昔話③ | ヤスユキブログ

昔話③

タイ着初日に試合をすることになった僕はタイ人にこれからの一切を全て任せることにした。ここはタイ。郷に従うのが一番だと思ったからだ。
しかし不安である。
どうなってしまうのだろうか。でもなんとかなりそう。人生なるようにしかならないのだ。そう自分に言い聞かせた。

そして僕はトラックの荷台にタイ人と一緒に乗り込み、試合場へと出発した。
タイには交通法規がない。厳密に言うとあるのだが、ほぼないに等しい。
荷台に何人乗ろうがスピードをどれだけ出そうがそこは自由な国タイ。ありえないスピードで会場に向かった。
一時間ほど走っただろうか。辺りには民家も電灯も全くなくなりただ真っ暗な道をひたすら直進(ばく進)していた。
こんなとこに試合会場があるわけがない…
ますます不安になっていると何かがぼんやりと見えてきた。

リングだ!
暗闇の中にただぽつんと浮かんでいるように見えた。

近づくにつれムエタイ独特のチャルメラのような音楽と賭けをするオヤジの声が聞こえてきた。
「あーマジで着いてしまった…」
試合はすでに始まっており、子供から大人まで色んな選手がリングに上がり鋭いキックとパンチを繰り出していた。
肘打ちで額をザックリ切られている選手やパンチで倒され白目を剥いている選手…。
僕はその雰囲気に圧倒され夢を見ているような気分になった。