胎児は受胎して十月十日(約280日)
子宮の中で育ちます。



発生学的観点から見ると



胎児は羊水という
母なる海の中で



魚類→両生類→爬虫類→哺乳類と


生物の進化の歴史をたどってくると
言われています。




受胎32日目


ママが妊娠に気づく頃


胎児は小豆大で正面から見ると
エラを持つ魚のようです。





2日後の受胎34日目には


鼻や唇の形成が始まり


それはまるで
魚類から両生類へ進化の過程。






さらに受胎36日目には


真横を向いていた目が正面を向き



鼻が1つにまとまり


その上に脳が発達して 


前頭葉が顔にのしかかって
爬虫類へ進化します。






受胎38日目になると


鼻と両眼が真横に並び

その下の口もほぼ完成して


獅子舞の獅子頭そっくりの
原始哺乳類まで進化してきます。







そして受胎40日目に


ようやくヒトの形に
なってきます。




このように


生命進化30億年を
280日でたどってくると考えると




1秒で100年前後の
進化を遂げていることになります。




すごくないですか !? 




イメージしてみてください。



ママの子宮の中で



生命の進化が
こんなに超スピードで


行われているなんて。





そして、おぎゃあと
めでたくこの世に誕生して


人間としての
人生がスタートしてから



立てるようになる1歳ごろまでに




赤ちゃんの脳は



爆発的に成長をとげますが




それもこの生命の進化の歴史に
対応しています。





生まれたばかりの赤ちゃんを
うつ伏せにすると


赤ちゃんはうにょうにょ
動きます。


これは魚類の動きで
延髄(えんずい)という部分が担当してます。





そのうちずりずりと

ずり這いをするようになりますが



これはカエル(両生類)のような動きです。




手だけ、足だけ、または右だけ、左だけ

というふうに反射によって
身体を動かします。



橋(きょう)という部分の担当です。





次第に手と足が交差して
でてくるようになります。



カエルの時代に身体を

動かしている中で


だんだんと身体の中心が
できてくるので


この動きがでてきます。




これはトカゲ(爬虫類)の動きに
似ています。



脳は中脳の担当です。






そしてようやく立ち上がり



哺乳類となり
大脳皮質までいきつきます。




ヒトをヒトたらしめている


ものを考えるという
知的活動を担っているのは


大脳です。




その土台となるのは


脳の大脳以外の部分
脳幹と呼ばれる場所です。





赤ちゃんは
お世話をしてもらわなくては
生きてはいけませんが


生命力という部分では


生まれたばかりでも



大人よりもよっぽど
生命力に溢れた存在です。




そして

自分にとって必要なことは
誰よりも一番よく知っています。



生まれた時に
すでに生き物としての
完璧なシステムを

搭載しています




1歳までは
脳の機能の土台
脳の幹(脳幹)を育てる
とても大切な時期です。




赤ちゃんの動きは
ひとつひとつ意味があり





動かすことによって
脳のそれぞれの部分が発達し



自分の感覚を

つくっていきます。




手足を動かし


腹ばい・高這い(ハイハイ)を経て


ようやく立てるようになりますが




全ての動きが
脳の発達のために
大切なものなのです。




けれども例えば
産後の1ヶ月健診で


赤ちゃんをうつ伏せにしたことが
あるかと聞くと




ほとんどのママたちが
したことがないと言います。





このように
最近の赤ちゃんは



発達をうながす動きをする機会を
与えられていないことが多いのです。





そりゃそうです。助産師ですら


うつ伏せにすることや
ハイハイの大切さを
知らない人が多いのですから。




助産師学校の授業でも
習いませんでしたから。






近年、SIDS(乳幼児突然死症候群)を
防ぐために


うつ伏せ寝はしないようにと
指導する医療者が多く




確かに誰かの目のない場所で
うつ伏せ寝をすることは
おすすめしませんが



赤ちゃんの成長発達するために
うつ伏せにすることは必要です。




うつ伏せになることで


背中やお尻、首の筋肉が発達していき



それに伴い発達に
必要な動きが出てきて
脳も発達していくからです。




私の師匠のところには
発達障害や脳性麻痺などで


医療からもう無理だと
見放された子どもたちが


たくさんくるそうです。




そういう子たちが
何をするかというと



幼児であっても
小学生であっても




ハイハイをするそうです。





ハイハイをすると
脳のシナプスが繋がり



動けなかった子が
動けるようになったり



落ち着きのなかった子が
落ち着いて授業を受けられるように
なったりするそうです。





脳は可塑性(脳の神経系が変化する能力)があって
鍛えれば鍛えるほど


新しい神経細胞(ニューロン)
ができるし




使わなければ機能は

衰えていくからです。




かくいう私も


自分の子どもが赤ちゃんの時は
そんなこと全く知りませんでした。




だから、このことを学んで


自分の子どもがどんなふうに
ハイハイをしていたかを
振り返ったとき全く覚えていなかったし



うつ伏せも
あまりしたことなかった
ように思います。





子どもが赤ちゃんの時に知っていたら
もっと意識して関われたのになぁと
とても悔やまれます。



こんな大事なこと
なんで誰も教えてくれなかったんだ!って。




今まさに赤ちゃんを育てている人たちに
知ってもらいたいと思っているので


少しずつ記事をアップしていきます。