現代のターボ圧縮機を使っても水蒸気の効率の良い圧縮は出来ない。 |
このことをCGを使った分子の動きから説明してゆきたいと思います。 |

(注:赤い玉は流れを認識するために入れているだけで意味はありません。)
図2
一般に「ターボ」「遠心式インペラ」と呼ばれる「送風」や「圧縮」に使われるものは技術的にも成熟し多分野で活用されていますが、使用条件は大気圧以上の圧力に限られています。
簡単に原理を説明すると
インペラの回転する羽根によって、気体が抵抗無く外部に押し出されれば、図3で羽根の通り
図3 過ぎた後の黄色の部分に負圧が発生して、
そこに吸い込まれる流れと、羽根によって気体が押し出される作用によって、矢印のように気体が流れます。
遠心力で流れが出来ている訳ではない事は
【04-水蒸気の性質-3 遠心力】 【冷却サイクル ターボ式】 を、お読み下さい。

この図だけを見るとヘアードライヤーのようにも見えますね(笑) |
インペラの回転する羽根によって、気体が抵抗無く外部に押し出されれば、図3で羽根の通り
図3 過ぎた後の黄色の部分に負圧が発生して、

遠心力で流れが出来ている訳ではない事は
【04-水蒸気の性質-3 遠心力】 【冷却サイクル ターボ式】 を、お読み下さい。
このターボインペラを下の図の冷却サイクルの「水蒸気圧縮機」の所に組み込み 水蒸気を圧縮することが出来れば「水エアコン」は実用化できるわけです。 |

組み込んだ所の部分を拡大してみると |

ターボ圧縮機を組み込み、分子がこのような流れになれば理想的なのですが、 実際は水蒸気分子を押し込むことが出来ずに下の図のようになります。 |

図7

これは専門用語で「翼車内誘起速度」と言われるもので、
図3の黄色の負圧部分に(通常大気圧で使用していて流れのある場合でもある程度)発生し、サージングやキャビテーションの原因となる「乱流」なのです。
まして図6のように凝縮器をつけて「行き止り」になったような状態では、インペラ内で乱流の乱舞状態になりまったく流れることも圧縮することも出来ません。
これは分子を短い距離で加速しても、分子を羽根で「叩いている」のと同じ状態で、元々吸入側から直角に偏向しているのと、羽根の形状も3次元的でないので分子の偏向方向がバラバラだからです。
それでは「ターボは流れが無いとダメだ」と言うことで、間に容積式の圧縮機を 入れて「過給器」代わりに使う方法が下の図です。 |

どこかで見たことあるような配置ですね。 そうです! このピストンがエンジンであれば自動車のターボシステムと同じです。(笑) |
【06-水蒸気圧縮の壁-1 容積式】で説明したとおり一応冷却効果は確認できますが、 能力はフロン冷凍機の1/10にもならず
ターボを過給器代わりに使っても自動車と同じで ピストン圧縮が「主体」であり能力が二倍三倍になる分けではないのです。 |

図9も原理的には同じでひどい場合は他冷媒の冷凍機を入れたり、このターボ圧縮機 を「過給器」代わりに使う従来技術をいくら組み合わせてみても飛躍的な効率は見込 めないにもかかわらず |
多くの研究者がターボ圧縮機にこだわる理由・・・・それは |
水蒸気の理論圧縮体積がターボインペラで十分可能な量! |
なのです。 しかしこれまでに説明してきたように、水蒸気を圧縮するには |
現代のターボのインペラ形状では原理的に不可能です! |
このインペラは元来「水用のポンプ」から発達してきたものですが、「液体」の水には 有効でも「気体」に使用するには無理があります。 実は100年前に出来てから形状の変化がほとんど無いのです。 |
かといって、気体の流れは3次元的な動きなのでそれに合わせた曲面の設計や 造形の技術は、最近の驚異的なコンピューターの進歩が無ければ出来ないこと でもあります。 そのインペラ設計の手法を確立した上で、新しい「インペラの流体理論」を発見 しないと従来のターボインペラの問題点を解決することは出来無いのです。 |
つまり、水蒸気を効率よく圧縮するには 「新しい方法の発見」しか無いと言うことなのです。 |
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