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2019年の個展が、終了致しました。ご来場下さいました方々に、厚く御礼申し上げます。今後も精進致しますうえ、末永く、よろしくお願い致します。
画像は、今年の個展の模様です。
今回は、とてもリラックスした気持ちで作品を、完成させました。大自然からのメッセージと共に、明るく希望に満ちあふれた猫の星を、表現しています。
では、物語の続きをお楽しみください。
《第12章 最終章①テラ任務完了》
2016年の蝉が鳴く朝、いよいよ猫達が、星に還る日がやって来ました。その前に、猫達は、もうひとつの地球基地である、寅次郎博士の元に向かいます。
そう、村のお祭りへ。
見送った作者は、何事もなかったような空を見つめ、ため息をつきます。時々、時空の隙間から見えた巨大な宇宙船、飛び交う猫達の小型機も見えません。
置き去りにされた気持ちを抱え、残された資料を元に物語を綴る。ループ次元での作者は、繰り返される日常生活の中で、一部の感情や思考を止め、まるで何も感じないように、淡々と過ごそうとしています。
いつか環境を変えなくては…このままでは…と思いながらも、徐々に視野が狭くなっていく…
2019年の作者は、自身の胸に手をあて、そんな当時の自分にコールします。
(早くこちらへ!!(心が)壊れる前に飛び越えて!!)
光の矢のごとく放たれた意識の粒子は、時間を越えて突き進みます。
そう、己を助けるのは己の心。
「…!?」
何かを感じた2016年の作者、気のせいかと、伝達粒子の粉を振り払う…
そのころ、猫達は、神城村の祭会場へ、そこには、やぐらを建てる村人達とマゼラン星人達の姿、人の姿に似た手足が長く器用な彼等は、ひょいひょいとやぐらを組み立てていきます。
そう、この時期は、ちょうど、夏祭りと重なっているのです。
夜叉孫を抱っこする千寿元村長は、その光景を、優しい眼差しで見つめます。隣には、猫達。
「猫沢くん、君達が創ってくれた時空トンネルのお陰で、再び、地球に来ることが出来た。感謝するよ」
「礼など及びません。あのトンネルは元々宇宙生物が造った虫食い穴です。そこに、ちょっと細工して繋げただけです」
猫沢さんは、ニコニコしながら、寅次郎博士から貰ったカリカリを口に頬張りました。
沢山貰ったカリカリ、故郷星に着く頃には空っぽになってしまう勢い。
太陽が真上に近づいた頃、準備が整ったのか、皆、お昼休憩にと一旦解散し、個々に戻っていきます。
「猫君達、お待たせ」
寅次郎博士は、手拭いで汗を拭いながら、水筒のお茶を飲み干します。
猫達は、博士の回りをピョンピョンしながら屋敷へ、そんな可愛らしい光景に、村人達は釘付け。
到着した猫達は、イクサフィーゴ達のいる大広間に通されると、いつもは、見かけない、大きなテーブルと椅子が、沢山、並んでいました。
「皆、掛けて待っていなさい」
寅次郎博士は、台所に向かうと、そこには、神楽屋の従業員達が、総出で料理を作っていました。
しばらくすると、次々と料理が運ばれて来ます。猫達は、美しい盛り付けに目をキラキラさせます。
すると、寅次郎博士は、アルハンゲルと共に戻ってきました。
アルハンゲルの表情は、何故か堅い表情。
寅次郎博士は、静かに優しく語りかけます。
「カンタスカラーナの諸君、宴の前に、君達に伝えておかなくてはいけない事がある…アルハンゲル、いや、ケイオス、話してくれたまえ」
猫達は、アルハンゲルを静かに見つめます。彼は、カルカナルを倒した英雄の生まれ変わり…
「長き期間のテラ任務、お疲れさま。そして、ありがとう…」
「あなたも、20年以上に渡る期間、寅次郎博士を守って頂き感謝致します」
猫達は、深くお辞儀します。
「今度は、私の依頼を聞いてくれないだろうか?」
「もちろん」
「以前、私の父が死後もなお、さ迷っている事を話したのは、覚えていますか?」
「はい」
「父を一刻も早く呪縛から解き放ち、次の世界へ旅出させたいのです…」
「分かりました。」
「もう一つ、告白せねばならない事が…私の本当の名は…ケイオス・ハーオス・………」
アルハンゲルは、声を振り絞りますが、次の言葉が詰まり声が出てきません。
「ケイオスさん…無理をしないで下さい。今まで、ずっと、苦しかったでしょう…」
猫沢さんは、アルハンゲルの言葉を遮りました。彼の瞳から、大粒の涙が、ポロポロポロポロ伝います。
「私達、あの頃から、なんとなく、気づいていたんです…」
当時、猫沢少年と猫庭少年は、子供心に、彼のカルカナルへの異常なまでの復讐心の奥にある、深い深い悲しみに気づいていたのです…そして大人になり、この場所で、その意味を理解しました。
「必ず、彼を救済します。そして貴方も…」
猫沢さんと猫庭博士が、アルハンゲルのそばに駆け寄り、抱きしめました。
「猫沢君、アルハンゲルの願いを聞き受けてくれてありがとう、私も、君達の星へ意識を跳ばし力を貸そう」
「助かります」
「もうすぐ客人達が来る、揃い次第、宴を開始しよう」
寅次郎博士は、再び厨房へ戻っていきます。アルハンゲルは、猫沢さん達の横の席に座り、美味しそうな御馳走を、見つめています。
何かを、思い出しているようです。
過去に囚われた、悲しき親子の救済
凍てついたアルハンゲル(ケイオス)の心は、少しずつ、溶かされていくのでした。
(つづく)
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中。
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※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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