何故……?
一体誰が…………何の為に?
指をせわしなく動かしながら、榎本はじっと考えていた。
日本に戻って一週間、海外で仕入れた新たな品物を並べ、ネットに開店の表示を出す。勿論完全紹介制
すると程なく電話が入る…
その数も日に数本。なかなかの繁盛ぶりに気を良くしていた榎本だったが、別の所から仕事の依頼が来た。
あるアパート住人からの鍵の解除……
セキュリティー会社は退社したが、防犯ショップの名を掲げているのでセキュリティー会社に居たときと何ら変わらない仕事をしていた。
………表向きは………
青砥と芹沢は相変わらず忙しく過ごしていた。

芹沢は自分のオフィスで青砥と打ち合わせをしていたが、唯一変わったことと言えば、青砥の俺に対する尊敬の念………何なんだコイツは……
ふとアイツの顔が浮かぶ……
『青砥…そう言えばアイツから連絡あったか?』
『…アイツ??』
『榎本だよ!!無いの?』
『…いえ、あれから全く……ほんと何してるんでしょうね……榎本さん』
青砥は何となく心に穴が空いたよう感覚に、ため息を一つ付く……
『あら?青砥ちゃん?どうしたの?溜め息なんか付いちゃって~もしかしたら、榎本に会えなくて寂しいのかな~?』
『え??ちょっ!な…何言ってるんですか!!私は別に寂しいとかそんな事じゃなくて……あの只どうしてるかな~って!』
『ふーーんどうたかな?』
『芹沢さんこそ!榎本さんからの連絡待ってるみたい!』
『は?俺が?榎本を待ってるって?何言っちゃってるの?』
『だって、ずーっと連絡来たかって聞くじゃないですか!!』
『ば、バカ!それはほら、アイツがあんないなくなり方したからさ~、そのほら、何かやらかしたのかと思ってさ…その』
『…あ~もう、わかりました!じゃあ、仕事行ってきます』
『あ~もう!って何だよ!お前さ~もうちょっと上司を尊敬する態度を見せろよ~』
『私が尊敬するのは、榎本さんです!行ってきます!』
『はあ~~~?榎本?』
そう言い残すと、青砥は事務所を後にした。
ほんとに榎本さん……どこ行っちゃったんだろう……

夏の日差しが差し込む明るい部屋
いくつものトレーニングの機材が並んでる中、男と理学療法士がトレーニングをしていた。
そこへ医師が入ってくる
「どう?調子は?」
【あ、こんにちは…大分動きもスムーズになってきたし、体力もついて来ましたね】
『いや……まだすぐ疲れてしまうし……もっとやらないと外にも行けない…』
「おいおい!オーバーワークはダメだぞ!言ったろ?この前から急にオーバーワークし出すから…彼女のせいかな?」
『ち…違いますよ!僕はただ…』
「ふふふごめんごめん!冗談だよ!だけどこの間の事も有るから、もう少しペース落として!」
【先生、この間ってなんですか?】
「ほら、君が教えてくれた図書館に彼を連れて行ったんだけど、その時外で急に呼吸困難と酷い頭痛に襲われたらしい」
【え?本当ですか?それじゃ…このトレーニングはもう少し待った方が…】
『いえ…大丈夫。続けさせて下さい』
「本当君も頑固だね…わかった。とりあえずもう少ししてから少し検査するから…」
【あ…じゃあトレーニングは今日は終わります…じゃないとちゃんと検査出来ませんよ】
『……………はい』
「おいおい!そんな顔するなよ!もうあの図書館に行きたくて仕方ないんだね」
『別にそんなんじゃ……』
【あ…あの図書館気に入ってもらえたみたいですね!僕も何回か行ってとても気に入った所だから良かった!】
『ええ……凄い落ち着いた静かな所で…ありがとうございます』
「それだけじゃないと思うけどな…」
『先生!だからそれは…』
【何かあったんですか?】
「いやいやちょっと素敵なカフェを見つけたらしくてね…」
【…カフェ?そうですか、僕は行ったこと無いけど楽しかったみたいですね】
「君はよく知ってたね~僕もあそこに図書館があったなんて知らなかったよ」
【昔近くに住んでた事があって…もう変わっただろうけど】
「そうか……いや、ありがとう!助かったよ!彼も凄い気に入って、こんなにやる気にも繋がる出逢いもあって…」
『…先生!』
【出逢いですか?それは聞きたいな…】
「何か素敵な女性が図書館にいたらしいよ」
【ヘーーそれはそれは……】
『先生!本当に止めて下さい!僕は真剣に勉強して…』
「わかったよ!ごめんごめん……」
ドアの向こうから、看護士が声をかけた。
『……先生、お客様がお待ちですよ』
一瞬、顔に緊張が走ったが、2人はそれに気が付かないでいた。
「ああ、すぐ行く!じゃあ、後で!」
そう言うと部屋を出て行った…
あの人が来たらしい……
建物を出て本館と言われる大きな病院がある方へ車で向かう。
木立を抜けしばらく行くと、大きな建物が見えてくる。
その中は一般外来と入院している患者、医師看護士が大勢行き来して、先程までいた場所とは明らかに別の空間に来た感覚が、此方が現実の場所なんだと改めて思わせてくれる。
病院スタッフに声をかけると、客は来客用の個室に通してあった。
今回あちら側が指定したとなると、かなり密な話をしに来たのかと少し身構えた…
長い廊下の先に明るい来客用個室がある。
ドアの前に立ち、ドアをノックする…
トントンと軽い音が響く中、声がが聞こえた。
『…はい…』
『失礼します』
ゆっくりドアをあけると、男は長椅子に腰掛けていた。
『お待たせしてすみません』
男は眉間にシワを寄せ眼鏡の端をくいっとあげた。
『こんにちは、お世話になってます。榎本です…』

その眼鏡の奥の眼差しは、まるで何かを感じ取ってる様に鋭く見つめていた……
続く…………
……追伸
ここのシーンは3人名前を出してないので
「」【】『』でわけてます。
大丈夫でしたかね??^^;
よろしくです♡