ゆずり葉 /河井酔茗
 
子供たちよ。
これはゆずり葉の木です。
このゆずり葉は 新しい葉が出来ると
入り代わって古い葉が落ちてしまうのです。
 
こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちをゆずって――。
 
子供たちよ
お前たちは何をほしがらないでも
すべてのものがお前たちにゆずられるのです
太陽のめぐるかぎり
ゆずられるものは絶えません。
 
かがやける大都会も
そっくりお前たちがゆずり受けるのです。
読みきれないほどの書物も
幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれど――。
 
世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちにゆずってゆくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを、
 一生懸命に造っています。
 
今、お前たちは気が付かないけれど
ひとりでにいのちは延びる。
鳥のようにうたい、
花のように笑っている間に
気が付いてきます。
 
そしたら子供たちよ。
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見るときが来るでしょう。





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こちらの詩を私が知ったのは、中学一年生の時でした。
小学校の国語の教科書に載っていて、弟の担任の先生が、保護者に読んでもらってカセットテープに録音してくることを宿題に出しました。

私が覚えている父は、沢山は話さないシャイな感じ。凝り性で負けず嫌いな所がありました。
そんな父は歌う事が好きで、宴会ではお酒に酔った勢いも手伝って、陽気でお調子者な所もあったようです。
ある時、会社の同僚から頼まれて結婚披露宴で仲人として隣席し挨拶をすることになり、家でテープレコーダーを使ってマイクで挨拶を録音して、録音したものを聞いて修正や練習を繰り返していました。

そんな事もあってか、父から子への口語詩だからか、母はその宿題を父に託しました。
この時に父が録音した「ゆずり葉」河井酔茗さんの詩の朗読は、唯一残っている亡き父の声です。

高田先生、
この宿題を出して下さって、感謝しています。
父の声が残っていて、詩が言霊となっています。
ありがとうございました。😊🍀



折に触れてゆずり葉の詩を思い出すことがあるのですが、息子が年少の時に出席した卒園式で「ゆずり葉」の詩が壁に大きく貼られていて、園長先生が朗読して下さった時に涙が溢れました。

あとひと月で、娘は高校を卒業します。
私が娘と息子にゆずれるものは、コンプリメントトレーニングで学んだ子育ての仕方だけだと思っています。
子供が自分の力に気付いて人様のお役に立つ人となり、その正の連鎖を次の世代へ繋いで欲しいと願っています。😊

とはいえ、まだまだ子育て奮闘中!!
1ミリでも前へ!の気持ちで、コンプリメント子育てを続けています。😊