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画像は、2016年の個展の案内DMと、高円寺、猫の額さんでの、個展の様子です。

今年は、2019年、7月19日(金)~7月31日(水)猫の額さんで、個展します。よろしくお願い致します。

では、続きをお楽しみください。

《第10章⑤ ループ次元》

2016年の初夏、リアル世界での作者は、悩みを抱え、もがきながらも、描き上げた作品を、岐阜の自宅から、東京へ宅配搬入し終えました。この時の作者の疲労感は、半端ではなかったのです…。搬入後はフラフラになり、コメダ珈琲の、シロノワールを食べに行ってしまいました。

作品達は、無事に展示されましたが、闇を放出したせいか、案の定、威圧感が濃厚になり、ギャラリースペースは、重々しい雰囲気です。

そんな事は、お構いなしと、冷静な猫沢さん達は、いつものように、設置された額縁次元に入り、来場者を観察しています。

事情を知る馴染みの客人達に、励ましの言葉を貰ったり、ギャラリー店長には「環境を変えなさい…」と、心配されてしまう始末です。

当時の作者は、闇を出し切ったつもりでしたが、これは、ほんの一部でしかありません…。

猫沢さんは、猫庭博士と、作者の様子を観察しながら、

「猫沢博士、サンプル1号の、メンタル限界値は、とうに越えてますね…更に重りを付けて生きてるように思います…なぜ、あの時、あちらの次元に進まなかったのでしょう?」

猫庭博士は、心配そうに見つめます。

「ヒドイ思い込みに陥り、心の臓の「自分」を無視し続け、頭の中の「自分」が、自滅に向かおうとしている…非常にあぶない…1度倒れた時に、体内の栄養素達が削げ落ちている。その隙間に、ストーンブロックが、どんどん蓄積していく…脳と腸の回路回復が必要だ」

猫沢さんは、作者の、頭と心と腸の回路が断線している事に、気づいていました。もちろん、作者は、気づいていません。

在廊を終えた作者は、宿で、猫沢さん達と、話し合いをします。

「今回の展示…やっぱり、ダメでしたかね…?」

作者は、ションボリ反省会を繰り広げます。

「そんな事は、ありませんよ。あれも、あなたの心の一部なのですから、時が経てば、作品は変化を遂げます。気にしてはいけませんよ」

猫庭博士は、優しく答えました。
猫沢さんと、年齢は同じくらい(テラビト年齢だと還暦辺りに相当します)なのですが、随分と若く見えるのは、彼の家庭が、カルカナル食品や商品を一切、摂取しなかったからだと言うのです。

昔、猫庭少年は、猫沢少年から、カルカナルのお菓子を貰って口に入れた時、拒絶反応を起こし倒れています。それを見た、猫沢少年は、真っ青になりました。幸い、命に別状は、ありませんでしたが、カルカナルの恐ろしさを垣間見た猫沢少年の心は、ヨロヨロになったのです。

猫庭博士の祖父の十三郎は、虎之助博士(現在の寅次郎博士)の弟子であり後継者。彼は、その血を受け継ぐ猫なのです。

猫沢さんは、悩む作者に、小さなヒントを、教えてくれました。

「猫沢さん、脳と腸を繋げって?どういう意味ですか?」

「現在の、テラビト達は、脳と腸と心臓の回路が切られた状態で生きています。物理的には臓器としての役割の神経は繋がってますがね…」

「そりゃ、物理的に繋がってないと死んでますよ。いまいち、意味が分かりません」

「でしょうね。あなたは、現在、修復中の身です。造血機能の劣化を感知しました。頻繁に貧血を起こす原因を調べてください。血を造り出す機能を回復させない事には、先に進めません」

「一応、動物性タンパク質を増やしてみたんですが、いまいち、効果が分かりません…」

「まだ、始めたばかりですから仕方ありませんよ。しばらくの間、多目に摂取を意識してください。崩れた土台を再構築させるには材料が、必要です」

「材料…?」

「今のアナタの体内で起きているのは、生存機能の基礎となるホログラムボディの欠損です。食べた物が材料となり体を作ります。ホログラムボディ灯影に必要な、ミトコンドリアのエネルギーを蓄え、バイオフォトンを調えて下さい」

