7月個展の会場、猫の額さんは、こちらをクリック↓↓
 
 
個展の準備に終われる6月、新しく変わった仕事場にも慣れ、作品制作のリズムも掴めるようになってきました。規則正しい生活になり、夜型人間だったのが、すっかり朝型になり、体調も良くなりました。
 
画像は、新作です。この章に出てくるバイフーと言う、白い虎です。マッチョでカッコイイですね(≡^∇^≡)
 
7月の個展で、原画を展示します。
 
では、続きをお楽しみ下さい。
 
《第11章⑤ 地底都市のバイフー》
 
ここは、伝説の地底都市シャンバラ(アガルタ)
 
天上に見える真下には、地底とは思えない程の光が、光々と照らし、黄金の建造物に刻まれた紋様が、不思議な雰囲気を醸し出しています。
 
猫達は、大きな扉を潜り、導かれるように大広間に辿り着きました。
 
すると、アストロ・ニャーの表情に変化が…
 
「お、お師匠さま…!?」
 
なんと、目の前に現れたのは、2メートル近くある大柄で胸板の厚い大きな白い猫…?違います。白い虎です。
 
真っ赤な中華風の衣服を身に付けた、凛々しい姿。
 
瞳の奥には、まるで宇宙を内包したような、深く澄んだ蒼さ…
 
猫達は、あまりにも、大きな存在感に圧倒されました。
 
彼の他にも、エジプトの壁画に描かれたような、もしくは、ヒンドゥー教の神々のような異形の頭部を持った者達が、沢山います。
 
猫沢さんは、躊躇なく彼等の前に立ち、膝をたて挨拶を…慌てて、他のクルー達も、同じように挨拶をしました。
 
「入界の許可を頂き、ありがとうございます。私達は、シリウス系のカンタスカラーナから来ました。代表の猫沢です」
 
「私達は、地上世界アジア地区を護る者。私は、バイフー」
 
代表である白虎が、挨拶をすると、後ろの3人が、静かに立ち上がりました。
 
鳥、亀、龍…彼等の姿、どこかで見たことがあります。
 
「よくぞ、辿り着いた」
 
バイフーは、優しい眼差しで、猫達を見つめました。
 
アストロ・ニャーは、一生懸命、彼を見つめます。
 
「おや…?」
 
バイフーは、何かに気づいたようです。
 
「お、お師匠さま!お久しぶりです。おいらを、覚えていますか?あ、昔の姿に戻りますね!!」
 
そう言うと、彼は、4本足の地球猫の姿に変身しました。猫沢さん達は、驚きます。いつもかぶっている帽子を脱ぎ、バイフーに駆け寄る姿。
 
「彼は、スコテッシュだったのか…」
 
彼は、何故だか、折り畳まれた耳が好きではありませんでしたので、ずっと隠していたのです。
 
「あぁ、君は!あの時の…覚えているとも」
 
「おいらは、お師匠さまから学んだ後、旅猫なり、仲間と共に再び、ここに還ってきました。やっと、お会いすることが出来ました!」
 
アストロ・ニャーは、目を輝かせました。
 
「よく来てくれた」
 
バイフーは、アストロ・ニャーの肉球を大きな肉球に乗せました。
 
「あなたは、おいらに、遥か遠くの同胞達の力が必要だと言っていました」
 
「そうであった。よく覚えていてくれた」
 
バイフーは、優しい目で、猫達を見つめます。
 
猫沢さんは、一歩前に出ると、カンタスカラーナのホログラムを映し出しました。ピンク色と空色の大気に包まれた、美しい星、そして、カルカナルの芽に蝕まれたイクサフィーゴの映像を映します。
 
「私達は、自身の星の危機を通し、テラからのサインを受け取り、ここに来ました。アストロ・ニャー君のお陰で、ようやく、あなた方にお会いできた事、嬉しく思います」
 
「これは…イクサフィーゴ。とても痛ましい姿ではないか…」
 
バイフーは、悲しそうです。
 
「彼は、亞種のクローンのイクサフィーゴであり、現在の私達を護ってくれています。オリジナルのイクサフィーゴ達は、300年前の私達の星を救い、役目を終え、今現在、彼等は、テラの地に4体降りてきています」
 
