2019年。すっかり明けましておめでとうございます。本年も、よろしくお願いいたします。
 
新たな展開に胸を踊らせ、物語は進みます。
 
画像は、昨年製作した「百喜夜光 ◇ひゃっきやこう◇」神仏バージョンを拡大したものです。楽しそうに練り歩く神々達。2019年も、よき事に導かれますように。
 
では、続きを、お楽しみ下さい。
 
《第9章⑪ 橋渡しの民達…》
 
ここからは、猫沢さんの報告書を元に作成された、橋渡しの民達の、公開可能な情報を紹介します。
 
 
[ 翌日の午後、寅次郎博士率いる[橋渡しの民]と、猫沢博士と猫谷エンジニア、Σ達は、千寿氏の自宅へ向かいます。
 
広間に通されると、30代後半位の男性と、20代なかば位の女性が、待っていました。初めて会う[橋渡しの民]と名乗る二人に、寅次郎博士達は、世間一般的な自己紹介を済ませると、故郷星言語での挨拶をしました。すると、同じ言語で、返事が返ってきました。
 
5人は、手に手を取り合い、再会の喜びを噛み締めると、緊張が、ほどけたのか、二人は、出された茶菓子を頬張ります。
 
女性の名は、[神原 宙(かみはら そら)]
彼女は、ここでは一番最年少。生まれた時から[橋渡しの民]の記憶を保ち育ってきたと言うのです。黒髪のセミロング、少しレトロな、花柄のワンピースが印象的です。
 
彼女の話を聞いた時、寅次郎博士は、この辺りの年代(平成初期生まれ)の[橋渡しの民]達は、寅次郎博士や門田さん達(昭和初期生まれ)の人間よりも、記憶を保持したまま生まれ育つ率が増え[命綱]なしでも、覚醒する事ができる者が増えていくだろう。と、先代の調査日誌に書かれていた事を、思い出しました。
 
彼自身も、幼い頃、星の猫達の事を覚えていて、会いに来てくれるのを、ずっと待っていたのですが、世間の波や常識に飲み込まれ、すっかり忘れてしまっていました。
 
カルカナルの圧力は、彼等の記憶や使命、言動等を封じる為、大量のストーンブロックを投入し、あらゆる手段で、能力を使えないようにされてしまう事も多く[遭難]させてしまうのです。
 
彼女のように、クリアなまま覚醒、生存する事は難しい。と、幸い、両親が彼女の一風変わった言動も、自然に受けとめ、時には、世間に溶け込めるようにと、訓練してくれたお陰で、ごく普通の女性として社会人として、過ごしてきました。
 
そして、なんと、単独で、任務をこなしていたのです。
 
もう一人の、30代後半位の男性は、[風谷 翔大(かざや しょうた)]
千寿氏の、研究仲間の後輩。
彼は、綺麗なストレートロングヘアーで、整った顔立ち、どこか浮世離れした雰囲気、今まで、かなり変わり者扱いされてきたようで、少々卑屈で、取っつきにくい印象です。
 
ですが、この時とばかりは、髪をキッチリ束ね、普段、半分ほど隠していた顔を出し、新調した眼鏡をかけ、身なりを整えてきました。
 
彼は、つい3年ほど前に、[橋渡しの民]として覚醒。幼い頃から、断片的に見ていた夢が、ここ数年、ハッキリとした形で見え始め、夢の中に現れた人物が、レクチャーしてくれたのだと言うのです。その人物は[命綱]としての役割を持つ地球外生命体。
 
彼は、一時期、自分の頭が、おかしくなってしまったのではないか?と、混乱しましたが、夢の中の人物が「アナタがおかしくなったのではない、思い出しなさい」と、懸命に伝え、1年前の今日、ソラと、出会い、完全覚醒をしました。
 
デコボココンビの二人は、もう一人のメンバーを探そうと、試行錯誤しながら、ようやく、ここにたどり着いたのです。同時に、サリーが、その一人である事が分かり、3人は、地球での再会を、喜びました。
 
「3人共、良かったなぁ…」
 
門田さんと、寅次郎博士は、涙する3人を、優しく見つめました。
 
ソラが、寅次郎博士の後ろで、ひっそり様子を見ていた猫沢博士達の存在に、ようやく気づきました。
 
「この方達は、どこから来たんですか!?」
 
「シリウス系の星だよ」
 
寅次郎博士は、にこやかに答えると、猫達は、ゾロゾロと姿を現します。
 
「始めまして、私達は、カンタスカラーナから来ました。寅次郎博士のサポートをしています」
 
猫達は、揃ってペコリとお辞儀すると、次に、猫谷エンジニアが、共通宇宙言語で、簡単な紹介をしました。
この言語は、イメージも一緒に送信出来るので、二人の頭の中に、猫の星の様子や位置情報が、伝える事が出来る、たいへん便利なツールです。
 
