「あそこまで熱心だったなんて、初めて知りましたよ」——法案を所管する経産官僚も困惑顔なのだ。
菅が退陣引き延ばしの材料として、唐突に「最重要法案」に格上げした
再生可能エネルギー促進法案。
「私の顔を見たくないなら早く法案を通せ!」という悪ノリが現実となったことに、
「冗談なんじゃないの?」と関係省庁は一様に戸惑っている。
法案の閣議決定はナント3月11日の午前。その数時間後に大震災が発生し、
国会提出は4月5日にズレ込んだ。
菅が本気なら、「この法案は電力不足解消につながる」と、
サッサと国会で審議し、成立を急ぐべきだったが、これまで審議回数はゼロ。
まったくの手つかずで棚上げにしてきたシロモノなのだ。
「今年1月の40分に及んだ施政方針演説の中で
『再生エネルギー』の言葉が出たのは1度きり。
『平成の開国』として、TPP参加による農林漁業の再生をツラツラと語った後、
総理は取ってつけたように『再生エネルギーの全量買い取り制度も導入します』と
ひと言触れただけです。
法案成立に意欲があったとは、とても思えません」(民主党関係者)
消費税10%、TPP、脱小沢、社会保障と税の一体改革、大連立……。
この1年間、
菅は場当たり的に大きなテーマをブチ上げ、ロクに道筋もつけずに次々と目先を変えてきた。
今度の再生エネルギーだって似たようなもの。
本気で取り合う方がバカみたいな話だ。
「再生エネルギーの普及は、
鳩山前首相が09年総選挙のマニフェストに掲げたものです。
政権交代直後に『温室効果ガス25%削減』を打ち出し、
昨年6月に『エネルギー基本計画』を改定する過程で30年までに自然エネルギーを
総発電量の20%にする目標を掲げた。
それだけ鳩山氏は本気だったのです。
今度の特措法案も基本計画を前提にまとめたもの。
ところが、菅首相は『総発電量の50%を原子力』と想定した基本計画が原発事故で批判されると、
アッサリと白紙見直しを表明してしまった。
法案の大前提部分をいったん取り下げた首相に、
今さら成立に意欲を燃やされてもシラけるだけです」(経産省関係者)
無視してゴミ箱に捨てた法案を、
あわてて拾ってきて延命に利用するペテン首相。
公約をパクられた鳩山も口をアングリではないか。
(日刊ゲンダイ2011年6月22日掲載)
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