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この企画に演出として参加して5年目になります。なので、一期生から今回の五期生を担当している。少し長くなりますので、お時間があるときにお読み下さい。
どんな事をしているか?基礎レッスン90分✕8回と、本番に向けてのレッスン90分✕15回、全部で23回✕90分=2,070分かけて舞台を創り上げる。数字で書くとなんか凄いが、いつもあっという間だ。
原案は、学研さんの「5分でわかる意外な結末」シリーズです。それを舞台用に作家さんに脚色してわたしが演出している。
正直ね。この形になるのに、五里霧中、紆余曲折あり、艱難辛苦あり、悔し嬉し涙を幾度か味わい今に至る…感慨深いものがあります。一期生の方が読んでいたら、あなた達の苦労が今に反映されています。
そして、五期生のレッスンも残す所あと一回で本番です。いつも思いますが、この世は残酷で、非情で、神様なんているのかな?なんて思います。キャンコレもそうです。
実力がモノをいう、結果が全てであり、運も作用する。なので真面目に取り組んでいるとか、レッスン毎回参加して遅刻しないとか関係がない。
必ず起こる問題が、やりたい役じゃなかった問題。芸事の世界には、主役と脇役と端役が存在する。人生も芝居も主役がやりたいに決まってる。誰だってそうだ。
やりたい役じゃないという悔しさを糧に、割り切ってその役を全うする。そしていずれ主役を射止めると考えになってほしい。自分はもう駄目だじゃなくて。なぜ思い通りいかない事が絶望になるのか?
私個人的な意見として、やりたい役をやっているように見えるかも知れないが、実際は違うのである。制作会社から、今回この役をお願いしたいのですが…きたきた主役?どころかバリバリの脇役ばかりである。
私も大学生ぐらい若ければ、なぜ主役じゃないと文句を言うかも知れないが、いや言わないだろうな。主役をやりたくないわけじゃないが、わたしは漫才師でもなければコント師でもない。俳優だ。
ひとつの作品に、あなたがいてくれて良かったと思ってもらえれば充分なのです。それは観客様に思ってもらえればこの上ない喜びてすが、少なくとも関係者の誰かに思ってもられば、その中でも1番は監督です。
観客から目を背けけられ、恨まれて、怒りを買う、誰も喜ばない役でも、うまくやれば監督だけは笑顔で喜んでくれる。
誰かが笑顔になる。喜んでくれる。楽しんでくれる。これがわたしが俳優として、タレントとして、人間としてのモットーです。
レッスン後、あるスタッフが「今回の作品は、感動的なお芝居じゃないかも知れないけど、お客様にどんな顔になってもらうか?を想像して考えて演技して下さい。」
いい言葉だなと思った。ただ感動的なお芝居じゃないけど、少なくともうまくいった暁には、わたしは感動しているだろうなぁ〜たぶん支えてきたスタッフも感動するんじゃないかな?
そういう作品創りをしてきたという自信があります。この自信は、俳優達、支えてくれいるスタッフ達、演出助手、プロデューサーみな嘘みたいに良い人間だ!手前味噌ですが…
この世は、残酷で非情で狡猾な奴が得をすると冒頭に書いたが、キャンパスコレクションActor部門の世界は、残酷だが、あたたかくて真面目な奴が得をする場合もあり、もちろん狡猾な奴も得をしたりする世界だと思う。とても人情的な一面もある。
今回、心が風邪を引いて、こじらせて辞退したメンバーもいた。そんな人ほどActor部門で俳優をやればいいのにと思う。心の病はお芝居が治癒してくれる。そんな希望と光が演技にはあるように思う。
あと一回のレッスンで本番を迎える。親のような心境で、時には厳しく、時には優しく伝えてきました。わたしから巣立つ時がやってきました。だからこそ、思い出してほしい。
0歳から3歳までのときの貴方を!あなたの笑顔でどんなに救われた事か、あなたが寝返りをうった時、あなたがつかまり立ちをした時、あなたが初めて歩いた時、あなたが初めて私を呼んだ時、色んな初めての事で数えきれない感動を与えてくれた事を。
今度は、舞台の上でそれと同じ事をするだけです。この舞台が終われば、わたしやスタッフはもう側にはいないです。いつの日か、Actorでした経験を、生きる糧にしてもらえれば幸いです。
もしあなたが売れたら、取材されてどこで演技を学んだんですか?と尋ねられたら必ずこう答えて下さい。
「井之上チャ…いやキャンパスコレクションで学びましたと」約束だからね。必ずだからね!そんな日を夢に思ってます。7/9ATCホールで初夏より暑い本番を迎えます。