「素敵な星ですね!昔、任務で行った星に似てます。兎型の人達がいました」
 
ソラは、目を輝かせています。
 
「兎型…?プロミアウス星ですね!あの星の民族達は、とても、知的で華やかで素敵ですね」
 
猫沢博士は、ニコニコしながら、答えます。どうやら、猫の星と交流がある星のようです。
 
「はい!」
 
ソラは、満面の笑み
今まで、ずっと、地球人の気配を、まとい過ごしてきて、宇宙の会話など、まともに出来なかったのですから…
 
すると、もう一人、気配がしました。
振り返ると、光に包まれた暖かなヒューマノイド型の姿。
 
翔大は、驚きました。
 
「レイミー!」
 
彼等を、ここまで連れてきた、彼の[命綱]の生命体。
 
(ハジメマシテ、ワタシは、シナウダル星のレイミーです。コノヒガクルのを、マッテイマシタ)
 
まるで、日だまりのような、優しい声、彼だか彼女だか定かではないレイミー、微笑んだかと思うと、姿を消してしました。この世界では、周波数が荒く狭い為、実体化するのは、非常に難しいらしく、一瞬だけ現すことが出来たようです。
 
人間の肉眼では、姿は見えませんが、確かにソコにいます。猫達の眼には見えているのです。
 
そして、ソラには[命綱]は、いません。
彼女の場合は、特殊な家系の地球人家族を選び、その母親の胎内に飛び込んだのです。
 
サリーも同様[命綱]は、いません。ソラと同じように、自力で覚醒しました。ただ、母親の胎内に飛び込んだ時、うっかり性別を間違えてしまった為、成長後に希望の性別に作り替えたと言う、逸話があります。
 
実は、門田さんにも[命綱]は、存在しています。彼は、画家ですから、サポート達は、彼のキャンバスの中の世界。
描き上げて来た作品達が、交信手段でしたが、なかなか通じず、寅次郎博士に出会うまで、半覚醒状態で、完全覚醒出来なかったのです…。
 
[橋渡しの民]達は、多くのトラップやブロックを破り、思い出すのです。こんな、めんどくさい手段で、人間の姿として肉体を持ち、任務をこなすのは、意味があるのか…?
 
それは、なぜなのか?
 
謎に満ちた[橋渡しの民]達…
 
私達、カンタスカラーナの民は、彼等と共に、テラの運命を見守る…]
 
 
これにて、猫沢さんの報告一部公開を、終了します。
 
彼等は、カルカナルが放つ、ストーンブロックと言う謎の物質が、私達、人間の体内に悪影響を与えている事で、起きている問題を解決するために、ここに来たのだと言います。
 
見えないストーンブロックの蓄積。
それによって、地球のコアも、宇宙の声も、受信出来なくなってしまった地球人達。
一見、別に、受信出来なくとも、支障のないように思うのですが…彼等からしたら大変な問題。現に、猫の星が、大きな影響を受けているのですから…そして、刻々と進む、自覚なきミトコンドリアの破壊。
 
「支障ないなんて、呑気な事を言ってる場合ではない。事態は深刻です!」と、猫沢さんにお叱りをうけたばかり。警笛を鳴らされました。
 
理解不能とも言える、調査記録を、物語形式の文章に作り替えつつ、悩む作者に、猫沢さんは、言いました。
 
「迷わず、皆とは逆の道を進みなさい」
 
どういう意味なのか…?
 
そして、時は流れ、2015年が終わりを告げ、2016年を迎えた作者は、次の、個展の準備を進めようとした頃。
日常生活で、ただならぬ、異変に気づいたのです。
 
とても、嫌な予感がする…と…
 
[第9章 終]
 
お疲れさまでした。第9章で、橋渡しの民達の現地再会を果たし、次なる、ステージに行きます。今後の彼等の活躍にご期待ください。
 
次の章は、猫沢さん目線でお送りする。作者の食生活レポートです。2016年の頃を、遡ります。おたのしみに♪
 
 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
 
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
 
そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
 
2019年の7月、幻想の魚の秘密.第6弾を展示決定!お楽しみです。
 
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
 
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
 
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