お待たせいたしました。久々の更新です。
春なのに寒いですね。
 
画像は、今年の7月個展に展示する新作です。今回は、淡い色彩の作品がメインとなります。作品は、お馴染みの寅次郎博士とアルハンゲルです。
 
個展会場は、お馴染みの高円寺の猫ギャラリー&猫雑貨 猫の額さんです。
原画の中の猫達に、会いに来てください。
 
では、続きをお楽しみください。
 
《第11章② 閉ざされた記憶》
 
寅次郎博士宅での、合同会議、イクサフィーゴ達と共にやって来たキーパーツボードの情報を手にした千寿氏を、囲みます。
 
千寿氏は、考古学者であり、マゼラン星人の遺伝子を受け継いだ地球人です。彼は、考古学仲間の情報とマゼラン星の科学者の協力の元[橋渡しの民]のサポートをしているのです。
 
あらゆる角度や視点からの調査は、[橋渡しの民]達にとって、とても、役に立つのです。仮に、地球人視点だけで調査しようとすると、様々な概念や常識等の思考に囚われてしまい、カルカナルブロックが、覆い隠してしまうのですから…
 
造り出された思考の世界に、どっぷりと浸かってしまっていると、思考を止め受動的なループ次元で、何も知らずに人生を終えてしまうのです。
 
そうそう、2016年の作者は、いまだ、そのループ次元で、さ迷っていますが、現在、ここにいる2019年の作者が、こちらの次元に引っ張りあげる事になっています。
 
「頭の中にある意識を心臓の位置に下ろし、穏やかな感情に包まれるようになイメージをし、当時のあなたにフォーカスして呼び掛けて下さい。簡単ですよ。あなたをループ次元から救うのは、あなた自身である事を自覚してください」
 
猫沢さんは、優しい口調で、作者にレクチャーしました。
 
とにもかくにも、呼び掛けるのでした。
 
さぁ、とりあえず2016年に居る作者の事は、放っておき、物語を戻しましょう。
 
 
 
会議中、寅次郎博士は、カルカナルの力は、どんどん大きくなっている事を指摘しました。ループ次元から抜けてきた人達の数は、まだまだ目標に達していません。人類に迫り来る大きな闇に、突然、何かを思い出したのか…
 
「我々はまた同じ事を、繰り返してしまうのか…?」
 
眉間のしわを寄せ、頭を抱えました。
 
彼は、話を続けます。
 
「あの時、私は、滅びゆく人達や星を後にして、宇宙船に乗り込んだ…皆を救えなかった…見捨ててしまった…」
 
閉ざされていた、グランティオス以前の記憶が、寅次郎博士の中を、かけ抜けていきます。その時です、なんと猫沢さんの頭の中にも、あの時の光景が浮かび、ハッとしたのです。
 
「寅次郎博士、思い出しました!!見捨てたんじゃありません。希望を託して、あえて滅びを選んだのです!私もかつて、あなたと同じ宇宙船に乗り込んだクルーでした!あなたは、当時、黒髪の女性科学者だったと記憶しています。私達は、数々の星を経由し、テラにたどり着きました」
 
「グランティオスにか?」
 
「グランティオスになる前の大陸です、私達は、その地で文明を築き上げ、そして最後に焼かれて滅びたのです…」
 
「何故、君は、そこまで知っているんだ?」
 
目を丸くする寅次郎博士
 
「覚えていますか?私達、猫の星の民は「虚空庭園」の図書館に自由に行き来出来ます。そこで、私は私の「本」を見つけました。そこに、記されていたのです。ですが、還ってくると読んだ内容を忘れてしまいます。今、思い出したのです。私もかつて、リラに居ました!」
 
「君は、リラでなんと呼ばれていた?」
 
「忘れてしまいました」
 
猫沢さんは、無邪気に答えました。
 
「グランティオスの記録も記されていたのなら…君は、あの時、地球に居たのだね?」
 
「そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。寅次郎博士も、ご自身で「虚空庭園」に行ってみてください。なにか見つかるはずです。思い出して下さい。私達は、リラを救う為にテラに来たのです…」
 
猫沢さんは、ふと思い出した事柄を発言した後、深い深呼吸し、お茶をすすりました。
 
「なるほど、猫の星では「虚空庭園」…私達の星では「アーカイブの浜辺」と言われている場所ですね、個々の魂の記録が記された鳥達がいます」
 
千寿氏が、目を輝かせて話します。猫達と話が出来る事が、嬉しいのです。[橋渡しの民]以外の地球人に、こんな話をしたら、オカシナ人認定です。
 
「鳥ですか!?マゼラン地区にもあるんですね!」
 
「はい、私達もアクセスは可能です。地球にも同じようなシステム「宇宙図書館」と言うのが存在しているはずです。それらの空間達は、ニューロンとシナプスのように情報を共有しながら、繋がっています。長に聞いたのですが、地球人達は、そこへのアクセスは、ごく一部の者を除き閉ざされています。寅次郎博士も、簡単にアクセス可能ですが、肉体には、かなりの負荷や制限がかかってしまうかもしれません…」
 
千寿氏は、寅次郎博士のホログラムボディーを、気にかけていました。齢70年の昭和生まれのボディーは、覚醒していても[橋渡しの民]としての記憶は途切れ途切れであり、100%能力を発揮できない状態でもあるのです。容量が足りないのです。
 
要約すると、通信端末に制限がかかっている状態、重いのです。
 
猫沢さん達は、それらの現象が、想定内である事を承知で、寅次郎博士をサポートしているのです。
 
地球人の大半は、ほとんど、この状態で生きていると言われています。
年々、地球の周波数に変化が起き、半覚醒した状態で、生まれる者もいますが、大半は、カルカナルの優れた最新技術によって、封じ込められているのです。
 
「千寿先生、情報、ありがとうございます。私達は現地に向かいます!」
 
猫沢さん達は、データチップを、器機に差し込み、3Dマップを広げました。準備OKです。
 
「入り口の側に、門番がいるはずです、彼に、この石を見せてください」
 
千寿氏は、石で出来た幾何学模様の球体を渡しました。どこかの遺跡で発見され、研究所では使用用途が分からず、倉庫に眠っていたものだそうです。猫達は、目的地を目指します。
 
 
 
ここまで、書き終えた作者は、疑問に思い、猫沢さんに質問しました。
 
「猫沢さんは、リラやテラで生きていた時の記憶はあるのですか?」
 
「断片的には…。私達の星、カンタスカラーナも、例外なく、リラを救う為に築き上げられた星なのですよ…テラも同様です」
 
「テラもですか?」
 
「そうとも言えますし、そうでもないとも言えます」
 
「??????ちょっと待って下さい。過去に滅んだ星を救う為に、現代の星で生きる意味などあるのですか?」
 
「ここから先は、あなたの脳が混乱してしまいますので、詳しい話は出来ませんが、テラで過ごす「今」と言う「時」を、楽しんでください。せっかくループ次元を抜ける事が出来たのです。今を満喫するんですよ。さぁ筆を進めて下さい」
 
猫沢さんは、にこやかに話すと、猫ソファーに腰掛け、寅次郎博士から貰ったカリカリを摘まんでいました。
 
寅次郎博士の謎は、深まるばかり、突如、よみがえった遥か昔の自責の念、次こそは皆を救うと誓った心…
 
 
 
「誰一人落とすな」と…
 
 
 
[つづく]
 
 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
 
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
 
そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、昨年、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
 
今年は、2019年の7月19日(金)~7月31日(水)、幻想の魚の秘密.第6弾を開催します!お楽しみです。
 
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
 
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
 
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