彼の家は彼の個性が溢れている、この家はいわば彼の魂がある。

初めての訪問客は、まずその色彩に眩惑されてしまう。

非常にカラフルなのだ。

彼は「みんな気に入ってくれる。あえてピンクや黄色をインテリアに

使うことなど、ないからだろうね」と楽しそう。

 

彼の家の訪問者である友人たちはいみじくもいった。

「病的に興奮した丘の家」と。

「この家の色彩は、僕がデザインを担当したパレードというオペラを

下敷きにしているんだ。

とくに、モーリス・ラベル作曲の<子どもと呪文>に触発されたね。

あれは、カラフルなオペラなのさ」

 

僕はホックニーの家の感想を求められたら

どんな風にこたえたらいいのか

たぶん言葉がでなくて、失語症に急になったみたい。

家の全ての装置が未体験の色彩の渦

寝室の窓のブラインドの色は何色でしょうか?

強烈な赤にちかい濃いローズ色

しかし、こうまで絵を描くのと全く同じ感性で

思いのまま色をえらんでいる

その姿にある種の感動をおぼえたのです。

好き嫌いなどこえて。

彼の家はまさしく、見事にアートであると理解しましたよ。