旅の実感
夜便の飛行機から降りた瞬間、今までとは違う、
もあっとする湿気を含む空気が全身を包んだ。
富士山よりも高い標高3600mの街から、
一気に標高数百メートルの低地へ。
私はボリビア第二の都市、
サンタクルスへと降り立った。
日本を発ってから、早2週間が経つ。
私は今、旅に出ている。
会社を辞めて、導かれるようにオーストラリアに
向かったあの一人旅から一年。
今度は旦那さんと二人での旅に。
体調不良、適当さ、悪路、汚さ、治安の悪さ…
そういうものの合間に姿を見せる言葉にならない
感動を体験したあっという間の南米の二週間。
夜に降り立った空港の、最終路線バスに乗り込み、
「旅をしているんだなぁ」という実感がやっと
こみ上げる、スペイン語が飛び交う薄暗い車内。
会社員だった私は、年に二回以上は海外旅行をしていた。
お金を払って快適に感動を得る「旅行」が好きだった。
でも私は「旅」というものに出会ってしまった。
旅は「あれも、これも」を求めてもがくように
必死に生きようとしていた私を、笑い飛ばしてくれた。
「これさえあれば生きていける」というシンプルな
答えに、YESといえる強さを私にくれた。
とは言っても、ビジネスが好きな私は、
一生旅をして暮らしたいなんて思わないけど
それでも「冒険」を選択できる旅のような生き方を
生涯していきたいと心から思う。
サンタクルスの市内、バスを降りて、
少々危険だという街を、重いバックパックを背負い、
神経を張り詰めながら歩く深夜。
これが旅なんだぁ。
昨日までの三星ホテルとは違う安宿で
扇風機に吹かれながら私は思う。
自分でDirectionを決め、限られたお金の中で
最高だけじゃなく、不便や、不味い、辛い、
やばいも含めた全てを経験する「旅」。
その経験が私にパワーをくれる。
人としての幅や考え方の幅を持たせてくれる。
前回の旅は、自分にもう一度出会う旅。
そして、今回の旅はきっと新しい未来への
始まりの旅。
いろんな苦難を乗り越えて地球を感じる、
GREAT EARTHの旅を私は進む。