最近、赤字決算で「税金を払わずに済んだ」と喜んでいる経営者の方をよく見かけます。
これは、財務諸表を自分で読み解けていないまま、税理士さんに丸投げしているケースが多いと感じます。税理士が「赤字なので納税額は少なくなりました」と報告し、それに対して「よかった」と安心する経営者。でも、ここに大きな落とし穴があります。
赤字決算が意味すること、それは“会社が稼げていない”という現実です。
たとえ最終的な決算が黒字だったとしても、営業利益がマイナスなら、本業では稼げていないということ。そこを見逃してはいけません。
また、「減価償却」を使えば、実際には支出していない費用を合法的に計上することができます。これを、今まで使ってこなかった企業が、黒字になりそうな年だけ意図的に使って赤字に持ち込む——税金対策としては見かける話です。
ですが、時代は変わりました。
コロナ禍の時期、国は中小企業を全力で支えてくれました。しかし今は、あらゆる補助金・給付金の申請が電子化され、対応できない企業は取り残されつつあります。これは、単に“効率化”の話ではなく、「成長できる企業だけが次のステージに進める」という資本主義の選抜が始まっている証拠です。
たとえば、事業再構築補助金も今年3月で終了しました。直近では売上減少の条件が緩くなった代わりに、成長分野に投資する企業を積極的に支援する仕組みへと変わっています。つまり、「税金を納められるような企業でなければ、国も支援しない」——そんなメッセージを私は感じています。
税金は痛い。でも、国家の根幹は税金です。
私自身、請求書を見て「うわ…」とため息が出ることもあります。それでも、納めるべきものは納める。それが、万が一の有事の際に国や自治体から支援を受けやすくなる“信頼”の積み重ねでもあるのです。
もし、これまで減価償却を使わずにきて、今年は黒字になりそうなら——
あえて赤字にせず、正々堂々と黒字申告してみませんか?
きっとそれが、これからの時代を生き抜く企業の「信頼資産」になるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。また次回、お会いしましょう!