久々の更新となりました。

なんと、招き猫100人展の作品製作していました。
9月28日29日の土日、瀬戸市の招き猫まつりに参加します。
文化センター2階のアートマーケットにて参加致しますので、是非お立ち寄りください。瀬戸蔵会場では「招き猫100人展」が開催され、100人の中の一人として作品を出展します。

さてさて、いよいよ最終回!!
お楽しみください。

画像は、昨年の招き猫100人展にて展示した「百喜夜光-ひゃっきやこう-」です。猫沢さん率いる、カンタスカラーナの猫達が大行進です。
まるで、カーテンコールのよう(≡^∇^≡)

《第12章 最終章③最終回 アディオス パート2》

日が暮れ、夜のお祭りが始まる頃、猫達は縁日に繰り出しました。

地球人達と過ごす祭り、彼らにとって、とても貴重な体験…
猫達にとって、屋台は物珍しいものばかり、少し残念なのは、食事情…大半の屋台の食べ物は、彼らにとって毒物に等しく…眺めているだけにとどまりますが、お祭りの雰囲気は最高、人の輪の中に入っては、見よう見まねで踊りだす可愛らしい姿に、村人達も、一緒になって踊ります。

会場の隅っこには、アルハンゲルや屋敷猫、地域猫達が、戯れています。ボス猫ニャンタは、アルハンゲルに
(あんた、いい仲間を持っているね。先代ボスから聞いた時は、驚いたよ「空から子猫が降ってきた!」って、大騒ぎになったとね…)
(私は、何光年の時空を越え、この星にやって来ました。この村の猫達に迎えられ、とても優しい時間を過ごしました…)
(あんたの親父さん、助かるといいな。彼等が星に帰る前に皆と一緒に踊ってきたらどうだね?)
アルハンゲルは、深くお辞儀をすると、猫沢さん達の輪の中に入っていきました。

盆踊りの輪は、零時近くまで続きます。

円の外では、猫谷エンジニア、寅次郎博士、カミシロ族長達が、話し合いをしています。
今後の地球について、そして日ノ本について…

「数年後に、潜んでいた膿のような様々な出来事が、テラビトの目の前に現れるでしょうね…」

猫谷エンジニアは、渋い表情…
カミシロ族長は…

「彼等が、その現象を乗り越えられる事を願う…」

そう言って、祈るように目を閉じました。

「猫谷くん、この先、この地球では、個々の人間達に、あらゆる選択肢の現象を見せられる。君達の星で地球の影響は出ていないかね?」

寅次郎博士は、姫りんご飴を、バリバリと噛み砕くと、一気に芯が見え、小さな種が落ちていくのを見つめていました。人の松果体が、ストーンブロックによって、固いバリアーを突き破り壊されていく様を、りんご飴に重ね合わせていました。

「もう…既に出ています。カルカナルテクノロジーがよみがえり、再び猫達を、闇に突き落とそうとしています。私たちは、星に帰還したら、山盛りの任務が待っていますよ。それと平行して、テラでは、一見、平和に見える、このヒノモトの民達の心は、どんどん荒み始めるでしょう。カルカナルにとって、最上級のエネルギーは、自動的に生み出され、力を増していきます…私達が「目を覚ませ」と、うったえても、誰も気にもとめず、カルカナルの思う壺となるのが、私のビジョンに映ります…」

猫谷エンジニアは、時空の隙間に見える「現在」の地球のタイムラインの先を見つめていました。話を続けます。

「しかし、一方では、数々の苦難を乗り越えたテラビト達が、新しいコミニュティーを築き、壊れた世界を建て直す為に立ち上がります。彼等は、あらゆる概念を壊し、再生の道を進んでいます。この世界は分岐が無数に分かれ、テラビト達は進みたい方向に道にすすむ。どちらに進むかは彼等次第…寅次郎博士、少しでも多くのテラビト達を、こちらのビジョンに向かうように願います」

彼は、もう1つ見えた分岐の先を見つめています。そして、手の平大の赤いカプセルを、ソッと渡すと、受け取った寅次郎博士は、コクリとうなずきました。
猫谷エンジニアは、猫の星の防衛機関に属する猫、あらゆる情報を網羅し、宇宙のバランスを静かに見守るのが役目です。

