湿度の多い上に猛暑と言う、おかしな天気が続きます。
私は、9月の二人展に向けて作品制作をしています。

画像は、新作で描きました。本編に新登場のSP-8888(フォーエイト)です。今回、猫沢さんのボディーガードを勤めている警官ロボット猫、特別な任務やイベントで大活躍しています。

この原画は、9月の高円寺の猫の額さんにて展示致します。

では、続きをお楽しみください。

《大肉球曼荼羅 第2章⑯目立つボディーガード》

あれから2週間…
猫沢さんの周りでは、次々と奇妙な事が起こり研究所の猫達も今までにないハプニングやトラブルに遭遇しながらも、研究発表会の準備が進められていきます。

猫沢さんは、毎朝、猫居博士の研究施設に行き、朝のお勤めのようにイクサフィーゴ達に音楽を聴かせ、時には歌を聴かせ対話し、発表会の進行プログラムを考え、午後からは研究所で、丹念に展示用の資料を製作し、研究員達を交えてのミーティングを重ね、忙しい毎日を送っています。

単独で大規模な研究発表をする学者猫は、ほとんど皆無で、大抵は小さな会場を借り、学生や同業の猫達を対象にした催しをしています。猫沢さんも、かつてはそうでしたが、猫谷エンジニアの提案で、一般猫向けに公開発表するようになり、業界猫達に、一般猫には難解であろうと非難されたが、なんだか分からないけど大きな衝撃や感動を受けるドラマチックな研究発表に、瞬く間に観客が増えていきました。

会場で販売されるプログラムには、研究内容や経歴等も記されてはいるものの、音楽使いや唄歌い等と勘違いされ、老若男女猫問わず多くの支持を得ています。

そんな彼が、イクサフィーゴ捜索へ、テラへ旅立ち任務を終え帰還するや否や、歓迎ムードは一転、非難対象へと引きずり下ろされ苦境とも言える事態に見舞われているのです。

彼の活動を妨害する、世界的アイドル子猫ロドニア、天使の歌声に美しいメロディ、可愛らしいルックスは全ての猫を魅了、彼が率いるロドニア・ニャンパニーは、大昔に禁止された魅惑の調味料ウトゥサを使い、パティシエ猫と手を組み洋菓子店を展開、星中の猫達を虜にしています。


ここは、猫沢さんの兄、風(ふう)さんが経営する[カフェ&バー虚空庭園]
10代位の少女二人が、楽しげにお茶をしています。帰り際、風さんはフライヤーを手に

「今度、ここでミニライブしますから、良かったら来てくださいね」
「ハーオスさんだ!」

少女達は驚いて目を輝かせます。

「ご存じですか?」
「はい!いつも公園で歌ってるの聴いてます!行きます!」
「それは良かった、お待ちしてます」

少女達はチラシを片手に、笑顔で店を出ていく瞬間、入れ替わりで、猫沢さんとSP-8888(フォーエイト)、すれ違う少女達の一人が、恐ろしいものを見るような形相で

「ご、ごめんなさい‼」

と、叫んだかと思うと、全力で走って行ってしまいました。
連れの少女は、何が起きたか分からず追いかけていきます。

「?」

猫沢さんも、なぜ急に謝られたのか分からず、カウンターに腰かけました。

「なんだったんだ?」
「私の事でしょうかね?」

SP-8888は、首をかしげました。彼の姿がおおやけの場で見られるのは、大きなイベント等でのデモンストレーションや、子猫達の集まるイベント等が多くヒーロー的存在。普段は極秘任務やパトロールに携わっているため、気軽に町中を歩いている事はほとんどありません。徒歩での移動中、時々猫達が寄ってきては写真を撮ったり、サインを求められたりするSP-8888を、微笑ましく見つめる猫沢さん、そんな目立つ彼をボディーガードとして担当させた猫谷エンジニアに、理由を聞こうとしましたが「秘密」とだけ言ってニコニコしてるだけだそうです。

「いや、私の顔を見ていたよ」

猫沢さんは、自分を指差すと、風さんが出してくれた水を飲み干し、店内を見渡します。


「スダチちゃーん!一体どーしたのー」

連れの少女が、パニック状態に陥り地面にしゃがみこんでいる少女に追い付きました。

「ね、猫沢さんだった、さっきの猫沢さんだった」
「へ?あのおじさんが!?」
「うん、私、どーしよー」
「どーしよーって、どーしたの?」
「謝らなきゃ…」
「謝る?」
「ねー、アンズちゃん私どーしたらいい?警察ロボットもいたし、、」
連れの少女は、何かを察したのか、近くにあるカフェに連れていきました。
泣きじゃくる少女は事情をポツリポツリ、冷静に話を聞いていた連れの少女は、

「あのね、スダチちゃん、警察行こう、そして謝ろう」

[つづく]

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。
そんな楽しい猫の星の世界観、毎年、東京.高円寺[猫の額]さんにて発表しています。2022年9月は同会場にて、木元慶子さんとの二人展「宇宙の猫祭り」を開催いたします。来年も開催決定です。よろしくお願いいたします。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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