ものづくり補助金、事業再構築補助金、IT補助金、省力化補助金など、経済産業省や厚生労働省などの各省庁がさまざまな補助金を提供してきましたが、現在、省力化補助金以外はない状況です。2025年度にはこれらの補助金が復活する見通しであり、今後の対応が注目されています。これらの補助金に対しては、特に経済産業省のものづくり補助金について、財務省から「中小企業支援に効率的に生かされていないのではないか」と批判されるケースもあるようです。
しかし、私は補助金は中小企業に有効に活用されており、経済活性化に貢献していると強く信じています。これは、実際に提案書作成を支援してきた企業を見ての実感です。事業再構築補助金などは、コロナ禍で疲弊した多くの中小企業を救済した重要な支援策であったと考えます。今後も、冷静に効果を分析しつつ補助金を運用していくことが大切です。
現在、省力化補助金には予算が余っているとの声も聞こえます(真偽は不明ですが)。こうした補助金も、新規事業やデジタル化推進を望む中小企業に効率的に行き渡るようになれば、経済の活性化が期待できます。
補助金を活用しようとする中小企業は、その効果について慎重に検討する必要があると考えます。補助金を利用して設備を強化した場合に、生産性がどの程度向上するのか、新規事業が可能なのか、デジタル化によって技術継承が進み、効率化が向上するのか、経営者が本当に検討しているケースは多くないと感じます。これは、実際に補助金を希望する企業の社長にヒアリングする際に特に顕著です。
私は先輩コンサルタントの下請けとして、全国に広がる企業を数十件支援してきました。Zoomの普及により、岡山や大阪、岩手、青森、福島、東京、埼玉、群馬などの企業とも支援しやすくなりました。初回は社長と直接お会いしヒアリングを行うのですが、補助金の採択後に大規模な設備投資を計画するため、「補助金獲得に向けた事業計画を作成してほしい」と依頼されることが多くあります。
元受けの意向に従い社長の指示通りに支援することが本来の業務ですが、国の税金を使用して設備投資を行う以上、補助金を受ける中小企業には「新規事業の成功」「生産性の向上」「デジタル化推進」への強い覚悟が求められます。税金は国民が支払っているものであり、補助金はその税金の一部で賄われています。たとえば、1,500万円の設備導入の場合、1,000万円の税金が援助される形です。
したがって、補助金についてのこれら覚悟を初対面の社長に確認することにしています。覚悟が不十分な場合は、再検討を促すか、補助金申請を見送るよう提案することもあります。新規事業の具体的な計画がないまま、自社で1/3を負担して新規設備を導入しても、宝の持ち腐れになる可能性が高いです。
実際に支援先で起きたケースでは、補助金で2/3を賄い、残りの1/3を銀行借入で補填した企業がありました。しかし、財務がコロナ禍で悪化している状況での設備導入であったため、注文を予想していた取引先からの案件はなく、設備はほぼ稼働しない状況にあります。財務的に厳しい場合、業績の良い取引先に設備を購入してもらい、それを貸与して使用するオプションも検討できたはずです。
補助金の活用に際しては、経営者が真剣に検討する必要があります。そうでないと、補助金を提供する官公庁や負担を負う企業の双方にとって、望ましい投資にならないでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それではまた