骨盤底筋群は、多くの人が知っておくべき重要な筋肉群です。
骨盤底筋群とは?その重要な役割
骨盤底筋群は、その名の通り、骨盤の底にハンモックのような構造
臓器の支持: 膀胱や子宮(女性)、胃、肝臓といった内臓が下方に落ちないよう
に支えています。 体幹の安定化: インナーマッスルの一つであり、腹圧を高め、
体幹を安定させる役割があります。姿勢の調整や、腹式呼吸の際の 横隔膜の働きをサポートします。
機能不全が招く問題
骨盤底筋群の機能が低下すると、
臓器脱: 骨盤内の臓器(子宮、膀胱など)が下がり、体外に出てしまう子宮
脱 や膀胱脱といった状態。尿失禁(尿漏れ): 腹圧が高まった際(咳、くしゃみなど)
に尿道をしっかり締められず、尿漏れが発生しやすくなります。 中高年以降の女性の約5人に1人が悩んでいるというデータもあり ます。
予防と改善: 重症例では手術適用となることもありますが、第一選択肢として骨
骨盤底筋群の特徴と女性が特に注意すべき理由
筋肉としての特徴
意図的な収縮が難しい: 腕や背中の筋肉のように、使っている感覚(収縮感)
がわかりにくいことがあります。 単独では働かない: 骨盤底筋群は、お腹のインナーマッスルである腹横筋、お尻の筋肉
(内閉鎖筋など)、股関節の内転筋(内もも)などと連動して働き ます。これらの筋肉が機能していないと、 骨盤底筋群も十分に機能しません。
女性の機能が低下しやすい理由
出産による影響: 出産時に骨盤底筋群は大きなダメージを受けます。
このダメージが、加齢による機能低下と相まって、 男性よりも骨盤底の問題が起こりやすくなります。 骨盤の形状: 女性の骨盤は、構造上、重心線と股関節の位置が合致しにくく、骨
盤が後ろに倒れやすい (後傾しやすい)傾向があります。これにより、骨盤底筋群が機能しにくい姿勢になりやすいです。
骨盤底筋群と姿勢・呼吸の関係
姿勢の重要性
骨盤底筋群が機能しやすい理想的な姿勢は、
正しいポジション: 骨盤の前側が後ろ側よりもわずかに前に傾いている状態が望ましく
、 これにより骨盤底筋群が重力に対して下から支えられるポジション になります。 大隔膜との並行: 理想的な立位・座位では、呼吸に関わる横隔膜と骨盤底筋群が床面
とほぼ並行 に向かい合っていることが重要です。
呼吸のポイント
骨盤底筋群のエクササイズでは、**「息を吐く」**
息を吸うと横隔膜が下がり、
骨盤底筋群もわずかに下に下がります。 息を吐くと横隔膜が上がり、
骨盤底筋群も一緒に上に引き上がります 。この「上に引き上げる」動作が、骨盤底筋群を締める方向への活動を促します。
効果を高めるエクササイズのコツと実践
骨盤底筋エクササイズの目的は、単に「鍛える」だけでなく、**
エクササイズの6つのコツ
意識: 尾骨(尾てい骨)を上に引き上げるような方向を意識する。
臓器の圧排除: 臓器の重さによる圧迫を避けるため、最初は仰向けでエクササイズ
を行うことが望ましい。 呼吸と連動: 息をしっかり吐きながら力を入れる(締める)動作を行う。
連動性の活用: 腹横筋、内転筋、お尻の筋肉など、連結している筋肉も同時に働か
せる 。イメージ: 女性は「膣を締める」、または「肛門(お尻の穴)を締める」
イメージで行う。 持続的な収縮: 骨盤底筋は姿勢を保つ筋肉なので、5秒〜
10秒程度グーッと締め続ける 持続的な収縮を意識する(目安として1日20~30回)。
💡 実践エクササイズ(3パターン)
1. 仰向けで内転筋と連動
ボールなどを膝の間に挟み、仰向けになります。
膝でボールをしっかり挟み、内転筋を働かせます。
尾骨を少し持ち上げるように腰を軽く丸め、お腹を軽く引き込む。
この姿勢をキープしたまま、息をしっかり吐きながら、お尻の穴を
グッと締める ように5〜10秒持続。
2. 横向きで内閉鎖筋と連動(クラムシェル)
横向きになり、膝を曲げます。腰が反らないように、
息をしっかり吐きながら、
上の脚の股関節を開くように持ち上げます( お尻の外側が締まる感覚を意識)。 ゆっくり戻す。
**お腹の筋肉(腹横筋)とお尻の筋肉(内閉鎖筋など)**
を連動させることで、骨盤底筋の機能向上を促します。
3. 立位で全身連動(壁押しプッシュ)
壁の前に立ち、足首または膝の間にボールなどを挟みます。足(
壁を軽く押し、お腹のインナーマッスルに力を入れる。
ボールを挟み、内転筋を働かせる。
息をしっかり吐きながら、お尻の穴をグッと締め、上に引き上げる
ように5〜10秒持続。
※ 立位のエクササイズを行う際は、