影響して(フロン100前後、水18)、例えば下の図の0℃の上下の比較では、フロンガスの圧力(R22)は大気圧の4倍、水蒸気圧は真空に近くなる、という圧力の違いとなって現れます。 |
各温度帯の容器内分子の簡易割合表示
この密閉された容器の中で、上の図にあるようなそれぞれの温度条件にするのが、冷凍サイクル
やヒートポンプの仕組みですが、その原理は
単に低い温度帯にある分子を高い温度帯に移動させるだけ |
で、低い温度帯では蒸発作用で温度が下がり、高い温度帯では凝縮作用で温度が上昇します。
エアコンで頻繁に使用される温度範囲、例えば20℃で蒸発し30℃で凝縮する場合を例に取ると、
分子を移動させることにより、最初は二つの箱の温度が同じ25℃だとしても、分子を移動させることにより20℃と30℃の温度差ができます。
水の場合も他の冷媒の場合も原理は同じなので、左の図のように箱の中の温度は20℃と30℃に分かれますが、
上の図のように冷媒の性質により、同じ温度で蒸発できる 分子の密度が違っても、いずれの冷媒も密度が2倍ぐらいになれば20-30℃の温度差が取れるのですが、これを左図の黄色枠の様に体積を押し出したとしても、水は体積比でフロンガスの2000倍ぐらいあり、蒸発潜熱の差による重量比を計算に入れても、フロンなら1回で済むものが、
水蒸気では200回以上も送らなければ同じ効果を得られないことになります。つまり水蒸気を ピストンで圧縮させてもフロンの1/200の能力しか出せないということです。 |
それは水蒸気では「圧縮」と言えるほどの圧力差もないので、フロン等の冷媒と比べると、
体積は2000倍でも圧力差は2000分の一なのです。 |
つまり、大きな圧力差は必要なくて
ピストン式の200倍の体積を送り込める能力があればいいのです! |
これは例えれば、一部屋を冷房するのに「台所の換気扇」程度の風量であり、けっして実現
不可能な量ではありませんが、
世の中に、その能力を満たす機械式の圧縮機が存在しないのです。 |
(参考例:使用圧力域2~5kpa、モータ400W、20m3/min)
唯一、水蒸気の分子を「ピストン式の200倍近くの体積を送り込める能力」があるのが 吸収式冷凍機と呼ばれる化学薬品を使った方法です。 |
が、今度は「再生器」と呼ばれる所で熱源が必要になり、機構が複雑になり、メンテナンス性、
コストパフォーマンス、運転管理など「フロン冷凍機系の効率」に追いついてはいません。
もう50年以上の歴史があり、研究し尽くされています。 |
これらの説明から、水蒸気の基本的性質から見た場合容積式圧縮では現象は確認できても、
容量的に「能力不足」と結論することが出来ます。(ルーツ、スクロール、スクリューも同様)
その能力不足をターボ圧縮機などで補おうとしても意味がありません。 |
詳しくは、【水エアコン解説】書庫の
【ターボ式】 【容積式】についての解説を御覧下さい。
この問題を解決するためには、従来のターボ圧縮機や軸流圧縮機の羽根形状を根本的に見直す必要があり |
従来に無い新発想のインペラ形状と流体理論でなければ、 |
水冷媒の効率的な圧縮は不可能なのです。 |
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この自然冷媒である「水冷媒」を使った「水エアコン」、または新開発の「ターボインペラ」に、関してのお問い合せ、ご意見、共同開発、技術提携などがありましたら info@pid.co.jpまたはchallengeyu@yahoo.co.jpまでお願いします。 |
この記事は以前に投稿した【水エアコン解説】書庫の中の記事を、順次内容を修正、加筆して「仕上げ」ながら再投稿しています。前回分のこの記事には暖かい励ましやご意見のコメントを頂きありがとうございました。 |
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