06-水蒸気圧縮の壁-1 容積式 | 【自然冷媒 「水」 のエアコンを創る】

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  この記事を最初から読むには【水エアコン解説】書庫を、番号順にお読み下さい。   分子運動をCGで表現する基本概念は【分子運動CGの限界】を、ご覧下さい。

 容積式圧縮機は、なぜ水蒸気を効率よく圧縮できないのか?
       今回はその原因について書いてみたいと思います。

イメージ 1

     上の図は、ピストン式の容積圧縮機を使って水冷媒の冷却サイクルを組んだCGです。
     水冷媒を研究するに当たり、多くの研究者がまず最初に行う実験方法です。
     図ではピストンを使った例ですが、
容積式圧縮機にはスクリュー、ルーツポンプ、スクロール式なども含まれます。
     一般的には、この形式の機械式圧縮機は水を嫌うため「水分不可」であり、液圧縮の可能性
     のある水蒸気は「使用不可能」になっています。
     圧縮機の用途としては「高圧縮」を目的としているために、低圧大風量の水蒸気の圧縮には
     本来向いていませんが、冷却作用の現象の確認程度の短時間使用する分には問題はありません。
  仮に容積式で水蒸気を、フロン冷凍機の半分でも能力が出せれば問題は無いわけで、    能力不足はピストンを大きくしたり回転数を早めたり「工夫」すれば解決出来ます。
 ところが、容積式で効率的な水蒸気の圧縮は原理的に不可能なのです!

イメージ 2上の図のピストンの部分を拡大してイメージ的に気体がどのような流れになるかを見てみると、左の図のように流れるのは大気圧以上の圧力で高密度の場合に限られます。
水蒸気もこのような流れになるといいんですが・・・・
【04-水蒸気の性質-4 温度と密度】で書いた様に、 フロンガスのような高分子で高圧高密度な気体の圧縮と  水蒸気の低圧低密度の圧縮とはまったく次元の違う世界  なのでこのような流れにはなりません。

イメージ 3左の図は低圧低密度での水蒸気の流れを、実験中に使った真空ポンプの吸引の状態から推察した乱流発生の一例としてCG化してみました。
赤い分子の動きに注目してください。
これは液体が管内を流れる時に、急激な弁の閉鎖により 発生する「ウォーターハンマー現象」と呼ばれる現象とよく似ていると思います。
このような機械的な動きのあるところで乱流が発生して
極端に流れが悪くなってしまうのです。
水蒸気は「分子流」と「粘性流」を併せ持つような流れを呈し                                 ますが、この辺りにも水蒸気圧縮の難しさがあります。

 この現象に限らず、容積式は必ず流体の流れをどこかで「遮断する」必要があり高速で   連続した流れにならず、原理的に「パルス的」な流れにならざるを得ないので、                        分子量の小さい水蒸気では
        どうしても「乱流の発生」は避けられないのです。
 もし仮に「乱流の発生」の無い方法があったとしても機械的、容量的に「容積式」では    能力を満足することすら出来ません。                                                                                      このようなパルス的な流れと、流れに対して機械的な作用をする
     スクリュー、ルーツポンプ、スクロール方式も
  同じく乱流が発生して水蒸気を効率よく圧縮することは出来ません。
      その乱流の様子のCGは・・・・・・・・・・・作るのがめんどくさい!(笑)

       容積式ではフロン冷凍機の効率の1/10にもならず、            原理的にも高効率な水蒸気圧縮機が出来る可能性はゼロです。


    次回、【06-水蒸気圧縮の壁-2 タ-ボ式】では、なぜ従来のターボ式では          水蒸気を圧縮出来ないのか?。。。。。に迫ってみたいと思います。(^_^)





  この記事は以前に投稿した【水エアコン解説】の中の記事を、順次内容を修正、加筆    して「仕上げ」ながら再投稿しています。                              前回分のこの記事には暖かい励ましやご意見のコメントを頂きありがとうございました。
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