長女は保育園の年長の頃から、そうま君が大好きだ。一年生になった今でも大好きで、ついには残念なことに結婚相手がパパからそうま君に変わってしまった。
なぜ好きなのかと聞くと、みんなで追いかけっこするといつも最後まで捕まらずに逃げ続けることができて格好良いらしい。
 
あぁ、なるほど。たしかにそうだった。
男のモテる属性とは、小学生は「足の速い子」、中学生は「チョイヤンキー」、 高校は「部活のヒーロー」、大学は「コミュ力があるオシャレな子」、社会人になると「収入の高さ」などと遷移する。僕も足だけは速かったので今振り返ってみても人生最高のモテ期は小学生だった。
 
諸説はあるだろうが、いずれにしても小学校から大学までの時期は、スポーツが得意で、皆の注目を集めるといった「雰囲気」や「見た目」といった視覚情報で男の子がモテる説に異論はないと思う。
 
 

 駄目おっさんあるあるのインパクトは大きい

昨年秋、ある企業の経営者が「コロナ禍ビジネスを一緒につくりたい」ということでご来訪頂いた。

わざわざ遠方からはるばる経営トップにお越し頂けるということで、僕みたいな立場だけでは失礼だと思い、うちの部長も含めた面談の場をセッティングした。横で聞いていて非常に頭がキレるし、うちの部長とも話が合うしビジネスコンセプトも悪くない。これは話がまとまるだろうな、と思った。

初対面であったが、次第に雰囲気がわきあいあいとしてきて、上着を脱ぐように勧めたその時だった。
 
白シャツから見事に白のタンクトップが透けていた。僕ですら「あぁ、」と思うほど残念な印象を受けた。「おっさんあるある」のマイナスポイントである。

面談後に部長が僕に漏らした言葉に「彼の服装を見てなんとなく信用ができないと感じた」と言った。その理由は「会社のトップで重要な商談をするのに、あのタンクトップ透け透けはなぁ。関係ないと思いながらも途中から頭に入ってこなくなってきた」と言うことだ。

やはり「雰囲気」や「見た目」が与える影響は大きいのだ。
 

 人は見た目が9割ではないが、見た目が残酷であれば不倫も許される

調べたらもう15年も前だった。
 「人は見た目が9割」という本が190万部を売り上げ、ロングセラーとなった。 
おそらく本を読む習慣がない人であっても耳にしたことはあると思う。

要点だけいうと人の第一印象による情報は、視覚からの情報が55%、聴覚からの情報が38%、言語そのものからの情報が7%だとされる。 
 
 「非言語コミュニケーション」である 聴覚情報と視覚情報は第一印象の9割も影響するから意識してくださいね、というもの。
「話の内容よりも見た目の印象が大事」という間違った解釈がされがちであるが、そうではなくて「情報を伝える時には、聴覚や視覚にもしっかりと働きかければより伝わるよ、大事だよ」という意味である。
 
先の例で言うと「同じ肩書」の「同じ人」が「同じ話」をしたのに上着を脱ぐ前と、脱いだ後では別人が話してるのかというほど内容が伝わってこなくなった。

身近な例で考えると鼻毛が出ている美男あるいは美女がどんなに素敵な愛の言葉をささやいても、鼻毛が気になって僕たちは恋心が芽生えてこない。もっと言えば時間が経ってもその人をみるたびに鼻毛の印象が強くて、なくなってたらそれはそれで、あ、昨晩処理したんだとか思ってしまう。
 
時代の寵児と言われたミュージシャンが数年前、看護師との不倫が疑われる現場を週刊誌にスクープされた。しかしそのスクープを受けてテレビの情報番組は、それまでの「ハーフタレントの不倫」や、「育休中の国会議員の不倫」のときと様相は異なり、スクープした週刊誌を叩く傾向があった。奥さんが療養中であり介護は大変なんだ、わからない人が面白がってネタにするようなものではない、心の拠り所が必要なんだ、これはスクープしてはいけないなど週刊誌をボロカスに叩きだしたのだ。
 
そこからの当の本人の会見は早かった。世論に後押しされるかのように憔悴しきった顔で一貫して「(くも膜下出血で倒れた妻の)介護疲れ」「妻は小4のドリルを面白がってやっている状態」を主張。

また聞かれてもいないのに「何年も前から男性としての機能はない」。そして最後は「引退」を口に出して世の同情を買って「可哀想な僕」を見事に演じきったのだ。

このミュージシャンの女グセの悪さは誰もが知るところで、僕は当時から若い美人看護師と夜な夜な遊んでおきながらバカじゃないの、って思っていたが結局、当時の嘘もバレて、「単純に不倫関係だったこと」、「妻の介護は殆どしていなかったこと」、「引退なんて全くする気のないこと」など会見時に突貫工事で「可哀想な僕」を演じていたキャラクターの化けの皮はすぐにはがれた。
 
不倫謝罪会見は世間から大バッシングを浴びる場になることが多い中、彼は事実とは異なる言語情報だけでなく、聴覚情報と視覚情報を巧みに操って人の感情に働きかけて難を免れたのだ。
 

 表情が伝わらない時代に必要なもの

現在、我社では昨年から継続して在宅勤務が推進されている。


子どもたちもオンライン授業が導入されるなどこの一年で取り巻く環境が全く変わってしまった。顔を合わせて行ってきたコミュニケーションと比較して、顔を合わせないコミュニケーションでは、1割程度しか「真意」が伝わらないと思っていたほうが良い。

うまく伝わらないということを意識して、文面の言葉を慎重にセレクトし、絵文字、スタンプなどを使って視覚情報を補完し「真意」が伝わるようにしなければならない。
 
絵文字、スタンプ文化を取り入れてこなかった僕のような中年おっさんはこれからの時代、どんどん取り残される。

でもな。20代の子にいきなり使うとなぁ、そんなキャラやった?なんかキャラつくってない?みたいにキモいと思われるだろうし、なんか使い方間違ってるよね、とか背伸びしたのがバレバレで恥ずかしくなるだろうな、と思えばさすがにいきなり使うのは気が滅入る。
 
よし、まずはこれ→「!」から始めるか。
これだけでも視覚効果十分である。
「了解です。」より「了解です!」の方が部下にも真意が伝わるだろう。
さすがに「了解ですウシシ」までするには、一年はかかる。
 
もう少しだけ時間ちょうだいね!
 

 

育児から教わったこと中年おっさんだけど若い子とのやりとりには、これから絵文字・スタンプを活用していきます!