立春迎え旧正月、少しずつ春の気配が近づいてきます。

 

画像は、2016年個展に発表された作品、ウィラード博士です。

 

では、続きをお楽しみ下さい。

 

《第10章④  ウィラード博士の心地好き闇》

 

2016年、分岐点で、見事に、選択ミスをかました作者は、トラブルに巻き込まれながら、次の個展の準備をしていました。時間は止まらない。会期は迫る来るのです。

 

同時に、ストーンブロック蓄積による、体調不良に襲われ、七転八倒している作者に、猫沢さん達は、容赦なく、個展のテーマを与えてくれました。当時の作者の心理状態にピッタリなのでは?と…

 

それは、子猫時代の猫沢さん達を描く事、同時に、恐ろしいカルカナルの存在を、さりげなくアピールしつつ、現在のカンタスカラーナも重ね合わせて。と言う難しい注文です。

 

ストレスまみれで、ネガティブな感情に傾いた作者なら、カルカナルの闇を、うまく表現出来るのでは?と、逆手に取られたのです。「描くなら癒しとか、ゆるふわな、そう言う物が良い」と言うと

「その心の状態で、来場者を癒すのは無理でしょう…いっそ、闇を出し切れば清々しい」と、猫沢さんから、猫パンチをくらいました。

 

2015年の冬に、丸い神仏猫型生命体との、コンタクトコードが切られた時、不思議な事に、神仏モチーフが全く描けなくなってしまったのが、災いしてるのです。。

 

作者の心が、不運期に落ち込み、心が闇を追いかけているのですから、自然と光が遠退くのは仕方ない事だと、猫沢さん達は、静かに見守っていました。

 

自力で、気づき、這い上がっていく事も、課題の1つなのです。

 

作者は、ひたすら描き上げていきます。

 

ところがどっこい、暗闇の心地よいこと、心地よいこと、カルカナル支配の最終時代に君臨したと言う、マッドサイエンティスト、ウィラード博士は、紙の上で生き生きしているではありませんか。

 

猫達に見せると、怖がって目を背けてしまいます。

 

元々、カルカナルの猫達ウィラード一族は、宇宙を漂う難民。星を滅ぼされ漂流する彼等の心は荒れ果ていました。そして、カルカナルに目を付けられ、心と体を乗っ取られ、悪の化身と成り果てたのです。

 

当時の一族の長、カルカナル社の頂点の、ウィラード博士を、描き上げた時、邪悪さの奥に、一瞬ですが、深い深い悲しみのイメージが現れたのです。

 

作者は、驚きました。

 

ふと、作者は、寅次郎博士の所に居る、猫のアルハンゲルの事を、何故だか分かりませんが、思い出しました。

 

彼は、カルカナルを倒した、英雄ケイオス・ハーオスの生まれ変わりです。

 

彼は、亡き父親の魂を救って欲しいと、遠路はるばる時空を越え、寅次郎博士を追いかけて、やって来たのです。

 

彼の父親とは、一体…?

 

確かに、ケイオスVSウィラード博士の場面を、描いてみると、何かの、しがらみのようなイメージが、見えてきました。

 

親の仇?何だろう?違う…もっと違う、深い繋がりと悲しみが、感じ取れる。

 

製作進行状況を眺めに来た、猫沢さんは、参考にと、子猫時代を語ってくれました。昔、ウィラード博士に誘拐されそうになり、その時、助けてくれたのが、英雄ケイオスだったのだと…

 

その後、猫沢少年は、カルカナルの恐ろしい正体を知ってしまい、星の猫達を救おうと、ケイオスの協力の元、兄猫と、猫庭少年の3人で「子猫探偵団」を結成し、立ち上がりました。

 

そして、遂に最後には、カルカナル達をやっつけ大勝利を、おさめたのです。

 

その特、ケイオスは、ウィラード博士と相討ちになり、命を落としています。

 

小さなアルバムデータをスクリーンに映しながら、資料として、作者に見せてくれたのは、その時に使った道具や作戦ノート、カルカナル社が作った商品の画像…猫沢少年が、大好きだったお菓子のパッケージ達。彼等の正体を知らない頃、親猫に買って貰ってはニコニコして食べていたのだと…その中に、猫達のミトコンドリアを破壊する物質の存在や、裏側の真実を知ってしまい、恐ろしくなって泣きながらゴミ箱に捨てた、悲しい思い出があるのです…。

 

猫沢さんは、切なそうでした。今でも、時々、そのお菓子の味を思い出すのです。美味しかったのです…。

 

当時の、崩壊寸前のカルカナル社製の商品の勢いは、衰えてはいましたが、それでも、猫の星の60%ほどのシェアを保っていました。戦いに破れたカルカナル社は、完全撤退し、跡形も無くなった筈でしたが、現在の猫の星では、復活の兆しが現れ、怯えているのです。

 

彼等の星でのカルカナルは、巨大な総合商社として君臨し、猫達の肉体に憑依し、支配していましたが、地球では、カルカナルと言う言葉は、一切出てきません。ですが、確かに存在しているのです。彼等は、あまりにも重すぎて粗い、人間の肉体(ホログラム)に、憑依する事は、出来なかった為、遠隔操作と言う形で君臨しているのです。

 

見えなくて当たり前、気づかなくて当たり前。正体が、全く見えないのですから…

 

逆に、それが都合が良いと、目を細めているのだそうです…。

 

それを知った作者も、猫沢少年同様、手放した物達があるのですが、全て排除できない現実に、直面し、もはや、もう、笑うしかないのでは?と、思いつつ、現実世界での不運の闇に寄り添いながら、作品を、一心不乱に描き進めるのでした。

 

作り上げた作品は、再び、高円寺の猫ギャラリー[猫の額]さんに展示され、同時に、猫沢さん達の臨時基地となるのです。

 

[つづく]

 

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

 

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

 

そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)

 

2019年の7月、幻想の魚の秘密.第6弾を展示決定!お楽しみです。

 

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

 

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

 

(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)   

 

作品のポストカードや原画は、こちらの猫ギャラリーさんで、好評委託販売中です。興味ある方はクリックです。↓