7月個展、高円寺の猫の額さんで、開催します。詳しくは、こちらをクリック↓
 
個展も、もうすぐです。準備に追われています。良い展示になるよう作品制作中です。猫沢さん達が、物語から飛び出して、高円寺ギャラリーに遊びに来ます。会いに来て下さいね。ポストカードなども販売します。
 
では、物語の続きを、お楽しみください。
 
画像は、個展のDMです。
 
《第11章⑥ イクサフィーゴ集結》
 
猫沢さん達が、無事に、イクサフィーゴとキーパーツを見つけ出し、寅次郎博士の元に向かう船の中では…こんな事を、再び話していました。
 
「猫沢博士、サンプル1号は、とうとう、カルカナルの餌食になってしまいましたね…日に日に、コンタクトが繋がり難くなっています…」
 
猫庭博士は、顔を曇らせます。
 
「あれは…1号自身の、思い込みと思考癖が招いたものだ…地面に叩きつけられた、あの日を境に、私達の手では、施しようがなくなってしまった…自力で気づき立ち上がる術(すべ)が見つかるまで、見守ろう…転ばぬ先の杖を差し出す事は、1号の[ヒト]としての成長を止めてしまう。幸い、周りには先行くテラビト達が居る。まぁ、私達が居なくとも大丈夫だろう…」
 
二人は、サンプル1号の安否を気遣いつつも、前に進むイメージを拡げました。
 
地面に叩きつけられた作者(サンプル1号)とは、2016年の3月の出来事、貧血で意識を失って倒れ、救急車に運ばれた時の事でしょうか…?確かに、あの時の衝撃は、驚きましたが、どうやら、あれを境に、猫沢さん達とのコンタクトが、途切れ途切れになっていたのを記憶しています…6月の個展を終えた作者は、その後、無事に任務を遂行した彼等を、カンタスカラーナに見送ってから再会するまでの2年余り…その間の出来事は、あまり、覚えていません…。
 
重度の貧血を改善しようと、食生活の見直しに躍起になっていたことくらい…その間、カルカナルの餌食になっていた事を、随分と後になって知るのです…。食のレポートは、また、隙間が出来た時に…
 
さぁ、物語を続きを、お話しましょう。
 
異次元トンネルを抜け、地上に出てきたニャンタープライズ号は、静かに、寅次郎博士の元に向かいます。
 
その頃、寅次郎博士宅では[橋渡しの民]メンバーと、千寿氏は、お茶をしていました。メンバー最年少の、神原 宙(カミハラ ソラ)が作ってきた、クッキーやケーキが並んでいます。彼女が経営するカフェの自慢のスィーツ達。
 
「そろそろ…ですね」
 
ソラは、ティーカップを片手に微笑みました。
 
「20年余りのタイムラグが、とうとう整う」
 
寅次郎博士は、安堵の表情です。
 
「イクサフィーゴ達が、活動を始めると空間の粒子達に、変化が起き、カルカナルが覆っていた膜を変化させる事ができる」
 
「寅次郎さんよぅ、イクサフィーゴってのは、一体全体、何者なんだ?」
 
門田さんは、抹茶クッキーをつまみながら、問いかけます。
 
「彼等は、戦士だよ」
 
「戦士…?」
 
「かつての星では、戦いに明け暮れた者達さ、彼等もまた、この星を愛する者達である事だけ伝えておくよ…」
 
寅次郎博士は、多くは語ることはなく、静かに、紅茶をすすります。
 
「戦士ですか…、カッコイイな」
 
千寿氏の後輩の、翔太が、ほわっと胸踊らせてます。
 
「そろそろ、外に出ようか」
 
彼等は、5人揃って、猫達とイクサフィーゴを迎えます。どことなく、清々しい彼等の表情、[橋渡しの民]寅次郎チームの任務の最終段階に入る大切な場面に遭遇する、神原チームの3人は、目を輝かせています。
 
