更新の間が、随分と開いてしまいました。
ようやく過ごしやすい季節がやって来ましたね。
いかがお過ごしでしょうか、

9月には、高円寺の猫の額さんにて、木元慶子さんとの二人展「宇宙(そら)の猫祭り」を開催させていただきました。ご来場&作品をお迎え下さいました方々、ありがとうございました。

猫達のお祭りの場面を、スペースいっぱいに表現させていただきました。木元さんと在廊をご一緒させていただいたり、とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。来年、2023年6月も、猫の額さんで二人展をしますので、お楽しみに!

画像は、DM用作品「ニャーペル祭り」と二人展の模様です。
お馴染みの猫沢さんのモーニング姿、お祭りの主役の猫の王様に扮しています。


では、お待たせしていました、物語の続きをお楽しみ下さい。

《大肉球曼荼羅 第3章②シャドウ・クロウ》

今朝、猫宮氏から預かったファイルを研究所に持ち帰った猫沢さんは、早速、開いてみました。そこには、ドクター・クロウの楽曲のデータ、彼は元々音楽家だったのでしょうか?

「なんと言う事だ…」

ロドニアの楽曲の元になったであろうメロディーや、楽譜が次々と出てきました。しかし、これらの楽曲達には、あの嫌な[波]は入っていません。
別のファイルに入っている音楽を再生すると、頭を締め付けるような不快な[波]が現れ音楽を止めてしまいました。

「同じだ…同じパターンだ、、、これはテラ(地球)で日常的に使われている波に似ている!?」

猫沢さんが、地球で採取したデータを再生してみますと、全くよく似たパターンが現れました。テラビト達はこの波を標準値として使っていたのです。猫沢さんは、その波に触れぬよう特殊な耳栓を使い地球滞在していたのです。他のクルー達は幸いな事に、その波を感じる事はなかった為、普通に過ごしていました。

「思い出した…これはカルカナル社のコマーシャルソングのリズム…子猫の頃に町中に流れていた、、ドクター・クロウ、あんたは何を企んでいたんだ?」

猫沢さんは、ロドニアの背後に現れた過去のライバルの姿と、子猫時代のトラウマがフラッシュバックし目眩を起こしましたが、気を取り直し資料に目を通し続け、耳と頭脳を酷使した疲労感が襲い始めた頃、ニャンコフィーを入れ休憩をする事に、一口飲んだ時、ふと地球にいる彼等の事を思い出しました。

「寅次郎博士達に知らせなきゃ…」

猫沢さんは、空間にメッセージを打ち込みますと、所長室の壁に文章が浮かび上がります。どんな仕組みになっているのか分かりませんが、猫伊博士が、猫沢さん達がテラに派遣された時に開発した通信端末なのです。それを、寅次郎博士の家に1つ置いてきたのです。

星に帰還してからの事、ロドニアの事、ウトゥサの事、発表会の事、ハーオスさんの事、ドクター・クロウの事、、、

一気に打ち込んだ後、送信ボタンを押すと文章は暗号化され、小さなワームホールに吸い込まれていきました。

うまくいけば、地球時間ですと最短で1週間ほどでテラに到着します。

猫沢さんは、やや冷めたニャンコフィーを口に運び、風さん特製のパニャーンをひとくちかじると、軽い睡魔の中に引き込まれていきました。

何時間、椅子に腰かけたまま眠ってしまっていたのでしょう?目をこすりながら窓を見ると、すっかり日が暮れていました。

「猫沢博士、お疲れのようですね。皆、帰宅しましたよ」

Σ-41が、心配そうに言うと、静かにお茶を入れ手渡します。

「起こしてくれれば良かったのに、、、」
「連日の激務です、たまにはゆっくり休んでください」

Σ-41は、室内で飛んでいたタテゴトウオを撫でると弦として使っている細いヒレを手入れしていました。手入れを怠ると良い音色が出ませんので、発表会の前は特に入念です。

「よっちゃん(Σ-41)唐突だけど、君のデータ回路の中に、ドクター・クロウのデータはあるかな?カルカナルと一緒に調べてほしい」
「ドクター・クロウ カルカナルですね、かしこまりました、お待ちください」

Σ-41に搭載されているデータには、猫伊博士の先祖の猫伊虎之助博士や、カルカナルのデータが保存されています。その中に彼に関する情報がないか?と、ふと思ったのでした。

「ドクター・クロウとシャドウ・クロウの記録が見つかりました」
「シャドウ・クロウ?」
「カルカナル社の専属プロデューサー、カリスマエンターテイナー、彼のプロデュースした商品はヒットし、熱狂的支持を受けていました」
「音楽家ではないのか?」
「総合的な役割の中に音楽があります」
「ドクター・クロウは、シャドウ・クロウ?」
「世代が違います。シャドウ・クロウはカルカナル崩壊と共に生涯を終えました」
「カルカナル末期のCMソングの制作者は?」
「シャドウ・クロウです」
「ドクター・クロウは?」
「科学者です、現在は消息不明です」
「シャドウ・クロウに子孫は?」
「弟子がいました」
「弟子?」
「弟子の名は、アルシュナです」
「アルシュナか、、データはある?」
「ありません、名前だけです」
「もしかして、ドクター・クロウは弟子のアルシュナ?」
「申し訳ありません、そこまではわかりません」
「ありがとう、よっちゃん(Σ-41)」

猫沢さんは、メモを書き留め、再び、ドクター・クロウのファイルを寝ぼけ眼で開こうとすると、何かを察知したΣ-41が、

「博士!開いてはいけません!」
「!?」

クリックしようとしたファイルには、猫宮氏からの警告アラートが表示されていました。

「危なかった、どういう事だ?」

「博士、猫宮氏からの取り扱い説明書は読みましたか?」
「読んでない」

Σ-41は、やっぱり、と言う表情で小さな冊子上の説明書を渡しました。
彼は、猫沢さんが猫宮氏から受け取った資料を一旦預かった時、万が一の事がないかとスキャンしていましたので、寸でのところで回避する事が出来たのです。

仲間を疑う訳ではありませんが、猫宮氏は、ドクター・クロウの元弟子

説明書を読む猫沢さんの表情を見て、安心したΣ-41は、

「博士、今日は作業を一旦お休みしましょう、無理をしてはいけません」
「そうだね、、どうやら私は、とんでもない物を受け取ってしまったようだ、、」

猫沢さんは、受け取った資料を片付け鍵の付いた棚にしまい、研究所をあとにしました。

[つづく]

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。
そんな楽しい猫の星の世界観、毎年、東京.高円寺[猫の額]さんにて発表しています。2022年9月は同会場にて、木元慶子さんとの二人展「宇宙の猫祭り」を開催いたしました。来年も2023年開催決定です。よろしくお願いいたします。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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