(日刊ゲンダイ2011年6月22日掲載)
●抜本対策を先送り
福島原発の地下にジワジワと広がる高濃度汚染水。
海や川に到達する前に一刻も早く地中深くにコンクリートの遮蔽壁を張りめぐらせるべきなのに、
画は宙に浮いている。
理由は値段だ。
地下に壁を築く費用は1000億円レベル。
公表すれば「いよいよ債務超過か」と判断され、
来週28日の株主総会を乗り切れない——。
そんな思惑から抜本対策を先送りした疑いが濃厚なのである。
腐った魂胆を裏付けるのは、
毎日新聞が20日にスッパ抜いた極秘文書だ。
タイトルは「『地下バウンダリ(遮蔽壁)』プレスについて」。
今月13日付で政府に提出し、翌14日に記者発表の予定だった。
文書には遮蔽壁の図面のほか、記者発表に臨む東電側の“心得”がまとめられているという。
その内容は噴飯モノだ。
「費用は『設計次第で1000億円レベルとなる』と指摘。
『さらなる債務計上を余儀なくされることになれば、
市場から債務超過に一歩近づいたとの厳しい評価を受ける』との懸念を表明し
、『着工時期や費用は今後の調査・設計次第で不明』という立場で会見に臨むことを
政府に伝えているのです」(メディア関係者)
結局、東電は14日に発表せず、
17日の2度目の工程表改定で「地下水の遮蔽壁の検討」という項目を追加した。
改めて日刊ゲンダイ本紙が東電に費用を聞くと、
「今後の設計次第で、まだ固まっていない」(広報担当)と、
文書の心得に沿った答えが返ってきた。
広報担当は問題の文書を政府に渡したことは認めたうえで、
「今さら株主総会を気にしても混乱は覚悟しており、債務計上を隠す意図はない」と言ったが、
それなら全てオープンにすればいい。
「日米仏4企業が携わる汚染水浄化システムの契約金だって不透明です。
東電の発表は
『処理総額531億円』という試算結果のみ。
4社との正式な契約内容や金額の内訳など詳細な公表は拒んでいます。
しかも試算結果は、放射能に汚染された沈殿物の処理費用を含んでいない。
沈殿物こそ、今回セシウム吸着装置を詰まらせ、次々とシステムをダウンさせた原因で、
仮に本格稼働しても作業の過程で大量に発生します。
沈殿物の処理に再び100億円単位の費用がかさむのは明白で、
あえて東電は低額の試算を見積もったとしか思えません」(科学ジャーナリスト)
汚染拡大や原発収束より、
株主総会を重視する会社なら、
やはり東電に原発処理は任せられない。
働く庶民の立場から
電力事業そのものを検討すべきだ
と思います!
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