千寿氏も、感動の再会に対面出来る事に、嬉しさが込み上げます。
 
空が、キラリと光ると、虹色の空間が開き、帰還の合図。時空トンネルが開きます。
 
「寅次郎博士!ただいま帰還いたしました!」
 
猫達は、船から降りてくるやいなや、明るい笑顔で、ピョンピョン跳び跳ねながら、寅次郎博士たちの回りに駆け寄ります。
 
[橋渡しの民]達は、キラキラ輝く猫達を、出迎えます。
 
「おかえり、ありがとう!」
 
寅次郎博士達は、満面の笑みです。
 
「残りのキーパーツとボードです。それと…これ」
 
猫沢さんは、寅次郎博士に、小さな巻物を渡しました。
 
「シャンバラの民からの、メッセージです!」
 
「彼等にも、会えたのだね」
 
「はい!博士にヨロシクと、イクサフィーゴを、お渡しします」
 
船の別ハッチが開きます。そこには、3体のイクサフィーゴよりも、少し大きなイクサフィーゴが、魚の姿ではなく、半魚人のような姿で、培養器の中で立っていました。
 
これが、本来の姿。
 
黄金の鱗は、鎧のように身を包み、輝いています。普段は、鯉のような姿をしています。
 
「ハーレー!!」
 
寅次郎博士は、駆け寄ります。
 
[…お久しゅう、虎之助殿、いや、寅次郎殿]
 
ハーレーは、老いた人間の姿の相棒の姿の中に映る、本来の姿の[橋渡しの民]を、虚空の空間に垣間見ると、すぐさま、仮のホログラムボディーの寅次郎博士達に視線を移しました。
 
猫達は、イクサフィーゴの培養器ごと、屋敷の中に入れようとしましたが、扉がつかえて入らない様子、猫沢さんは、慌てることなく
 
「空間の粒子を変換させ、壁を通過します」
 
手元に持った、小さな機械で建物の壁の構造を変化させ、培養器は、スルスルと、壁を、すり抜けるように、3体のイクサフィーゴ達がいる大広間に運びます。
 
寅次郎博士の住む家は、古い洋館で、とても大きいのです。大広間は、昔、パーティー等、催されていたのでしょう。イクサフィーゴ4体が、すっぽり入ってしまう広さです。
 
寅次郎博士の師匠の、故 神楽未知太郎氏(橋渡しの民)は、イクサフィーゴ達の場所も見越して、用意してくれていたのです。
 
「ようやく皆揃った…スティード、ビラーゴ、バルカン、ハーレー、随分と待たせてしまったね…」
 
寅次郎博士は、手にしたキーパーツをボードに、丁寧にパズルのように嵌め込んでいきます。
 
嵌め込まれた、キーパーツ達は、七色の光を放ち、イクサフィーゴ達が、共鳴しあいます。
 
ハーレーは、再び、魚の姿に戻り、ゆっくりと左回転を始めました。
 
大広間は、まばゆい光に包まれていきます。
 
300年余り昔のカンタスカラーナも、この光に包まれていたのでしょう。猫達は星に伝わる「救済の光」の伝説を、目の当たりにしたのです。
 
チャット博士は、話し出します。
 
「彼等、イクサフィーゴ達は、遥か昔、この力を戦いに使い、数々の破壊を繰り返してきました…ある時、一人の生命体と出会い、この力の真の使い方を学び…戦いをやめ、彼と共に旅に出た…」
 
「彼と言うのは…」
 
ソラが、寅次郎博士に視線を流すと、チャット博士は、ニコリと微笑み、うなずきました。
 
「イクサフィーゴの民は、救われました。彼等は、大きすぎる自身の力を使いこなす術(すべ)を、知らなかっただけなのです。彼等は「破壊の戦士」であり「再生の戦士」でもあります」
 
チャット博士は、幼い頃、ハーレーに聞いた昔話を、静かに話しました。
 
門田さんが、
 
「絵本にしたら、面白そうだなぁ…」
 
と、イメージを膨らませています。
 
「作ってみたらいかがですか?神城UFO伝説の絵本も、なかなかの評判と聞いていますよ」
 
猫沢さんは、にこやかに答えました。
 
ここ、寅次郎博士の住む、神城村は、以前は「神城鬼伝説」として有名でしたが、千寿氏の登場により、伝説が覆されました。彼等は、恐ろしい鬼ではなく、優しい宇宙人だったと誤解が解け、UFO伝説の村として、村起こしの方向性を変えたのです。
 