「私の場合は、動物性が必要なのですね」

「そうです。幼い頃の食生活が、腸内細菌の構成しています。それを参考にしてください」

「そうですね…私は小さい頃から、動物性タンパク質を多く摂取していました。これは、人によって違いますよね?」

「もちろんです。皆、全て同じ腸内環境はありません。改善方法は千差万別オーダーメイドです。動物性に頼らなくても良いテラビトもいます」

「ところで、猫沢さん、脳と腸って、どうやって繋がってるんですか?」

作者の、幼い質問に、猫沢さんは、やれやれ、と言う表情を浮かべ

「あなたは、ヒノモトの言葉で「腹を決める、腹黒い、腹を探る、腹を割る、腹をすえる」と言うのが、あるでしょう?昔のヒノモトの民は、知っていたんですよ…」

「何をですか?」

「腸内ニューロンの存在です」

「脳と同じと言う意味ですか?」

「そうです。脳と腸は、考えている事は違います。あなたの脳が、食べたいと思って食べた物質が、腸にとっては、劇物である事を脳は知りません。脳は快楽を求めますから、腸に有害でも、脳は、その有害物質が放つ快楽物質で、報酬回路と言う部分を活性化させ「幸せ」と言う感覚を味わうのです」

「例えば、その物質は?」

「白米や小麦粉や砂糖などの糖質です。これらの物質は、摂取すると、即座に脳に運ばれ、一気に血糖値が上昇し元気が出ます。そして幸福感に満たされ満足します」

「確かに、パンやご飯や甘いものは、食べた瞬間、元気になりますね」

「しかし、数時間もたたずにエネルギーを消費し、血糖値が下がります。度を越えれば、低血糖でフラフラになり、再び、糖質を摂取し回復させ、アップダウンを繰り返すのが日常でしょう。そこに、本来なら、あなたの腸に不向きと思われる物質があります」

「小麦粉ですね。私、以前、ラーメン、パスタ、菓子パン等が大好きで、しょっちゅう食べてたんですが、何故か、調子が悪くて…遅延アレルギーについて調べてみたのですが…症状が似てるんです。あ、もしかして…?」

作者は、ハッとしました。

「その、もしかしてです」

猫沢さんは、ポンと肉球を叩きました。

「脳は、小麦粉食品の美味しいことを知っています。成分の中には、脳に快楽物質を放出する物質が、入っています。ところが、腸にとってはリスクが高いのです。しかし、機能が混乱し脳に摂取を止めるよう、信号を送れません…」

「と言うことは…腸が壊れたら、ヤバイんじゃ…?」

「ヤバイなんてもんじゃありませんよ。脳の命令が優勢になり過ぎて混乱してしまうんですから」

「それって、カルカナルにとって好条件ですね…」

「小麦粉は、一例です。小麦粉は長年の遺伝子組み換え技術と残留化学物質で、腸にとって過酷な食べ物になってる場合があります。耐性のないあなたには、刺激物です。」

「…耐えられない腸か…」

「脳は優秀ですが、万能ではありません。腸との回路が切られた状態では、糸の切れた凧ですよ。お互い繋がってはいても、孤立した状態です」

しばし、作者は、考え込みました。
脳に、安易に撹乱物質を与えないようにするには?と…

「あなたは、糖質過多の傾向があります。しばらく減らしてみてください。糖質が原因で体内に炎症が起きているかもしれません。その時、中毒にも似た症状が出るでしょうが、その様子も観察してみてください。あと、糖質と言っても、全てが腸に負担をかける訳ではありません。このケースならば、白米は、少量食べた方がよいでしょう。では」

猫沢さん達は、宇宙船に戻っていきました。

カルカナルトラップを発動させる、疑わしい物質を、調べてみると、あまりの多さに驚きます。これが、私達、人間にとって安全な物質だと、声高々に、言われているけれど…元々は、重金属であったり、科学薬品の副産物であったりするものも多く、ほんの少しの使用なら安全で快適と…

なら、なぜ、あの、とある状況はいっこうに改善せず、どんどん、悪化してるのか?と、不思議でなりません。

それを不思議だ。何故だ?と、思っていけないのかとでも言うような、混沌とした空気が覆うのです。

「猫沢博士…テラの周波数が、急激に変化し始めましたね…」

猫庭博士は、小型移動マシン フラクラフトの通信機を、通して語りかけます。

「地軸が移動し始めてる…急がなくては…サンプル1号は、この先、再び現れる[ループ次元]に進むか[アドバンス次元]に進むか、決めなくてはいけない時が来る…今回は[ループ次元]に入ってしまった…」

「…[ループ次元]では、私達とのコンタクトコードを維持するには、1号の相当な努力が必要ですね…」

「囚われている事に気付けば、あちらの次元に翔べるのに…いつまで[ループ次元]で、遊んでいるつもりなのかねぇ…」

猫沢さんは、半分、あきれた様子で、ため息をつきました。

ループ次元とは…?

[つづく]

(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)

2019年の7月、幻想の魚の秘密.第6弾を展示決定!お楽しみです。

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

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