「その中の1体を、探しに来たのだろ?」
 
「お見通しですね。正確には、時が来るのを待っていた…」 
 
「そちらこそ、お見通しではないのかね?」
 
それもそのはず、宇宙猫同志、奥底の意識で繋がっていましたから、猫沢さん自身、地球に降り立った当初から、要となるイクサフィーゴの居所は、見当がついていたのです。ですが、何度、試みても居場所にたどり着けないジレンマにさいなまれていました。
 
同時に、地上世界での、タイムラグの歪みとズレで、数々のタイミングを逃してしまったのです。
 
バイフーは、猫達と言葉を交わさず、テレパシーで、会話をしています。語源化が不可能な映像情報等のやり取りが出来て、とても便利なのです。
 
バイフーは、大きく頷くと…
 
「イクサフィーゴ・ハーレー、迎えが来たぞ!」
 
バイフー達の後ろにある、大きな扉が轟音と共に開きました。
 
そこには、黄金の鎧を着けたイクサフィーゴの姿。神々しい光に包まれた彼は、4体の中で一番、位の高い戦士。
 
猫達は、勇ましくも凛々しい姿に、どよめきます。チャット博士が、思わず…
 
「ハーレー…あなたが、伝説のイクサフィーゴでしたか…」
 
「チャット殿、大きくなられて…」
 
イクサフィーゴ・ハーレーは、チャット博士の元へと歩いていき、ヒレを差しのべました。
 
「ついに、私が、地上世界に行く為の準備が整ったか…」
 
「長い間、待たせてしまいました。同行の[橋渡しの民]も、テラビトの姿でお待ちです」
 
チャット博士は、目を潤ませ、ハーレーを、見つめます。
 
「虎之助か…今は、どうしてる?」
 
「テラでは、寅次郎と言う名で、山奥で蕎麦を打っていますよ。3体の仲間達も待っています」
 
チャット博士の横に居た猫沢さんが、ニッコリと微笑みました。
 
「バイフー殿、随分と世話になった。いずれ、恩は返す。私は、地上に参るぞ」
 
「何を言う、元々、同じ星(時空)に居た仲間ではないか。地上の者達に伝えよ。かつての記憶を思い出せと…己が「光」であると言う事を…」
 
「あいわかった。地上世界の人間達も、かつての我らの仲間だった…。彼等は、この世界と分断され、操られ、さ迷っているのだ…そろそろ、目を覚まし「輝き」を取り戻す時が来た」
 
「そなた達が「風穴」を開け放った時、我らも動く。健闘を祈る」
 
そう言うと、バイフー達は、ハーレーと猫達を、見送りにと、異界の門の近くに着陸させた、ニャンタープライズ号まで、送ってくれたのです。
 
そして、イクサフィーゴ・ハーレーが入っていた、培養器とキーパーツを渡されました。
 
「私は、再び、ここに入る、地上の周波数では、姿を維持できないからな…」
 
猫達に、お馴染みの姿になったイクサフィーゴを見上げ、不思議な気持ちになりました。彼等にとって、あの容器は、防護服のようなものなのだと、理解したのです。
 
「さぁ!カンタスカラーナの民よ。行きなさい!」
 
猫達は、宇宙船に乗り込むと、笑顔で手を振ります。
 
アストロ・ニャーは、いつもの姿に戻ると、師匠の姿が見えなくなるまで、瞳を潤ませ、手を振っていました。
 
「ニャー君、会えて良かったですね」
 
猫沢さんは、ソッと隣に立つと
 
「お師匠さんからです」
 
「!?」
 
小さな巻物のような物を、手渡されました。
 
「にゃにゃ!!これは…」
 
「お手紙です。後で、ゆっくり読んでください」
 
「お師匠さま…」
 
アストロ・ニャーは、巻物をキュッと、握りしめました。
 
[間もなく時空トンネルに入ります。着席してゴーグルを装着してください]
 
船内スピーカーから、アクア操縦士のアナウンスが聞こえます。いよいよ地上世界に戻ります。
 
その頃、寅次郎博士が、彼等の帰りを、今か今かと、ソワソワしながら待っていました。
 
[つづく]
 
 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
 
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
 
そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
 
2019年の7月19日(金)~7月31日(水)、幻想の魚の秘密.第6弾「森羅万象のニャー」を、展示いたします!お楽しみです。
 
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
 
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
 
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