先日、商工会から「地元のラーメン店の相談に乗ってほしい」という連絡がありました。現地に伺って店主のお話を聞いたところ、「今年1月からラーメンの価格を1,000円以上にしたら売上が落ちてしまった」とのことでした。
私はまず、「毎月の売上データを見せていただけますか?」とお願いしましたが、「まだ集計できていない」との返答。次に「お客様の年代や性別など、客層はわかりますか?」と尋ねると、「そういったデータは取っていない」とのこと。
このラーメン店、実は年間数千万円の売上があり、チェーン展開もしていない個人店です。駅から離れた立地で駐車場は6台。にもかかわらず、これだけの売上を出せているというのは、相当なコアなリピーターがついており、ラーメンの味が素晴らしいという証拠です。まさに、“伸びしろ”のあるお店でした。
ただし、問題は「数字で経営を見ていない」こと。
私はまず、「5年後にどれくらいの利益を出して、どれくらいキャッシュを手元に残したいか?」というゴールを明確にしてもらいました。これが経営の出発点です。
そして、お店の強みのひとつであるチャーシューを、地域の道の駅で特産品として販売する案を提案。どれくらいの数量を、どの価格帯で、年間どれだけ売るか。これもすべて数字で計画するようお願いしました。
すると、店主の思考に変化が現れました。
すべての事象を「数字」で捉えるようになり、話がより具体的で前向きに。やっと法人化やチェーン展開についての現実的な話ができる段階に来たのです。
経営者の皆さん
経営は感覚や勘に頼る時代ではありません。
5ヵ年計画を立てましょう。
そしてその目的は、「自分自身や家族のために、どれだけの利益を得て、どれだけのキャッシュを残したいか」を明確にすることです。
数字はウソをつきません。数字が未来を示してくれます。
今こそ、感覚経営から脱却し、「数字で未来を描く経営者」へ進化しましょう。