先日、新しくレッスン生が入ってきた。礼儀正しく、シュッとしていて、男前で、これは生徒会長タイプだなぁ…と勝手に思っていた。
なぜ、役者になりたいと思ったの?と私が質問すると…
昔から、声優に憧れていて、それが最近、舞台に立ってみたいと思ったからで、一念発起して、仕事もやめて、この事務所に所属しました。
なんのお仕事していたの?
しょうちょうです!
小腸?しょうちょう?(理解できなかった)
国家試験を受かりまして、国の為に働いていましたが、やっぱり自分のしたいことは、これではないと思い、省庁を辞めてここに来ました。
この説明を受けても、私はピンとこなくて、え~ひょっとして、ザーイム省とか、オオクラ省とかの…しょうちょう?
そうです!
君は何をいっているのだ!しっかりしろ大丈夫か!本当に辞めたのか?
はい!先日辞めたばかりです!(今すぐ謝って戻った方がいい!)
省庁を辞めて、役者の世界に飛び込んできた彼の思い、腹のくくりように、気が遠くなるような気分になった。正気の沙汰とは思えない!
血の滲むほど勉強して、最高に難しい、国家試験に合格して、ほんの一部の人間しか入れない憧れの省庁に就職してから、夢が諦めきれずに役者を志した。
親兄弟恋人、まわりからも…散々とめられたと思うと、彼の思いに答えてあげたいが、私自身が受け止めきれない感覚になった…本当にこっちの世界でも頑張ってほしい!彼だけは…
あまりにもの衝撃を受けて…私が彼の親だったら…帰りに複雑な心境になった。
でも私も20代の頃…俺役者になるねんと親兄弟、親戚、親友に伝えたら、笑われて、蔑まされて、馬鹿にされた。
お前に出来るはずがない!となん百回といわれ続けた…そのことをふと思い出した。そして、今講師の先生として、彼と出会った…誠心誠意伝えれる事を伝えようと思った。
でも、省庁辞めるかね!!!