それは1999(平成11)年4月7日の不思議というか奇妙な出来事だ。

その日朝10時半、車で家を出て、妻の実家のある木次(現在、島根県雲南市)

に午後2時頃に二人は着く。晴天に恵まれ快敵なドライブ。

桜で有名な斐伊川の堤(雲南市)で少し休憩してから、実家に行くことにした。

 

桜もちを食べながら、桜並木を眺めていたその時

近くに一羽の鴨がいるのにきづく。

 

妻が桜もちを差し出すと、とことことやってきて、ついばんだ。

妻は鴨の大きさに少し気押された様子であった。鴨は少し距離を置いて静かにいる。

 

ややあって土手の下の川べりの小道を、別の一羽の鴨が歩いてくる。

かなりの傾斜の堤の坂を、とことこと上がってくるではないか。

 

そして2羽の鴨たちは、ここで待ち合わせていたようで

ただの知り合いというより夫婦のような感じで寄り添っていた。

数分後,二人、いや2羽は仲よく出雲の空に飛び去った。

 

妻は目に涙を浮かべて、亡き父と母が迎えに来たんだわと。

斐伊川は神話の国出雲地方を流れる一級河川、合掌。

この日のことを、ぼくたち永遠に心に焼き付くことだろう。