祭りが終わると、屋台の電気は消され、やぐらの提灯の明かりだけが残り、村人達は、猫達の回りに集まります。

そう、別れの時…

橋渡しのメンバー達と、猫達が、綺麗に整列し敬礼をします。

「カンタスカラーナの諸君、長きに渡る任務ご苦労だったね。引き続き、私達「橋渡しの民」が、君達の意思を引き継ぎ、任務を引き受けよう」

「よろしくお願いします。寅次郎博士…ありがとうございました。そして…ありし日の虎之助博士の力になれて光栄でした…ジャッコ博士も喜んでいると思います。」

猫達は、潤んだ瞳を寅次郎博士に向けると、300年前の寅次郎(虎之助)博士の姿を重ね合わせていました。博士は何も言わず、ただただ頷き、猫達を抱きしめます。

「猫ちゃん達、元気でね!また来てね!!」
「今度は、川へ釣りにいこうな!!」

村人達が、猫達の肉球を握ります。嬉しくて握り返すプニプニタイムが繰り広げられ、別れを惜しむ姿が、提灯の灯りに照らされます。

「皆さん、そろそろワームホールが開きます。船に乗って下さい」

アクア操縦士が、猫達を誘導し始めると、別れを惜しみつつ、宇宙船へと吸い込まれていきます。
巨大な宇宙船が2機、まばゆいライトに照らされ輝き、船の窓から顔を覗かせると、手を振っている村人達がいました。
猫達も、力一杯、振り返します。
上空に、虹色のワームホールが開き、皆、あまりの美しさに見とれていました。拝む人も…
光に吸い込まれていく宇宙船は、一路、カンタスカラーナへと帰還の道を進みます。

彼等が去った後の、星一杯に広がる夜空を見上げる寅次郎博士達…
「帰ってしまいましたね…寂しいですね…」
サリーと宙(ソラ)が、ハンカチを握り締め、目頭を押さえる横で、門田さんも「うぅ…目から鼻水が…」と言いつつ両手で顔を覆います。

「また会える、私達の任務は、まだまだ途中さ」

寅次郎博士は、手にしたカプセルを開けると、真っ赤な蛍のような光に包れていました。

「綺麗ですね。これは一体?」
「猫達の置き土産「カルカン」だよ」
「カルカン!?あの猫ご飯のカルカンですか?」
「違うよ。地球人を救う小さなロボット達だよ」
「ロボット?」
「あぁ、さぁ行こうか」

カルカン達は、美しい流線を描きながら、方々へと飛び立っていきました。
最新式改良型カルカンは、地球人達に蓄積したストーンブロックを破壊除去していきます。

後日談。

寅次郎博士は、困惑の表情で、ランチタイムが終了後の神楽屋の厨房で突っ立っていました。「寅次郎先生は、地球の危機を救う為、長年追い求めていた伝説の宇宙巨大魚を、猫の手を借り、とうとう捕らえる事に成功した伝説の宇宙漁師」と、もっぱら、村中の噂になっていたのです。神楽屋の店長の火水斗(ひみと)と従業員達は、大爆笑!!

「寅ちゃんのやってる事は、間違っちゃいねーよな!」
「間違っちゃいないけど、何か違う…。私は漁師じゃない!!!宇宙を股に駆ける天才科学者と言って貰いたかった!」
「落ち着け、寅ちゃん!とりあえず昼飯食べようぜ」

更に数日後、村人からのプレゼントとして、特注の大漁旗が届き、困惑しながらも、イクサフィーゴ達に見せると…鮮やかな美しい旗に込められた村人の「心」を読み取りました。

[寅次郎殿、やはり、この星は最高だな]
「あぁ…」

「伝説の宇宙漁師」と言うアダ名に妙に愛着が湧いた、寅次郎博士は、大広間に、大漁旗を飾り付けると、華やいだ気持ちになるのでした。

新たな物語が、始まる合図です。

[星を繋ぐ猫達  完]

長きに渡るブログ小説シリーズが、1つ完結いたしました。
ご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。
ようやく、次のシリーズへ進めることが出来ます。
次の舞台は、猫の星カンタスカラーナです。
その前に、インターバル的な作者の食生活改善記録をアップする予定でいます。

  (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】SF物語を展開中です。
そんな楽しい猫の星の世界観第6弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

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