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make a wish 〜櫻葉に願いを込めて〜

櫻葉の切ない両片想いをテーマにお話を書いております。
BL要素を含みます。
ご理解のある方のみご覧下さい。

side…M




「着いたよ、翔ちゃん。」


「……空港?」





ボクに手を引かれるまま空港の展望デッキにたどり着いた翔ちゃんはキョトンとして周りを見渡している。

リュックをきっちり背負ったその姿はちびっ子の遠足みたいで可愛くて、ボクの目尻も下がる。



「ふふふ♪翔ちゃん、ビックリした?」


「うん。びっくりした。でもなんで空港?」



ボクの問いにコクリとうなづく横顔に高校生の頃の翔ちゃんの面影が重なる。



あの頃から、ボク達のお互いを想う気持ちはひとつも変わっていないと断言できる。

だけど大人になるにつれ、ふたりを取り巻く環境だけが目まぐるしく変化し。

ここ最近のボクらはそのスピードに振り回され、少々すれ違っていた。

だけど、ボクらはもう大人なのだ。

だから自分の気持ちを言葉にして、大切な人に想いを伝えなければいけない。



「あのね、翔ちゃん。ボク達が出逢って、恋をして。そこから10年以上が経ったけど、ボクの真ん中にはいつも翔ちゃんが居て、ボクの心の支えになってるんだ。」



展望デッキのすみにあるベンチに腰かけながら、ゆっくり語り始めたボクを翔ちゃんが真剣な表情で見つめる。

ボクもその眼差しに真っ直ぐに向き合いながら、翔ちゃんの手のひらを取った。



「はじめの頃は『淡い恋』だったかもしれないけど、こうして一緒に過ごしていくうちに翔ちゃんはボクにとってかけがえのない大切な存在になっててさ。これが『愛すること』なんだなぁってしみじみ思うんだよね。」


「…うん。ありがとう、雅紀。」



いきなり愛の告白めいたことを語り出したボクに翔ちゃんは少し驚いたみたいだったけど、キラキラと瞳の奥を輝かせ照れくさそうに頬を染める



「翔ちゃんも同じ気持ちでいてくれてる事はちゃんと伝わってるし、そのおかげでボクは毎日幸せに過ごせてる。だけどね。最近のボクはそんな翔ちゃんからの愛情を当たり前のことみたいに勘違いして甘えてたなぁ…って。」


「…そんなこと気にしなくてもいいのに。」



少し不安になったのか、翔ちゃんが繋いでいた手を強く握り返してきた。

いつもはしっかり者な翔ちゃんが時おり見せる頼りなさげな表情に、ボクは堪らず抱きしめてしまいそうになった。

だけどハグは家に帰ってからじっくりゆっくりすればいいのだと自分に言い聞かせ、ポケットに潜ませていた小箱を取り出した。


 

「ボクはこれからも翔ちゃんを愛し続けます。そしてこの先の人生も翔ちゃんと一緒に歩いて行きたいと思ってます。その証にこれを受け取ってください。」


「えっ…。これって…。」



ボクが差し出した小箱の中を見た翔ちゃんは驚き過ぎたのか言葉を失っている。



「翔ちゃん!ボクと結婚してください!」


「えっ?なっ?はっ?」



深紅の小箱の中でキラキラと輝くふたつのリング。

その片方を翔ちゃんの左手薬指にはめると、とてもしっくり馴染んだ。



「ふふふ♪けっこんゆびわだよ!…ねぇ、ちょっと翔ちゃん!ぼーっとしてないでボクにもつけて。」


「あっ…は、はいっ。」



慌てた翔ちゃんがリングケースから指輪を抜き取り、ボクの左手薬指に指輪をはめようとする。

だけど焦っているせいか、指輪は薬指をスムーズに通らず、更に慌てた翔ちゃんの額に汗がにじむ。



「ご、ごめんね雅紀。ああ…もう!こういう時はスマートにしなきゃなのに。」



そう言って眉を下げる翔ちゃんの両手は焦りと緊張で少し震えている。

仕事中は何でもスマートにこなすのに、ボクの事になったらちょっと不器用になっちゃう翔ちゃんが可笑しい。

でもボクはそんな翔ちゃんの事が好きで、好きで、たまらないのだ。



「翔ちゃん!大好きだよっ♡♡」



いよいよ我慢できなくなったボクは、指輪に集中している翔ちゃんの顔を覗きこみキスをして、少し汗ばんだ身体をぎゅうぎゅうに抱きしめた。