門田さんは、数十年前に依頼された鬼伝説の絵本を、あるひとつの物語と位置付け、新たな気持ちで、UFO伝説の絵本として出したばかり、この2冊は、役場や、観光施設に仲良く設置されています。
 
「イクサフィーゴ達は、カルカナルの造った膜をゆっくりと溶かす。その時、地球全体に変化が現れる。臨界点を越えると加速する、これから目に見える現象は、恐ろしい破壊と再生を繰り返すだろう。私達の任務は、これで終わりではなく、これからだ」
 
寅次郎博士は、ゆっくりと回転するイクサフィーゴ達を眺めながら、静かに、
 
「変化に付いていけない人々が、混乱する時が来る、その時、我々の力が、本当の意味で必要となる…」
 
寅次郎博士は[橋渡しの民]としての、新たなる任務の遂行の合図を示しました。
 
そして、5人は、円陣を組むと、円の真ん中から、なんと…白い虎の姿が現れました。まるで水墨画のような美しいホログラム映像が、揺らいでいます。
 
「お久しぶりです。バイフー殿、共に参りましょう」
 
[あぁ、古き友よ、元気であったか?]
 
白い虎の映像が、語りかけます。
 
「あぁ、もちろん」
 
寅次郎博士は、にこやかに答えます。
 
[では、我々は、地上にて活動を開始する。いずれまた会おうぞ]
 
そう言うと、バイフーは、開け放たれた窓から、天空を駆け抜けていきました。その後を、朱雀、玄武、青龍が、現れ、彩雲のような美しい雲の姿になり広がっていきます。
 
「綺麗ですね…」
 
サリーと、ソラが、目を輝かせました。そして消えないうちに!?と、慌てて、スマホを取り出す二人の姿を、微笑ましく見つめる寅次郎博士達
 
猫達も、思わず、パチパチと拍手をしています。
 
「これで、私達のテラ任務は、一段落ですね」
 
猫庭博士は、美しい空を見上げながら、ちゃっかりと映像におさめています。
 
「あぁ、次は、私達の星の任務だ。イクサフィーゴ達が動いたテラは、カンタスカラーナにも、良き現象が起こるだろう」
 
猫沢さんは、緩んだ表情から一転し、緊張が走ります。
 
「私達も、良き現象に向かうよう、進みましょう。そう言えば、私、最近、あの子猫君が、とても気になるのです…」
 
「ロドニアとか言う子猫ですね…?最近、星中で話題だそうですね…」
 
エンジェルボイスと言われる、美しい歌声を操る、愛くるしいルックスのロドニア少年、今、猫の星では、ダントツの人気猫なのです。
 
「あの子、誰かに、似ていませんか…?」
 
「……」
 
猫沢さんの表情が、微かに険しくなりました。
 
そんな中、寅次郎博士が、
 
「ありがとう。君達のお陰で、イクサフィーゴ達が揃った。とても感謝しているよ。本当にありがとう」
 
寅次郎博士は、深くお礼を述べます。
 
「お役に立てて良かったです。そして、ようやく恩返しが出来ました」
 
猫沢さん達は、寅次郎博士を囲み、お礼を口々に伝えます。
 
「君達は、まもなく、還ってしまうと聞いたが、いつまで地球に居るんだい?もうすぐ、祭りがあるんだが、良かったら、参加しないかい?」
 
「お祭りですか?」
 
猫沢さん達は、キョトンとします。
 
「新しい祭りだよ。実は、マゼラン星人達も参加するよ。もうすぐ到着する頃だ、君達も、どうだい♪」
 
寅次郎博士は、ニコニコです。
 
「喜んで参加させて頂きます!」
 
[つづく]
 
 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
 
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
 
そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
 
2019年の7月、幻想の魚の秘密.第6弾を展示致します!お楽しみです。
 
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
 
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
 
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